読書

小林恭二著『ゼウスガーデン衰亡史』(1987)

ゼウスガーデン衰亡史 作者:小林恭二 株式会社シティブックス Amazon うらぶれた場末の遊園地、「下高井戸オリンピック遊戯場」は双子の天才、藤島宙一・宙二兄弟の卓越した経営手腕により急成長を遂げ、「ゼウスガーデン」と名を変えて、ありとあらゆる欲望…

千葉雅也,山内朋樹,読書猿,瀬下翔太著『ライティングの哲学-書けない悩みのための執筆論』(2021)

ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論 (星海社 e-SHINSHO) 作者:千葉雅也,山内朋樹,読書猿,瀬下翔太 講談社 Amazon 書くのが苦しい4人と一緒に「書けない」悩みを哲学しよう! 「書き出しが決まらない」「キーボードに向き合う気力さえ湧いてこな…

アンドレス・バルバ著,宇野和美訳『きらめく共和国』(2017→2020)

きらめく共和国 作者:アンドレス・バルバ 東京創元社 Amazon 1994年、緑のジャングルと茶色い川をかかえる亜熱帯の町サンクリストバルに、理解不能な言葉を話す子どもたちがどこからともなく現れた。彼らは物乞いをしたり盗みを働いたりして大人たちを不安に…

カルロ・ギンズブルグ著,杉山光信訳『チーズとうじ虫-16世紀の一粉挽屋の世界像』(1976=1984→2012)

チーズとうじ虫 新装版 作者:カルロ・ギンズブルグ みすず書房 Amazon 1583年9月、イタリア東北部、当時はヴェネツィア共和国本土属領のフリウリ地方において、ひとりの粉挽屋が教皇庁により告訴された。名をドメニコ・スカンデッラといい、人びとからはメノ…

スタニスワフ・レム著,沼野充義,工藤幸雄,長谷見一雄訳『完全な真空』(1971=1989)

完全な真空 (河出文庫) 作者:スタニスワフ・レム 河出書房新社 Amazon 誇大妄想的宇宙論からヌーヴォーロマンのパロディ評まで、16冊の架空の書物を論じたペダンティックな仕掛けに満ちた書評集。「ポスト・ボルヘス的書物」とカート・ヴォネガットの絶讃を…

馬場伸彦,池田太臣編著『「女子」の時代!』(2012)

「女子」の時代! (青弓社ライブラリー) 作者:馬場伸彦,池田太臣 青弓社 Amazon 女子力、女子会、大人女子、腐女子、歴女、森ガール……。「女子」はなぜ一気に広まり定着したのか。ファッション誌、写真、マンガ、音楽などのバラエティ豊かな素材から、従来の…

一ノ瀬正樹著『英米哲学史講義』(2016)

英米哲学史講義 (ちくま学芸文庫) 作者:正樹, 一ノ瀬 筑摩書房 Amazon 英米哲学の諸潮流は、「経験」を基盤に据えるという発想に導かれている。それは、ロックやヒュームらの「経験論」を共通の源泉とするためだ―。ベンサム、J.S.ミルに発する「功利主義…

辻村深月著『かがみの弧城』(2017)

かがみの孤城 作者:辻村 深月 ポプラ社 Amazon 学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集めら…

アリ・スミス著,木原善彦訳『両方になる』(2014=2018)

両方になる (新潮クレスト・ブックス) 作者:スミス,アリ 新潮社 Amazon 十五世紀イタリアに生きたルネサンスの画家と、母を失ったばかりの二十一世紀のイギリスの少女。二人の物語は時空を超えて響き合い、男と女、絵と下絵、事実と虚構の境界をも鮮やかに塗…

アブラム・デ・スワーン著,大平章訳『殺人区画-大量虐殺の精神性』(2015→2020)

殺人区画:大量虐殺の精神性(叢書・ウニベルシタス) 作者:デ・スワーン,アブラム 法政大学出版局 Amazon 二十世紀、非戦闘員に向けられた集団的暴力は戦争の三倍以上の人命を奪ったと言われる。ホロコーストをひとつの頂点として、ホロドモールやポル・ポト派…

