歴史

小倉孝保著『100年かけてやる仕事 -中世ラテン語の辞書を読む』(2019)

100年かけてやる仕事 ― 中世ラテン語の辞書を編む 作者:小倉 孝保 プレジデント社 Amazon 100年の歳月をかけて、英国で『英国古文献における中世ラテン語辞書』が完成した。市民の言語採取ボランティア「ワードハンター」たちと、英国学士院が総力を結集…

木庭顕著『クリティック再建のために』(2022)

クリティック再建のために (講談社選書メチエ) 作者:木庭 顕 講談社 Amazon 本書が掲げる「クリティック」は、ふつう「批評」や「批判」という日本語に訳されます。しかし、それらの語では十分に表されない意味が「クリティック」には含まれていることを日本…

小泉悠著『ウクライナ戦争』(2022)

ウクライナ戦争 (ちくま新書) 作者:小泉悠 筑摩書房 Amazon 2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻し、第二次世界大戦以降最大規模の戦争が始まった。国際世論の非難を浴びながらも、かたくなに「特別軍事作戦」を続けるプーチン、国内にとどまり…

松里公孝著『ウクライナ動乱ーソ連解体から露ウ戦争まで』(2023)

ウクライナ動乱 ――ソ連解体から露ウ戦争まで (ちくま新書) 作者:松里公孝 筑摩書房 Amazon 冷戦終了後、ユーラシア世界はいったん安定したというイメージは誤りだ。ソ連末期以来の社会変動が続いてきた結果としていまのウクライナ情勢がある。世界的に有名な…

ヴィレム・フルッサー著,村上淳一訳『テクノコードの誕生-コミュニケーション学序説』(1996=1997→2023)

テクノコードの誕生 ――コミュニケーション学序説 (ちくま学芸文庫 フ-52-1) 作者:ヴィレム・フルッサー 筑摩書房 Amazon テクノ画像が氾濫する現代、コミュニケーションのコードを人間へと取り戻すにはどうすれば良いか。メディア論の巨人による思考体系。 …

ダニエル・J・ケヴルズ著,西俣総平訳『優生学の名のもとに-「人類改良」の悪夢の百年』(1985=1993)

優生学の名のもとに―「人類改良」の悪夢の百年 作者:ダニエル・J. ケヴルズ 朝日新聞 Amazon IQテストや家系調査によって「劣等者」「欠陥者」を決め、隔離や強制断種まで行った英米の苦い歴史…。遺伝子操作の時代に蘇ろうとする暗い影に警鐘を鳴らす。 優…

海野敏著『バレエの世界史-美を追求する舞踏の600年』(2023)

バレエの世界史 美を追求する舞踊の600年 (中公新書) 作者:海野敏 中央公論新社 Amazon バレエはルネサンス期イタリアで誕生し、今なお進化を続けるダンスの一種だ。当初、王侯貴族が自ら踊り楽しんだが、舞台芸術へと転換。観客も貴族からブルジョワジー、…

藤原辰史著『トラクターの世界史-人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち』(2017)

トラクターの世界史 人類の歴史を変えた「鉄の馬」たち (中公新書) 作者:藤原辰史 中央公論新社 Amazon 19世紀末にアメリカで発明されたトラクター。直接土を耕す苦役から人類を解放し、作物の大量生産を実現。近代文明のシンボルとしてアメリカは民間主導、…

三谷太一郎著『日本の近代とは何であったか-問題視的考察』(2017)

日本の近代とは何であったか――問題史的考察 (岩波新書) 作者:三谷 太一郎 岩波書店 Amazon 政党政治を生み出し、資本主義を構築し、植民地帝国を出現させ、天皇制を精神的枠組みとした日本の近代。バジョットが提示したヨーロッパの「近代」概念に照らしなが…

ジャネット・オッペンハイム著,和田芳久訳『英国心霊主義の抬頭-ヴィクトリア・エドワード朝時代の社会精神史』(1985=1992)

英国心霊主義の抬頭―ヴィクトリア・エドワード朝時代の社会精神史 作者:ジャネット オッペンハイム 工作舎 Amazon 動揺するキリスト教信仰に対し、魂の不死性を信じる心霊主義が登場! ブラバツキーをはじめクルックス、ウォレスら科学者も心霊研究を行った…

