新美亮輔, 山田真也「顔の魅力が服の魅力評価に与える影響とその性差」『心理学研究』2020年, 91巻, 2号, p.94-104

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Faces and clothing are clues to interpersonal perception. However, it is not known whether perceptions of faces and clothing are interacting with each other. We examined the effects of facial attractiveness on subjective ratings of clothing attractiveness. Participants were shown pictures of a person wearing a T-shirt in which the faces and shirt designs were manipulated. The faces were either male or female, attractive or unattractive. Participants were instructed to rate the attractiveness of the shirts, not the faces. Nevertheless, attractive female faces increased shirt attractiveness ratings, irrespective of the participant’s gender. Attractive male faces only slightly increased shirt attractiveness ratings. Gender differences and individual variability in visual attention were not responsible for these effects. The current results more likely reflect social or cultural factors, such as the higher priority placed on female facial attractiveness than male facial attractiveness in today’s society.

 

松井広志「ポピュラーカルチャーにおけるモノ ー記号・物質・記憶」『社会学評論』2013年, 63巻, 4号, p.503-518

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近年, デジタルメディアによるコンテンツ受容に関して, 「物質」の対概念としての「情報」そのものに近い消費のあり方が伺える. しかし, ポピュラーカルチャーの現場では, 物質的な「モノ」という形式での受容が依然として観察される. ここには「ポピュラーカルチャーにおけるモノをめぐる人々の活動」という論点が潜んでいる. 本稿の目的は, この受容の論理を多面的な視点から, しかも日常的な実感に即して読み解くことである. 本稿ではその動向の典型を, ポピュラーカルチャーのコンテンツを題材としたキャラクターグッズやフィギュア, 模型やモニュメントに見出し, これらを「モノとしてのポピュラーカルチャー」と理念的に定義したうえで, 3つの理論的枠組から捉えた.
まず, 従来の主要な枠組であった消費社会論から「記号」としてのモノの消費について検討した. 次に, 空間的に存在するモノを捉える枠組として物質文化論に注目し, とくにモノ理論から「あるモノに固有の物質的な質感」を受容する側面を見出した. さらに, モノとしてのポピュラーカルチャーをめぐる時間的側面を, 集合的記憶論における「物的環境による記憶の想起」という枠組から捉えた. これらの総合的考察から浮かび上がった「モノとしてのポピュラーカルチャー」をめぐる人々の受容の論理は, 記号・物質・記憶のどれにも還元されず, 時間的・空間的に重層化した力学の総体であった.

大西秀之,2009,「モノ愛でるコトバを超えて 語りえぬ日常世界の社会的実践」田中雅一編『フェティシズム論の系譜と展開』京都大学出版会

フェティシズム論の系譜と展望 (フェティシズム研究)

フェティシズム論の系譜と展望 (フェティシズム研究)

  • 発売日: 2009/03/06
  • メディア: 単行本
 

 アルヴァックス, 1925=2018『記憶の社会的枠組み』

 

兼子諭「トラウマ概念の社会学的応用とその意義 ー文化的トラウマ論の検討から」『社会学評論』2019年, 69巻, 4号, p.453-467

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社会や社会集団の成員が,自然災害や戦争などの歴史的出来事を,直接経験していないにもかかわらず自らの悲劇として感じ語ることがある.だがその一方で,出来事など起きなかったかのように沈黙を貫く場合もある.これらの現象を記述し説明するのに社会学者も用いるのが「トラウマ」概念である.しかし従来の議論は,トラウマを隠喩として用いるだけで,分析のための独自の視点や方法を展開し損なっている.そこで本稿では,J. Alexander らによる「文化的トラウマ(cultural trauma)」論を検討して,国民国家のような「大規模」社会での集合的な「沈黙」や「覚醒」のダイナミズムを探究する際にトラウマ概念を応用する社会学的意義を示す.文化的トラウマ論が明らかにするのは,悲劇的な出来事に対する集合的な沈黙や覚醒は,出来事の客観的な性格から説明できるとは限らないということである.文化的トラウマ論に従えば,むしろそれは,その出来事がどのように解釈され物語られるかに依存する.悲劇的出来事に対する集合的な反応は,それが社会に深刻な苦悩をもたらす傷として語られるのか,それとも,最終的には進歩の機会として語られるのかに左右されるのである.文化的トラウマ論を土台にして本稿は,悲劇的出来事に対する集合的な覚醒や沈黙は文化的に枠づけられる「社会」現象として説明可能であり,個人の心理や精神には還元することはできないことを主張する.

 

奥村隆「普遍主義と政治」『現代社会学理論研究』2019年, 13巻, p.144-149

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根本雅也『ヒロシマ・パラドクス ー戦後日本の反核と人道意識』

ヒロシマ・パラドクス―戦後日本の反核と人道意識

ヒロシマ・パラドクス―戦後日本の反核と人道意識

  • 作者:根本雅也
  • 発売日: 2018/06/26
  • メディア: 単行本
 

 

樫村愛子「社会とアートの関係とその変容を社会学的に分析すること」『現代社会学理論研究』2019年, 13巻, p.138-143

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北田, 神野『社会の芸術/芸術という社会—社会とアートの関係、その再創造に向けて』既読

倉田剛「いかにして社会種の実在性は擁護されうるのか ー「実在論的」社会構築主義についての試論」『哲学』2020年, 2020巻, 71号, p.49-68

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幸坂健太郎「論説・評論を 「自分と結びつける」 ことの概念区分 ー高校生を対象としたインタビューの分析に基づいて」『読書科学』2019年, 61巻, 2号, p. 77-89

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This paper aims to classify “self-relevance” to critical essays and propose an explanatory hypothesis for this concept.

Interviews about consciousness while reading with senior high school students were conducted. The following conceptual classification of “self-relevance” to critical essay reading was created as a result: (1) realizing contents of a text as it pertains to body sense, (2) recognizing the importance of contents and themes of a text for oneself, and (3) positioning oneself as an opponent to the text’s author and his/her powers of persuasion. In the light of this classification, especially because it pertains to the aforementioned final point, this paper argues that positioning oneself as an opponent to the text's author and his/her powers of persuasion is worth teaching as a part of consciousness while reading education for students to learn language competence.