大川真郎著『豊島産業廃棄物不法投棄事件-巨大な壁に挑んだ25年のたたかい』(2001)

豊島産業廃棄物不法投棄事件 作者:大川 真郎 日本評論社 Amazon わが国最大規模の不法投棄事件といわれる豊島産業廃棄物不法投棄事件。不法投棄に手を貸し、停止したのちの廃棄物の撤去を拒否した香川県当局と1400人の住民との25年に渡る長きたたかいを克明…

小川勝著『東京オリンピック-「問題」の核心は何か」(2016)

東京オリンピック 「問題」の核心は何か (集英社新書) 作者:小川勝 集英社 Amazon さまざまな「問題」が露呈する、2020年東京オリンピック・パラリンピック。その開催に際して政府が示す「基本方針」は、日本選手に金メダルのノルマを課し、不透明な経済効果…

道尾秀介著『龍神の雨』(2009→2012)

龍神の雨(新潮文庫) 作者:道尾秀介 新潮社 Amazon 添木田蓮と楓は事故で母を失い、継父と三人で暮らしている。溝田辰也と圭介の兄弟は、母に続いて父を亡くし、継母とささやかな生活を送る。蓮は継父の殺害計画を立てた。あの男は、妹を酷い目に遭わせたか…

小川哲著『ユートロニカのこちら側』(2015)

ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA) 作者:小川 哲 早川書房 Amazon 巨大情報企業による実験都市アガスティアリゾート。その街では個人情報―視覚や聴覚、位置情報等全て―を提供して得られる報酬で、平均以上の豊かな生活が保証される。しかし、誰もが羨…

山岸真編『90年代SF傑作選 下』(2002)

山岸真編『90年代SF傑作選 下』(2002) 90年代SF傑作選〈下〉 (ハヤカワ文庫SF) 早川書房 Amazon ネビュラ賞とローカス賞を受賞したビッスンの諷刺SF、カナダを代表する作家ソウヤーによる、シャーロック・ホームズのパスティーシュSF、論理のアクロバット…

佐々木敦著『それを小説と呼ぶ』(2020)

それを小説と呼ぶ 作者:佐々木敦 講談社 Amazon 「批評」の終幕、そして「小説」の到来。小説という問題、その思考の足跡をすべて刻む。『新しい小説のために』、『これは小説ではない』に続く、文芸批評家としての最後の主著。 第一章 方法序説第二章 世界…

青山拓央著『時間と自由意志-自由は存在するか』(2016)

時間と自由意志:自由は存在するか (単行本) 作者:青山 拓央 筑摩書房 Amazon これまで自由意志/決定論の対立として論じられてきた難問を、自由とは何かという議論からいったん離れ、「分岐問題」の枠組みのもとで考察しなおす。従来の哲学が依拠してきた対立…

吉川浩満著『理不尽な進化 増補新版-遺伝子と運のあいだ』(2014→2021)

理不尽な進化 増補新版 ――遺伝子と運のあいだ (ちくま文庫) 作者:吉川 浩満 筑摩書房 Amazon 生物種の99.9パーセントが絶滅する。生物の歴史はずいぶんと「理不尽」な遍歴をたどってきた。本書は、絶滅という観点から生物の歴史を眺め、俗説が人びとを魅…

小坂井敏晶著『増補 責任という虚構』(2008→2020)

増補 責任という虚構 (ちくま学芸文庫) 作者:小坂井敏晶 筑摩書房 Amazon 人間は自由意志を持った主体的存在であり、自己の行為に責任を負う。これが近代を支える人間像だ。しかし、社会心理学や脳科学はこの見方に真っ向から疑問を投げかける。ホロコースト…

松里公孝著『ポスト社会主義の政治 ─ポーランド、リトアニア、アルメニア、ウクライナ、モルドヴァの準大統領制』(2021)

ポスト社会主義の政治 ――ポーランド、リトアニア、アルメニア、ウクライナ、モルドヴァの準大統領制 (ちくま新書) 作者:松里 公孝 筑摩書房 Amazon 約三〇年前、ソ連・東欧の社会主義政治体制は崩壊した。議会制=ソヴェト制の外観の下、一党制または事実上…

