増田聡著『聴衆をつくる-音楽批評の解体文法』(2006)

 

いま音楽を語るとき、何を前提とすべきなのか?テクノロジーの土台の変化によって、「音楽」そのものが動揺しつつある現状を思考すること、音楽に絡みつく「日本」の現在に介入すること、既存の音楽言説が自明とする諸概念を疑うこと。音楽批評言語の組み替えを通じ、新たな「聴衆」をつくる野心的思索=投機。

第1章 聴衆の生産―「聴くこと」の文化研究
第2章 ジャンルの牢獄
第3章 形式美学の限界―小泉文夫の歌謡曲論について
第4章 誰が誰に語るのか―Jポップの言語行為論・試論
第5章 日本語ロック論争の問題系―はっぴいえんど史観を留保する
第6章 記号としての「ニッポン」―軽やかに歌われる君が代ポップ
第7章 音楽を「所有」すること―「大地讃頌」事件と著作権制度
第8章 複製技術の時代の終焉