読書

木庭顕著『ポスト戦後日本の知的状況』(2024)

ポスト戦後日本の知的状況 (講談社選書メチエ) 作者:木庭顕 講談社 Amazon 本書は、前著『クリティック再建のために』(講談社選書メチエ)の「姉妹篇」であるとともに「日本篇」と言えるものです。「クリティック」とは何か?――その問いに答える前著は、他…

大山顕著『新写真論 -スマホと顔』(2020)

新写真論: スマホと顔 ゲンロン叢書 作者:大山 顕 株式会社ゲンロン Amazon もしかしたら写真は人間を必要としなくなるのではないか 写真は激変のまっただ中にある。「写真」という用語をあらためなければいけないとすら思っている。これはスマートフォンとS…

小田部胤久著『美学』(2020)

美学 作者:小田部 胤久 東京大学出版会 Amazon 美学は18世紀半ばに作られた哲学的学問であり、「感性」「芸術」「美」という主題が収斂するところに成立した。美学の古典といえるカント『判断力批判』(1790年)を題材にし、そこでの重要なテーマをめぐって、…

東浩紀著『セカイからもっと近くに -現実から切り離された文学の諸問題』(2013)

セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題 作者:東 浩紀 東京創元社 Amazon 想像力と現実が切り離された時代に、文学にはいったい何ができるだろう。ライトノベル・ミステリ・アニメ・SF、異なるジャンルの作家たちは、遠く離れてしまった創…

井奥陽子著『近代美学入門』(2023)

近代美学入門 (ちくま新書) 作者:井奥陽子 筑摩書房 Amazon 近代美学は、17〜19世紀のヨーロッパで成立しました。美学と言っても、難しく考えることはありません。「風に舞う桜の花びらに思わず足を止め、この感情はなんだろうと考えたなら、そのときは…

佐々木健一著『美学への招待 増補版』(2004→2019)

美学への招待 増補版 (中公新書 1741) 作者:佐々木 健一 中央公論新社 Amazon 二〇世紀の前衛美術は「美しさ」を否定し、藝術を大きく揺さぶった。さらに二〇世紀後半以降、科学技術の発展に伴い、複製がオリジナル以上に影響力を持ち、美術館以外で作品に接…

渡邉大輔著『新映画論 ーポストシネマ』(2022)

新映画論 ポストシネマ (ゲンロン叢書) 作者:渡邉 大輔 株式会社ゲンロン Amazon あらゆる動画がフラットに流通する時代に、映像を語ることが意味するものは? サイレントから応援上映までを渉猟し、ポストシネマの美学を切り拓く。『新記号論』『新写真論』…

松尾大著『〈序文〉の戦略 ー文学作品をめぐる攻防』(2024)

〈序文〉の戦略 文学作品をめぐる攻防 (講談社選書メチエ) 作者:松尾 大 講談社 Amazon 文学作品が刊行されたあと非難や攻撃や異議を受けるというのは今日でも目にする光景です。学術的な論文や書籍でも、文学作品でも、盗用の疑惑をもたれたり、実際に告発…

東浩紀著『訂正する力』(2023)

訂正する力 (朝日新書) 作者:東 浩紀 朝日新聞出版 Amazon ひとは誤ったことを訂正しながら生きていく。 哲学の魅力を支える「時事」「理論」「実存」の三つの視点から、現代日本で「誤る」こと、「訂正」することの意味を問い、この国の自画像をアップデー…

藤田正勝著『日本哲学入門』(2024)

日本哲学入門 (講談社現代新書) 作者:藤田正勝 講談社 Amazon 西洋哲学と出会って150年、日本の哲学者たちは何を考え、何を目指してきたのか。日本哲学のオリジナリティに迫る、第一人者による入門書の決定版! 【本書のおもな内容】・日本最初の哲学講義…

光瀬龍著『百億の星と千億の夜』(1973)

百億の昼と千億の夜 (ハヤカワ文庫JA) 作者:光瀬 龍 早川書房 Amazon 西方の辺境の村にて「アトランティス王国滅亡の原因はこの世の外にある」と知らされた哲学者プラトンは、いまだ一度も感じたことのなかった不思議な緊張と不安を覚えた……プラトン、悉達多…

トマス・M・ディッシュ著,浅倉久志,小島はな訳『SFの気恥ずかしさ』(2005=2022)

SFの気恥ずかしさ 作者:トマス・M・ディッシュ 国書刊行会 Amazon 『歌の翼に』『いさましいちびのトースター』の奇才トマス・M・ディッシュのSF評論集、ついに登場! SFの限界と可能性を論じた名講演「SFの気恥ずかしさ」をはじめ、新世代SF作家を批判し…

岡奈津子著『〈賄賂〉のある暮らし ー市場経済化後のカザフスタン』(2019)

〈賄賂〉のある暮らし :市場経済化後のカザフスタン 作者:岡奈津子 白水社 Amazon ほんとうの豊かさとは?1989から30年、市場化が問いかけるもの ソ連崩壊後、独立して計画経済から市場経済に移行したカザフスタン。国のありかたや人びとの生活はどのよ…

小倉孝保著『100年かけてやる仕事 -中世ラテン語の辞書を読む』(2019)

100年かけてやる仕事 ― 中世ラテン語の辞書を編む 作者:小倉 孝保 プレジデント社 Amazon 100年の歳月をかけて、英国で『英国古文献における中世ラテン語辞書』が完成した。市民の言語採取ボランティア「ワードハンター」たちと、英国学士院が総力を結集…

西井開著『「非モテ」からはじめる男性学』(2021)

「非モテ」からはじめる男性学 (集英社新書) 作者:西井開 集英社 Amazon 恋人がいない、女性から好意を向けられない等の苦悩は、「非モテ」という言葉によって九〇年代後半からネットを賑わせてきた。現在も「非モテ」問題は多くの男性の心を捉えて離さない…