梶谷懐,高口康太著『幸福な監視国家・中国 』(2019)

幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書) 作者:梶谷 懐,高口 康太 NHK出版 Amazon 習近平体制下で、人々が政府・大企業へと個人情報・行動記録を自ら提供するなど、AI・アルゴリズムを用いた統治が進む「幸福な監視国家」への道をひた走っているかに見える中…

中野敏男著『ヴェーバー入門ー理解社会学の射程』(2020)

ヴェーバー入門 ――理解社会学の射程 (ちくま新書) 作者:中野敏男 筑摩書房 Amazon 社会的行為の動機を理解し、その内面から人間と社会のあり方を考える。これが、近代社会学の祖とされ、社会科学全般に決定的影響を与えたマックス・ヴェーバーの学問の核心に…

小田玄紀著『1時間でわかるビットコイン入門 〜1円から送る・使う・投資する〜』(2018)

1時間でわかるビットコイン入門 【2018年1月最新改訂版】 ~1円から送る・使う・投資する~ (NextPublishing) 作者:小田 玄紀 good.book Amazon 「ビットコイン」「仮想通貨」の最新版入門書が登場!「支払い」で使うときに気を付けることは?「送金」がお得…

『SFマガジン』6月号, Vol.62 No.745, 2021

SFマガジン 2021年 06 月号 異常論文特集 早川書房 Amazon 異常論文特集監修:樋口恭介柴田勝家の異常論文を読んだ樋口恭介が「異常論文アンソロジー読みてえ」とツイートし、それを読んだ異常編集者・塩澤快浩が「SFマガジンでお願いできますか? 特集で…

大森望,伴名練編『2010年代SF傑作選 2』(2020)

2010年代SF傑作選2 (ハヤカワ文庫JA) 発売日: 2020/02/06 メディア: 文庫 ハヤカワSFコンテストと創元SF短編賞という2つの新人賞が創設された2010年代。ジャンル外の文学賞でも評価される宮内悠介、高山羽根子、小川哲をはじめ、酉島伝法、柴田勝家、倉…

佐々木敦著『「批評」とは何か?-批評家養成ギブス』(2008)

「批評」とは何か? : 批評家養成ギブス (BRAINZ叢書) 作者:佐々木敦 発売日: 2015/04/17 メディア: Kindle版 音楽批評、映画批評、文芸批評…そして批評の言葉はジャンルを「貫通」する本気で書きたい人のための「批評」入門。

舞城王太郎著『煙か土か食い物』(2001)

煙か土か食い物 (講談社文庫) 作者:舞城王太郎 発売日: 2012/12/03 メディア: Kindle版 腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが?ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー!故郷に戻った四郎を待つ…

宮内悠介著『彼女がエスパーだったころ』(2016→2018)

彼女がエスパーだったころ (講談社文庫) 作者:宮内悠介 発売日: 2018/04/13 メディア: Kindle版 スプーンなんて、曲がらなければよかったのに―。百匹目の猿、エスパー、オーギトミー、代替医療…人類の叡智=科学では捉えきれない超常現象を通して、人間は再発…

稲葉振一郎著『銀河帝国は必要か-ロボットと人類の未来』(2019)

銀河帝国は必要か? (ちくまプリマー新書) 作者:振一郎, 稲葉 発売日: 2019/09/06 メディア: 新書 超高機能ロボットとの共存や、宇宙への進出がリアリティを増してきた現代。「人間」のアイデンティティも大きく揺らいでいる。「心ある者」とはいったいなんな…

島本理生著『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』(2017)

わたしたちは銀のフォークと薬を手にして (幻冬舎文庫) 作者:島本 理生 発売日: 2020/04/08 メディア: 文庫 限られた時間。たった一度の出会い。特別じゃないわたしたちの、特別な日常。 蟹と、苺と金色の月 桜、生しらす、春の海 雨の映画館、焼き鳥、手を…