渡邉大輔著『新映画論 ーポストシネマ』(2022)

 

あらゆる動画がフラットに流通する時代に、映像を語ることが意味するものは? サイレントから応援上映までを渉猟し、ポストシネマの美学を切り拓く。
『新記号論』『新写真論』に続く、新時代のメディア・スタディーズ第3弾。
NetflixTikTokYouTube、Zoom……プラットフォームが林立し、あらゆる動画がフラットに流通する2020年代。実写とアニメ、現実とVR、リアルとフェイク、ヒトとモノ、視覚と触覚が混ざりあい、映画=シネマの歴史が書き換えられつつあるこの時代において、映像について語るとはなにを意味するのだろうか?サイレント映画から「応援上映」まで1世紀を超えるシネマ史を渉猟し、映画以後の映画=ポストシネマの美学を大胆に切り拓く、まったく新しい映画論。作品分析多数。

はじめに――新たな映画の旅にむけて

第1部 変容する映画――カメラアイ・リアリティ・受容

第1章 カメラアイの変容――多視点的転回
第2章 リアリティの変容――ドキュメンタリー的なもののゆくえ
第3章 受容の変容――平面・クロースアップ・リズム

第2部 絶滅に向かう映画――映画のポストヒューマン的転回

第4章 オブジェクト指向のイメージ文化――ヒト=観客なき世界
第5章 映画の多自然主義――ヒト=観客とモノ
第6章 「映画以後」の慣習と信仰――ポストシネフィリーの可能性

第3部 新たな平面へ――幽霊化するイメージ環境

第7章 アニメーション的平面――「空洞化」するリアリティ
第8章 インターフェイス的平面――「表象」から遠く離れて
第9章 準-客体たちの平面――インターフェイスとイメージの幽霊性

おわりに――ポストシネマのアナクロニズム

あとがき
提供図版一覧
索引