奥村隆著『反コミュニケーション』(2013)

反コミュニケーション (現代社会学ライブラリー 11) 作者:奥村 隆 弘文堂 Amazon 私はコミュニケーションが嫌いだ。できれば人と会いたくない。ひとりでいたい。電話もメールもしたくない。たとえば電子メールというものがあって、これを仕事上使わなくては…

行方昭夫著『英語のセンスを磨くー実践英語への誘い』(2003)

英語のセンスを磨く――英文快読への誘い (岩波現代文庫) 作者:行方 昭夫 岩波書店 Amazon 英語は上級者なのに,一つ壁があって先に進めないと悩んでいませんか? 英文を正しく読むにはコンテクストの理解が必須です.難解で知られるヘンリー・ジェイムズの短篇…

沼野充義編著『やっぱり世界は文学でできている 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義2』(2013)

やっぱり世界は文学でできている: 対話で学ぶ〈世界文学〉連続講義2 作者:沼野充義 光文社 Amazon 東京大学教授の沼野充義(ロシア文学)と最前線で活躍する作家・学者たちが「新しい世界文学」について熱く語り合う! 世界文学とは、もはや読むべき価値のある…

山本貴光著『世界が変わるプログラム入門』(2016)

世界が変わるプログラム入門 (ちくまプリマー新書) 作者:山本貴光 筑摩書房 Amazon 現代人の基礎教養?!新しいプログラムを書くことは新しいコンピュータの使い方を発見すること。難解な数式不要!まずは紙と鉛筆と頭で入門しよう。 第1章 プログラムを身…

久保田晃弘,畠中実著『メディアアート原論』(2019)

メディアアート原論 フィルムアート社 Amazon メディア・アートは、なぜそう呼ばれているのか?ポストインターネット状況を経た、21世紀の芸術精神を探る! 次世代クリエーターのために、インテリジェントでコアな情報をコンパクトに提供する「Next Creator …

ウィリアム・シェイクスピア著,松岡和子訳『シェイクスピア全集Ⅰ ハムレット』(1996)

シェイクスピア全集 (1) ハムレット (ちくま文庫) 作者:W. シェイクスピア 筑摩書房 Amazon デンマークの王子ハムレットは、父王の亡霊から、叔父と母の計略により殺されたことを知らされ、固い復讐を誓った。悩み苦しみながらも、狂気を装い、ついに復讐を…

梨木香歩著『水辺にて on the water / off the water』(2006→2010)

水辺にて on the water / off the water (ちくま文庫 な 41-1) 作者:梨木 香歩 筑摩書房 Amazon カヤックで漕ぎだす、豊かで孤独な宇宙。そこは物語の予感に満ちている。

白川晋太郎著『ブランダム 推論主義の哲学 ープラグマティズムの新展開』(2021)

ブランダム 推論主義の哲学 作者:白川 晋太郎 青土社 Amazon カント、ヘーゲル、セラーズ、ローティ、ウィトゲンシュタイン、マクダウェルなどの議論を自在に取り込みながら、独自の理論体系を構築し、プラグマティズムを牽引するアメリカの哲学者ロバート・…

佐藤俊樹著『社会学の新地平ーウェーバーからルーマンへ』(2023)

社会学の新地平 ウェーバーからルーマンへ (岩波新書) 作者:佐藤 俊樹 岩波書店 Amazon マックス・ウェーバーとニクラス・ルーマン――科学技術と資本主義によって規定された産業社会の謎に挑んだふたりの社会学の巨人。難解で知られる彼らが遺した知的遺産を…

木庭顕著『クリティック再建のために』(2022)

クリティック再建のために (講談社選書メチエ) 作者:木庭 顕 講談社 Amazon 本書が掲げる「クリティック」は、ふつう「批評」や「批判」という日本語に訳されます。しかし、それらの語では十分に表されない意味が「クリティック」には含まれていることを日本…

小泉悠著『ウクライナ戦争』(2022)

ウクライナ戦争 (ちくま新書) 作者:小泉悠 筑摩書房 Amazon 2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻し、第二次世界大戦以降最大規模の戦争が始まった。国際世論の非難を浴びながらも、かたくなに「特別軍事作戦」を続けるプーチン、国内にとどまり…

絲山秋子著『離陸』(2014)

離陸 作者:絲山 秋子 文藝春秋 Amazon 時空を超えて足跡を残す〈女優〉とは何者か。大切な人を喪い、哀しみの果てに辿りつく場所とは。透徹した目で人生を描く感動長編。

山田登世子著『贅沢の条件』(2009)

贅沢の条件 (岩波新書) 作者:山田 登世子 岩波書店 Amazon 「あなたにとって贅沢とは何ですか?」――贅沢はお金で買えるのか,買えない贅沢とは何か.「タイム・イズ・マネー」のビジネス社会にあって,はたして「真の贅沢」とは何なのか――.修道院からココ・…

春日武彦著『恐怖の正体ートラウマ・恐怖症からホラーまで』(2023)

恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで (中公新書) 作者:春日武彦 中央公論新社 Amazon うじゃうじゃと蠢く虫の群れ、密集したブツブツの集合体、鋭い尖端、高所や閉所、人形、ピエロ、屍体――。なぜ人は「それ」に恐怖を感じるのか。人間心理の根源的な…

ドニー・アイカー著,安原和見訳『死に山 -世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相』(2013=2018→2023)

死に山 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相 作者:ドニー・アイカー 河出書房新社 Amazon 世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》──その全貌と真相を描く衝撃のノンフィクション! 1959年、冷戦下のソ連・ウラル山脈で起きた遭難事故…