読書

森真一著『ほんとはこわい「やさしさ社会」』(2008)

ほんとはこわい「やさしさ社会」 (ちくまプリマー新書) 作者:森 真一 筑摩書房 Amazon 「やさしさ」「楽しさ」が無条件に善いとされ、人間関係のルールである現代社会。それがもたらす「しんどさ」「こわさ」をなくし、もっと気楽に生きるための智恵を探る。…

我孫子武丸著『新装版 殺戮にいたる病』(1992→2017)

新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫) 作者:我孫子武丸 講談社 Amazon 東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるシリアルキラーが出現した。くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえよ…

アルベルト・モラヴィア著,関口英子訳『同調者』(1951=2023)

同調者 (光文社古典新訳文庫 K-Aモ 3-2) 作者:モラヴィア 光文社 Amazon マルチェッロが殺人を犯したのは十三歳のとき。以来、日常生活のなかでは「正常」であろうと努め、果てはファシズム政権下の政治警察の一員に。人並みな結婚を目前にある暗殺計画に関…

丹生谷貴志著『光の国―あるいはvoyage en vain』(1984)

光の国―あるいはvoyage en vain (1984年) (リゾーム群書〈1〉) 作者:丹生谷 貴志 朝日出版社 Amazon I 神・神々・砂の書II 「死」・木星の逃亡者・「光の国」III 砂漠・bêtise・「光の国」あとがき

コルナイ・ヤノーシュ著,溝端佐登史,堀林巧,林裕明,里上三保子訳『資本主義の本質についてーイノベーションと余剰経済』(2014=2016→2023)

資本主義の本質について イノベーションと余剰経済 (講談社学術文庫) 作者:コルナイ ヤーノシュ 講談社 Amazon 〔それでも、究極的に資本主義は受け入れなければならないシステムなのである。〕 冷戦下ハンガリーにあって社会主義経済の非効率性を明晰に論じ…

三木那由他著『言葉の展望台』(2022)

言葉の展望台 作者:三木那由他 講談社 Amazon いま、あなたとの会話で起きたことは、いったい何だろう? マンスプレイニング、コミュニケーション的暴力、会話の引き出し、言語的なポリティクス、アイデンティティと一人称、人々をつなげる言葉、誠実な謝罪…

恩田陸著『私の家では何も起こらない』(2010=2013)

私の家では何も起こらない (角川文庫) 作者:恩田 陸 KADOKAWA Amazon 小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。ようこそ、恩田陸の幽霊屋敷へ! 小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。幽霊屋敷に魅了された人々の記憶が奏でる不穏な物語の数々。キッチンで殺しあ…

熊代亨著『健康的で清潔で道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』(2020)

健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて 作者:熊代亨 イースト・プレス Amazon 生活を快適にし、高度に発展した都市を成り立たせ、前時代の不自由から解放した社会通念は、同時に私たちを疎外しつつある。メンタルヘルス・健康・少子化・清…

阿部嘉昭著『黒沢清、映画のアレゴリー』(2019)

黒沢清、映画のアレゴリー 作者:嘉昭, 阿部 幻戯書房 Amazon 黒沢清=カフカ+ベンヤミン?世界的寓話作家の運動・機械・美人を徹底解析!この本で黒沢映画の見方が変わる 序章 アレゴリーについて第1章 代理と交換―『神田川淫乱戦争』『ドレミファ娘の血は騒ぐ…

西江雅之著『異郷 西江雅之の世界』(2012)

異郷 西江雅之の世界 作者:西江 雅之 美術出版社 Amazon 西江雅之氏は、日本で初めてスワヒリ語の辞典を独力でつくった文化人類学者・言語学者です。アフリカ、カリブ諸島、インド洋諸島の辺境を中心に、小さなカバン1つだけ持って、どんな土地でも、どんな…

松本健太郎,塙幸枝著『コンテンツのメディア論-コンテンツの循環とそこから派生するコミュニケーション』(2022)

コンテンツのメディア論―コンテンツの循環とそこから派生するコミュニケーション 作者:松本健太郎,塙幸枝 新曜社 Amazon バルトは「作品からテクストへ」といったが、今や「テクストからコンテンツへ」といえよう。コンテナ(容れ物)と対で考えられてきたコ…

