社会

東浩紀著『訂正する力』(2023)

訂正する力 (朝日新書) 作者:東 浩紀 朝日新聞出版 Amazon ひとは誤ったことを訂正しながら生きていく。 哲学の魅力を支える「時事」「理論」「実存」の三つの視点から、現代日本で「誤る」こと、「訂正」することの意味を問い、この国の自画像をアップデー…

岡奈津子著『〈賄賂〉のある暮らし ー市場経済化後のカザフスタン』(2019)

〈賄賂〉のある暮らし :市場経済化後のカザフスタン 作者:岡奈津子 白水社 Amazon ほんとうの豊かさとは?1989から30年、市場化が問いかけるもの ソ連崩壊後、独立して計画経済から市場経済に移行したカザフスタン。国のありかたや人びとの生活はどのよ…

西井開著『「非モテ」からはじめる男性学』(2021)

「非モテ」からはじめる男性学 (集英社新書) 作者:西井開 集英社 Amazon 恋人がいない、女性から好意を向けられない等の苦悩は、「非モテ」という言葉によって九〇年代後半からネットを賑わせてきた。現在も「非モテ」問題は多くの男性の心を捉えて離さない…

奥村隆著『反コミュニケーション』(2013)

反コミュニケーション (現代社会学ライブラリー 11) 作者:奥村 隆 弘文堂 Amazon 私はコミュニケーションが嫌いだ。できれば人と会いたくない。ひとりでいたい。電話もメールもしたくない。たとえば電子メールというものがあって、これを仕事上使わなくては…

佐藤俊樹著『社会学の新地平ーウェーバーからルーマンへ』(2023)

社会学の新地平 ウェーバーからルーマンへ (岩波新書) 作者:佐藤 俊樹 岩波書店 Amazon マックス・ウェーバーとニクラス・ルーマン――科学技術と資本主義によって規定された産業社会の謎に挑んだふたりの社会学の巨人。難解で知られる彼らが遺した知的遺産を…

須永史生著『ハゲを生きる-外見と男らしさの社会学』(1999)

ハゲを生きる―外見と男らしさの社会学 作者:須長 史生 勁草書房 Amazon 「ハゲると女性にもてない」「ハゲがダメなんじゃない、堂々としてないからダメなんだ」……ハゲについて当たり前のように繰り返される発言。はたしてそれらは本当なのか。著者の取材によ…

デヴィッド・グレーバー著,酒井隆史他訳『ブルシット・ジョブ-クソどうでもいい仕事の理論』(2018=2020)

ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論 作者:デヴィッド グレーバー 岩波書店 Amazon やりがいを感じないまま働く。ムダで無意味な仕事が増えていく。人の役に立つ仕事だけど給料が低い――それはすべてブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)の…

野尻亘「現代の流動化する時空間と 身体性の変容 ー欧米の人文地理学・社会学における モビリティ・アプローチの背景とその限界性ー」『桃山学院大学社会学論集』57(1)

【リンク】 The trends in the mobility approach in Anglophone human geographyand sociology are reviewed from its backgrounds and limitations.The author compares the characteristics of theories on mobility form thesociologists Urry and Shell…

北田暁大, 栗原裕一郎, 後藤和智著『現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史』(2017)

現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史 (イースト新書) 作者:北田暁大,栗原裕一郎,後藤和智 イースト・プレス Amazon この30年、日本の論壇はどのように在ったのか。たとえば、「若者論」。バッシングから擁護へと大きく舵を切った「若者論」の背景には、年…

貞包英之著『消費社会を問いなおす』(2023)

消費社会を問いなおす (ちくま新書 1706) 作者:貞包 英之 筑摩書房 Amazon 平成のデフレ不況を乗り越えてもなお、消費社会は私たちの生活全体を覆い尽くしている。消費社会がもたらしたのは「豊かさ」ばかりでなく、深刻な格差や環境問題でもあった。一…

北田暁大著『実況中継・社会学ー等価機能主義から学ぶ社会分析』(2022)

実況中継・社会学: 等価機能主義から学ぶ社会分析 (単行本) 作者:北田 暁大 有斐閣 Amazon 東京大学での講義をもとにした書き下ろし教科書。「いじめ」「愛国心」「○○化する社会」など,社会的な話題をどう考えると社会学になるのか。「等価機能主義」に軸足…