ジェニファー・ラトナー=ローゼンハーゲン著,入江哲朗訳『アメリカを作った思想-500年の歴史』(2019=2021)

アメリカを作った思想 ――五〇〇年の歴史 (ちくま学芸文庫) 作者:ジェニファー・ラトナー=ローゼンハーゲン 筑摩書房 Amazon 発端において、アメリカは、ヨーロッパの探検者たちが「新世界」に投影した一群の諸観念であった。それらはいかにして合衆国を築き…

マーク・ペンダグラスト著,古賀林幸訳『コカ・コーラ帝国の興亡-100年の商魂と生き残り戦略』(1993→1993)

コカ・コーラ帝国の興亡―100年の商魂と生き残り戦略 作者:マーク ペンダグラスト 徳間書店 Amazon 大恐慌を生き延びたアトランタ商人“100年の知恵”が一読瞭然。時代を先どりしたアイデアの勝利史。 序文 コカ・コーラというプリズムを通した世界史第1部 草…

W. T. アンダーソン著,伊東博訳『エスリンとアメリカの覚醒-人間の可能性への挑戦』(1998)

エスリンとアメリカの覚醒―人間の可能性への挑戦 作者:ウォルター・トルーエット アンダーソン 誠信書房 Amazon 本書は1960―70年代にアメリカで起こったヒューマン・ポテンシャル運動を語るに欠かせないエスリン研究所の物語風年代記である。マズロー、パー…

成実弘至著『20世紀ファッション文化史-時代をつくった10人』(2007)

20世紀ファッションの文化史: 時代をつくった10人 作者:成実 弘至 河出書房新社 Amazon 20世紀、ファッションは何をなし遂げたか。その創造性をあらためて問う、まったく新しいファッション文化史。ポワレ、シャネルからマルジェラまで。 第1章 チャールズ・…

カルロ・ギンズブルグ著,杉山光信訳『チーズとうじ虫-16世紀の一粉挽屋の世界像』(1976=1984→2012)

チーズとうじ虫 新装版 作者:カルロ・ギンズブルグ みすず書房 Amazon 1583年9月、イタリア東北部、当時はヴェネツィア共和国本土属領のフリウリ地方において、ひとりの粉挽屋が教皇庁により告訴された。名をドメニコ・スカンデッラといい、人びとからはメノ…

アブラム・デ・スワーン著,大平章訳『殺人区画-大量虐殺の精神性』(2015→2020)

殺人区画:大量虐殺の精神性(叢書・ウニベルシタス) 作者:デ・スワーン,アブラム 法政大学出版局 Amazon 二十世紀、非戦闘員に向けられた集団的暴力は戦争の三倍以上の人命を奪ったと言われる。ホロコーストをひとつの頂点として、ホロドモールやポル・ポト派…

ベンジャミン・ジェイコブス著, 向井和美訳『アウシュヴィッツの歯科医』(1995=2017)

アウシュヴィッツの歯科医 作者:ベンジャミン・ジェイコブス 発売日: 2018/10/19 メディア: Kindle版 1941年、ポーランドの小さな村のユダヤ人家庭で暮らしていた21歳の青年がナチス・ドイツの強制収容所へ送られる。歯科医の勉強を始めて1年目の彼に…

『ユリイカ 2020年12月号』「特集 偽書の世界-ディオニソス文書、ヴォイニッチ写本から神代文字、椿井文書まで」

ユリイカ 2020年12月号 特集=偽書の世界 ーディオニュシオス文書、ヴォイニッチ写本から神代文字、椿井文書までー 作者:馬部隆弘,小澤実,原田実,乗代雄介,呉座勇一 発売日: 2020/11/27 メディア: ムック 古代、中世、近代、歴史の間に間に、偽書は突如現われ…

小池勝也「室町期鶴岡八幡宮寺における別当と供僧」『史学雑誌』2015年, 124巻, 10号, p.1699-1735

【本文】 The aim of the present article is to examine the historical development of the Tsuruoka Hachiman Shrine (present day Kamakura, Kanagawa Prefecture) during the Muromachi period, a subject that has not been given serious attention f…