荒木優太編著『在野研究ビギナーズー勝手にはじめる研究生活』(2019)

在野研究ビギナーズ――勝手にはじめる研究生活 作者:荒木 優太 明石書店 Amazon 「在野研究者」とは、大学に属さない、民間の研究者のことだ。卒業後も退職後も、いつだって学問はできる!現役で活躍するさまざまな在野研究者たちによる研究方法・生活を紹介す…

ノエル・キャロル著,高田敦史訳『ホラーの哲学ーフィクションと感情をめぐるパラドックス』(1990=2022)

ホラーの哲学 フィクションと感情をめぐるパラドックス 作者:ノエル・キャロル フィルムアート社 Amazon なぜ、「怖い」のに「見たい」のか?なぜ、存在しないものを怖がるのか? ここから、ホラーの哲学は始まった。ホラーの哲学を初めて理論化した革新的著…

西加奈子著『円卓』(2011→2013)

円卓 (文春文庫) 作者:西 加奈子 文藝春秋 Amazon 二〇一四年、芦田愛菜主演で映画公開決定! 三つ子の姉をもつ琴子は、口が悪く偏屈な小学三年生。周りの価値観とぶつかり、悩み考え成長する姿をユーモラスに温かく描く感動作。

嘉戸一将著『法の近代ー権力と暴力をわかつもの』(2023)

法の近代 権力と暴力をわかつもの (岩波新書) 作者:嘉戸 一将 岩波書店 Amazon この困難な時代に問いかけよう。恣意的な暴力と、制度的な権力をわかつものはいったい何か? ローマ法の〈再発見〉から近代日本にいたる、法と国家の正統性をめぐって繰り返され…

蓮實重彥著『齟齬の誘惑』(1999→2023)

齟齬の誘惑 (講談社学術文庫) 作者:蓮實重彦 講談社 Amazon 「社会とは、いくつもの齟齬感や、違和感や、隔たりの意識が複雑に交錯しあう苛酷な空間にほかなりません」――。東大生の心を慄(ふる)わせた伝説の入学式式辞のほか、大学は知と人が行き交い別れ…

A.D.チャンドラー著,丸山恵也訳『大企業の誕生-アメリカ経営史』(1978=1986→2021)

大企業の誕生 ――アメリカ経営史 (ちくま学芸文庫) 作者:A.D.チャンドラー 筑摩書房 Amazon 現代社会では、多国籍化した大企業が、経済ばかりか政治にまで強い影響力を及ぼしている。なぜ私企業が国家をしのぐほどの力を持ちえたのか。その問いにアメリカ企業…

青木理著『暗黒のスキャンダル国家』(2019)

暗黒のスキャンダル国家 作者:青木理 河出書房新社 Amazon 自身の「噂の真相」での匿名ライター時代の経験をふまえて、社会と報道の問題を問い、いまこそ戦うジャーナリズムとは何かをさぐる。最も注目されるジャーナリストによる渾身の力編。 第1章 ゲリラ…

岡ノ谷一夫著『さえずり言語起源論ー新版 小鳥の歌からヒトの言葉へ』(2003→2010)

さえずり言語起源論 新版 小鳥の歌からヒトの言葉へ (岩波科学ライブラリー) 作者:岡ノ谷 一夫 岩波書店 Amazon ジュウシマツの歌には「文法」がある――これが転機をもたらす大発見だった.進化的な起源の異なる小鳥の歌が言語進化の謎に迫るカギとなるのはな…

ベルンハルト・シュリンク著,松永美穂訳『朗読者』(1995=2000→2003)

朗読者(新潮文庫) 作者:ベルンハルト・シュリンク 新潮社 Amazon 15歳のぼくは、母親といってもおかしくないほど年上の女性と恋に落ちた。「なにか朗読してよ、坊や!」──ハンナは、なぜかいつも本を朗読して聞かせて欲しいと求める。人知れず逢瀬を重ねる…

吉増剛造著『詩とは何か』(2021)