五十嵐彰,追田さやか著『不倫-実証分析が示す全貌』(2023)

不倫―実証分析が示す全貌 (中公新書) 作者:五十嵐彰,迫田さやか 中央公論新社 Amazon 配偶者以外との性交渉を指す「不倫」。毎週のように有名人がスクープされる関心事である一方、客観的な情報は乏しい。経済学者と社会学者が総合調査を敢行し、海外での研…

シェリー・タークル著, 日暮雅通訳『一緒にいてもスマホーSNSとFTF』(2016=2017)

一緒にいてもスマホ ―SNSとFTF― 作者:シェリー・タークル,日暮雅通 青土社 Amazon あなたはどこ? あなたはだれ? 待って、何が起きてるの?急激に広まったスマートフォンは、いつどこででも連絡を取り合える日常を作り出した。その反面、親子、友人、恋人同…

松谷邦英「イリイチ再考一一コンヴィヴィアルな社会の展望」『社会科学ジャーナル』50, 2003

【pdf】 53「ここで銘記すべきは、こうしたイリイチの所論を産業社会の全否定と混同しではならない、という点であろう。イリイチの所論は、あくまでも産業化の不可逆性の認識の上に立った、社会構造の反転の思想である。すでに明らかなように、それは反制度…

イヴァン・イリイチ著,渡辺京二,渡辺梨佐訳『コンヴィヴィアリティのための道具』(1973=1989→2015)

コンヴィヴィアリティのための道具 (ちくま学芸文庫) 作者:イヴァン イリイチ 筑摩書房 Amazon ますます混迷の度を深め、閉塞感が高まる現代。現行の諸制度に対する不満がさまざまな形で噴出している。では、めざすべき新たな社会とはどういったものか―。イ…

森真一著『ほんとはこわい「やさしさ社会」』(2008)

ほんとはこわい「やさしさ社会」 (ちくまプリマー新書) 作者:森 真一 筑摩書房 Amazon 「やさしさ」「楽しさ」が無条件に善いとされ、人間関係のルールである現代社会。それがもたらす「しんどさ」「こわさ」をなくし、もっと気楽に生きるための智恵を探る。…

松本健太郎,塙幸枝著『コンテンツのメディア論-コンテンツの循環とそこから派生するコミュニケーション』(2022)

コンテンツのメディア論―コンテンツの循環とそこから派生するコミュニケーション 作者:松本健太郎,塙幸枝 新曜社 Amazon バルトは「作品からテクストへ」といったが、今や「テクストからコンテンツへ」といえよう。コンテナ(容れ物)と対で考えられてきたコ…

増田聡著『聴衆をつくる-音楽批評の解体文法』(2006)

聴衆をつくる―音楽批評の解体文法 作者:増田 聡 青土社 Amazon いま音楽を語るとき、何を前提とすべきなのか?テクノロジーの土台の変化によって、「音楽」そのものが動揺しつつある現状を思考すること、音楽に絡みつく「日本」の現在に介入すること、既存の…

ハル・アベルソン,ケン・リーディン,ハリー・ルイス,ウェンディ・セルツァー著,尼丁千津子訳『教養としてのデジタル講義ー今こそ知っておくべき「デジタル社会」の基礎知識』(2020=2021)

教養としてのデジタル講義 今こそ知っておくべき「デジタル社会」の基礎知識 作者:ハル・アベルソン,ケン・リーディン,ハリー・ルイス,ウェンディ・セルツァー 日経BP Amazon 「デジタル社会」の弊害と危険を避けて、恩恵と可能性を見いだすための1冊です。 …

河合香織著『帰りたくない-少女沖縄連れ去り事件』(2007→2010)

帰りたくない―少女沖縄連れ去り事件―(新潮文庫) 作者:河合香織 新潮社 Amazon 家には帰りたくない──47歳の男に連れ回され、沖縄で保護された10歳の少女はそう言った。親子のように振る舞い、時に少女が主導権を握っているかのように見えた二人の間に、一体…

ロイ・リチャード・グリンカー著,高橋洋訳『誰も正常ではない-スティグマは作られ、作り変えられる』(2021=2022)

