平成とは天皇制の新たなスタイルが確立された時代だった.日本中をくまなく訪ね歩き,自らの思いを国民に直接語りかけてきた天皇明仁と皇后美智子.二人が生み出した「平成流」は退位後も受け継がれていくのか.皇太子(妃)時代からの足跡を丹念にたどり,「象徴」と国民との奇妙な政治的関係性を問い直す.
第1章 「おことば」を読み解く――現在編
1 「おことば」の背景
2 「おことば」の分析
3 「おことば」の問題点第2章 「平成」の胚胎――過去編1
1 行啓の概要
2 人々から遠ざかる――行幸啓との共通点
3 人々に近づく――行幸啓との相違点
4 戦争に向き合う――広島・長崎・沖縄第3章 「平成」の完成――過去編2
1 昭和からの継続
2 右派からの反撃
3 行幸啓の実態
4 退位表明と東日本大震災
5 行幸啓の政治的意味第4章 ポスト平成の行方――未来編
あとがき
巻末表1 皇太子夫妻の主な国内行啓一覧
巻末表2 皇太子夫妻の昭和期の行啓
巻末表3 お立ち台一覧(一九六一 ― 七七年)
巻末表4 主な懇談会一覧(一九六二 ― 七七年)
巻末表5 天皇・皇后の平成期の行幸啓
巻末地図 昭和期の行啓と平成期の行幸啓