近代美学は、17〜19世紀のヨーロッパで成立しました。美学と言っても、難しく考えることはありません。「風に舞う桜の花びらに思わず足を止め、この感情はなんだろうと考えたなら、そのときはもう美学を始めている」ことになるからです。本書は、芸術、芸術家、美、崇高、ピクチャレスクといった概念の変遷をたどり、その成立過程を明らかにしていきます。
第1章 芸術―技術から芸術へ
「建築は芸術か」
アート=技術(古代〜中世)
アートは技術(学芸)の意味だった
アート=芸術(近代以降)何が芸術で、何が芸術でないのか?
第2章 芸術家―職人から独創的な天才へ「独創的な芸術家は世界を創造する」
芸術家をとりまく環境と作者の地位の変遷
芸術家にまつわる概念の変遷
作者と作品の関係をどう捉えるか?
第3章 美―均整のとれたものから各人が感じるものへ「美は感じる人のなかにある」
美の客観主義(古代〜初期近代)
美の主観主義(18世紀以降)
美の概念とどのように付き合うのがよいか?
第4章 崇高―恐ろしい大自然から心を高揚させる大自然へ「崇高なものが登山の本質だ」
山に対する美意識の転換
「崇高」概念の転換
芸術は圧倒的なものとどのように関わることができるか?)
第5章 ピクチャレスク―荒れ果てた自然から絵になる風景へ「絵になる景色を探す旅」
風景画とピクチャレスクの誕生
ピクチャレスクの広がり(観光と庭園)美や芸術は自然とどのように関わることができるか?
48 シャルル・ペロー「美の新旧論争」「ルイ14世治下の当世のフランス文化は古典古代より優れている」
94 エイブラムス『鏡とランプ―ロマン主義理論と批評の伝統』
123 1930-50年代英米 ニュー・クリティシズム
→モンロー・ビアズリー「作者の意図を勝手に推し量るのは間違いだ」(意図の誤謬)
1967 バルト「作者の死」
1970年代 ハンス・ロベルト・ヤウス「受容美学」
144 プロポーション理論=美の古典理論
「美とはプロポーションによって生まれる調和である」
美の主観主義、バーク、ヒューム(道徳感覚学派)カント
183 美の自律性、19世紀フランス「芸術のための芸術」ヴィクトル・クーザン、テオフィル・ゴーティエ、英米の「芸術至上主義」