誰も正常ではない――スティグマは作られ、作り変えられる 作者:ロイ・リチャード・グリンカー みすず書房 Amazon 正常・異常をめぐるスティグマは、ただ漫然と生じたものではない。科学や医学はつねに権威をもって「異常」とすべきもののカテゴリーを作りだし…

田島悠来編『アイドル・スタディーズ -研究のための視点、問い、方法』(2022)

アイドル・スタディーズ――研究のための視点、問い、方法 作者:田島 悠来,上岡 磨奈,石井 純哉,香月 孝史,青田 麻未,関根 禎嘉,大尾 侑子,陳 怡禎,松本 友也,中村 香住 明石書店 Amazon これまでの研究動向を整理しつつ、最新の研究事例や実践を紹介すること…

ベン・グリーン,中村健太郎,酒井康史訳『スマート・イナフ・シティ -テクノロジーは都市の未来を取り戻すために』(2019=2022)

スマート・イナフ・シティ: テクノロジーは都市の未来を取り戻すために 作者:ベン・グリーン 人文書院 Amazon 過剰なテクノロジー信仰がもたらす「技術中心の」スマート・シティを回避するにはどうすべきか。 序謝辞 1章 スマート・シティ---水平線上の新時…

【書評】流王貴義「岡崎宏樹著 『バタイユからの社会学―至高性,交流,剝き出しの生』」『社会学評論』2021年 72巻 1号 p.62-63

【リンク】 岡崎『バタイユからの社会学―至高性,交流,剝き出しの生』 バタイユからの社会学 (KGUP série 社会文化理論研究) 作者:岡崎 宏樹 関西学院大学出版会 Amazon

藤田 結子, 額賀 美紗子「家庭における食事の用意をめぐる意味づけ ―質的調査からみる育児期就業女性の対処戦略と階層化―」『社会学評論』2021年 72巻 2号 p.151-168

【リンク】 本稿は,女性の社会進出と女性の階層化が同時に進む中,育児期に就業する女性は,食事に関わる家事が自分に偏る状況をどう意味づけているのか,「手作り規範」に注目して考察することを目的とする.リサーチクエスチョンとして,(1)「育児期に…

筒井淳也著『社会を知るためには』(2020)

社会を知るためには (ちくまプリマー新書) 作者:筒井淳也 筑摩書房 Amazon 「社会」という言葉は、様々な形で使われていて、普段は存在を意識しないが、その実態はとてもあいまいだ。では、どのようにすれば「社会」を理解できるのか?複雑化、副作用、絡み…

関めぐみ著『〈女子マネ〉のエスノグラフィー-大学運動部における男同士の絆と性差別』(2018)

〈女子マネ〉のエスノグラフィー(大学運動部における男同士の絆と性差別) 作者:関 めぐみ 晃洋書房 Amazon 女性とスポーツの新たな関係はつくりだせるのか? 〈女子マネ〉の経験をエスノグラフィーとして描くことで,その多様性を伝え,社会的に付与されている…

稲田豊史著『映画を早送りで観る人たちーファスト映画・ネタバレーコンテンツ消費の現在形』(2022)

映画を早送りで観る人たち~ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形~ (光文社新書) 作者:稲田 豊史 光文社 Amazon なぜ映画や映像を早送り再生しながら観る人がいるのか――。なんのために? それで作品を味わったといえるのか?著者の大きな違和感と…

アシュリー・ミアーズ著,松本裕訳『グローバル・パーティーサーキットの社会学』(2020=2022)

VIP――グローバル・パーティーサーキットの社会学 作者:アシュリー・ミアーズ みすず書房 Amazon 元モデル研究者が超富裕層のパーティー界に潜入し、「モデルとボトル」の世界を分析。いかにして女性美は男のステータスに転換されるか? 「蚊に刺され、午後の…

クリス・ベイル著,松井信彦訳『ソーシャルメディア・プリズム-SNSはなぜヒトを過激にするのか?』(2021=2022)

ソーシャルメディア・プリズム――SNSはなぜヒトを過激にするのか? 作者:クリス・ベイル みすず書房 Amazon 「われわれのチームは、何千何万というソーシャルメディア・ユーザーの複数年にわたる行動を記述した億単位のデータポイントを収集してきた。自動化…