ヘンリー・ジェンキンス著,渡部宏樹他訳『コンバージェンス・カルチャー ーファンとメディアがつくる参加型文化』(2006=2021)

 

『サバイバー』、『アメリカン・アイドル』、『マトリックス』、『スター・ウォーズ』、『ハリー・ポッター』……世界的ヒットを記録したエンターテインメントは、多くのファンたちが積極的に参加することで熱狂の渦が生まれた。映画やアニメ、ゲーム、コミックなど多岐にわたるメディア・プラットフォームのもとに、ポップカルチャーのファンたちは集まり、コミュニティをつくる。そこは新しい知識が生み出され、主体的な参加が促される創造的な場である。もはやメディア産業もファンダムを無視してコンテンツをつくることはできない。
本書は、メディア研究の第一人者が、<コンヴァージェンス>の理論をもちいてトランスメディアの複雑な関係を読みとく古典的名著。ファンと産業界が衝突しながらもともに切りひらいてきた豊かな物語世界の軌跡をたどり、参加型文化にこれからの市民社会を築く可能性を見出す。もう消費するだけでは満足できないファンたちは、どこへ向かうのか? 企業を揺さぶり、社会をも変えてきた、ポップカルチャーの力を探る。

イントロダクション「コンヴァージェンスの祭壇で祈ろう」
──メディアの変容を理解するための新しいパラダイム

第1章 『サバイバー』のネタバレ
──知識コミュニティの解剖学

第2章 『アメリカン・アイドル』を買うこと
──私たちはリアリティ番組でどのように売られるか

第3章 折り紙ユニコーンを探して
──『マトリックス』とトランスメディアストーリーテリング

第4章 クエンティン・タランティーノの『スター・ウォーズ』?
──草の根の創造性とメディア産業の出会い

第5章 どうしてヘザーは書けるのか
──メディアリテラシーハリー・ポッター戦争

第6章 民主主義のためのフォトショップ
──政治とポップカルチャーの新しい関係

結論 テレビを民主化する?  ──参加の政治学

あとがき  ──YouTube時代の政治を振り返る