スベン・クラーマー 「「宗教都市」天理市の誕生 その問題点と市町村合併史上の意味」『史学雑誌』2017年, 126巻, 8号, p.54-76

【本文】 1953年10月から実施された「昭和の大合併」は日本の第2次大規模市町村合併政策である。それは各都道府県の市町村を対象にし、市町村の数を3分の1に減らすという目標で実施された。主な目的は戦後の地方行政団体(兼自治体)の財政危機の解決だとさ…

馬部隆弘著『椿井文書-日本最大級の偽文書』(2020)

椿井文書―日本最大級の偽文書 (中公新書) 作者:馬部隆弘 発売日: 2020/05/29 メディア: Kindle版 中世の地図、失われた大伽藍や城の絵図、合戦に参陣した武将のリスト、家系図…。これらは貴重な史料であり、学校教材や市町村史にも活用されてきた。しかし、…

岩村忍著『暗殺者教国-イスラム異端派の歴史』(1964→1981→2001)

暗殺者教国―イスラム異端派の歴史 (ちくま学芸文庫) 作者:岩村 忍 発売日: 2001/07/01 メディア: 文庫 ニザリ・イスマイリ教国を奇怪という言葉だけで片付けるわけにはいかない。暗殺を政治手段とするこの王国は、10世紀末から13世紀央まで、バグダードのカ…

フィリップ・ブォナローティ著, 田中正人訳『平等をめざす、バブーフの陰謀』(1828=2020)

平等をめざす、バブーフの陰謀 (叢書・ウニベルシタス) 作者:ブォナローティ,フィリップ 発売日: 2020/06/11 メディア: 単行本 著者はイタリア生まれでフランスに帰化した革命家。平等をめざし、自由で幸福で平和で持続する形態を社会に与えることをめざした…

小田中直樹「言語論的転回と歴史学」『史学雑誌』2000年, 109巻, 9号, p.1686-1706

【本文】

伊藤雅之「共和政中期ローマにおける外国使節への贈物」『史学雑誌』2018年, 127巻, 2号, p.42-70

【本文】

近藤和都「スクリーンの「移ろいやすさ」を制御するー戦時下日本の映画上映をめぐる規格化の諸相」『社会学評論』2019年, 69巻, 4号, p. 485-501

【本文】 スクリーンにおける映像の現れ方は,たとえば映画であれば「映写機・フィルム・スクリーン」といった器機の複合およびそれらを操作する主体の技法本稿では器機と技法を包括する語として〈技術〉を用いるの節合関係に応じて変容せざるをえない.この…

大木毅著『独ソ戦-絶滅戦争の惨禍』(2019)

独ソ戦 絶滅戦争の惨禍 (岩波新書) 作者:大木 毅 発売日: 2019/07/20 メディア: 新書 「これは絶滅戦争なのだ」.ヒトラーがそう断言したとき,ドイツとソ連との血で血を洗う皆殺しの闘争が始まった.日本人の想像を絶する独ソ戦の惨禍.軍事作戦の進行を追…

松浦寿輝著『エッフェル塔試論』(1995→2000)

エッフェル塔試論 (ちくま学芸文庫) 作者:松浦 寿輝 メディア: 文庫 古典的な「表象」の崩壊に代わって「イメージ」の出現という出来事が成立する時点において、恐らくエッフェル塔とは、西欧の表象空間に起きたこの地の竣工の日付をこの認識論的断層の上に…

藤木秀朗著『映画観客とは何者か-メディアと社会全体の近現代史』(2019)

映画観客とは何者か―メディアと社会主体の近現代史― 作者:藤木 秀朗 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会 発売日: 2019/02/22 メディア: 単行本 民衆・国民・東亜民族・大衆・市民 ——。映画館でシネマを観る「数」であるにとどまらず、映画や社会と多様な関係…

原武史著『平成の終焉-退位と天皇・皇后』(2019)

平成の終焉: 退位と天皇・皇后 (岩波新書) 作者: 原武史 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2019/03/21 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 平成とは天皇制の新たなスタイルが確立された時代だった.日本中をくまなく訪ね歩き,自らの思いを国民に…