詩とは何か (講談社現代新書) 作者:吉増 剛造 講談社 Amazon 現代における「詩」の本質とは? 世界最高峰の詩人の1人、吉増剛造が60年の詩業の果てに辿り着いた境地を縦横無尽に語り尽くす。現代最高の詩人による究極の詩論、ついに登場! 世界大戦、原爆…

千葉雅也著『アメリカ紀行』(2019→2022)

アメリカ紀行 (文春文庫) 作者:千葉 雅也 文藝春秋 Amazon トランプ以後のアメリカの地で、哲学者・千葉雅也は何を考えたのか。『勉強の哲学』に続く、半年の思考の軌跡と新たな哲学の萌芽。

増田聡著『聴衆をつくる-音楽批評の解体文法』(2006)

聴衆をつくる―音楽批評の解体文法 作者:増田 聡 青土社 Amazon いま音楽を語るとき、何を前提とすべきなのか?テクノロジーの土台の変化によって、「音楽」そのものが動揺しつつある現状を思考すること、音楽に絡みつく「日本」の現在に介入すること、既存の…

藤津亮太著『アニメの輪郭ー主題・作家・手法をめぐって』(2021)

アニメの輪郭: 主題・作家・手法をめぐって 作者:藤津亮太 青土社 Amazon 『白雪姫』『サザエさん』『うる星やつら』『鋼の錬金術師』『輪るピングドラム』『パプリカ』『精霊の守り人』『シン・エヴァンゲリオン』…。フレームに浮かび上がるアニメのかたち…

ダニエル・J・ケヴルズ著,西俣総平訳『優生学の名のもとに-「人類改良」の悪夢の百年』(1985=1993)

優生学の名のもとに―「人類改良」の悪夢の百年 作者:ダニエル・J. ケヴルズ 朝日新聞 Amazon IQテストや家系調査によって「劣等者」「欠陥者」を決め、隔離や強制断種まで行った英米の苦い歴史…。遺伝子操作の時代に蘇ろうとする暗い影に警鐘を鳴らす。 優…

中畑正志著『アリストテレスの哲学』(2023)

アリストテレスの哲学 (岩波新書 新赤版 1966) 作者:中畑 正志 岩波書店 Amazon 思想界では近年一段と脚光を浴びる一方で、一般には時代遅れのイメージが付きまとうアリストテレス。本書はこの懸隔に架橋すべく、彼が創出した<探究と知の方法>を示したうえで…

イェスパー・ユール著,松永伸司訳『ハーフリアル-虚実のあいだのビデオゲーム』(2005=2016)

ハーフリアル: 虚実のあいだのビデオゲーム 作者:Juul,Jesper ニューゲームズオーダー Amazon ゲームとは? ゲームの楽しさとは? 伝統的なゲームとビデオゲームはどうちがう? ビデオゲームのプレイは現実?それともフィクション? あるものがビデオゲームである…

ポール・ド・マン著,土田知則訳『読むことのアレゴリー』(1979=2012→2022)

読むことのアレゴリー (講談社学術文庫) 作者:ポール・ド・マン 講談社 Amazon 批評界に大きな衝撃を与えるとともに、文学批評はもちろん、哲学・思想の領域にも深い影響を与えた巨人ポール・ド・マン(1919-83年)。ド・マンを領袖とする「イェール学派」は、…

ハル・アベルソン,ケン・リーディン,ハリー・ルイス,ウェンディ・セルツァー著,尼丁千津子訳『教養としてのデジタル講義ー今こそ知っておくべき「デジタル社会」の基礎知識』(2020=2021)

教養としてのデジタル講義 今こそ知っておくべき「デジタル社会」の基礎知識 作者:ハル・アベルソン,ケン・リーディン,ハリー・ルイス,ウェンディ・セルツァー 日経BP Amazon 「デジタル社会」の弊害と危険を避けて、恩恵と可能性を見いだすための1冊です。 …

山口尚著『日本哲学の最前線』(2021)

日本哲学の最前線 (講談社現代新書) 作者:山口尚 講談社 Amazon 國分功一郎、青山拓央、千葉雅也、伊藤亜紗、古田徹也、苫野一徳……哲学の最前線の旗手たちが「いま考えていること」がこれ一冊でわかる! 私たちを縛りつける不自由と向き合う、本当の自由のた…