「社会学の古典」であるピエール・ブルデューの『ディスタンクシオン』の問題設定・理論・方法を批判的に継承し、量的調査と質的調査を組み合わせて、趣味や嗜好などに関わる文化が社会で資本としてどのように機能しているのかを明らかにする。
序論
第1部 分析の位置づけ
第1章 『ディスタンクシオン』以後の文化
1 序
2 ブルデューの三つの公理
3 フランス社会学でのブルデューをめぐる論争
4 教育と社会階層の社会学におけるブルデュー
5 文化社会学でのブルデュー
6 文化研究とメディア研究におけるブルデュー
7 結論第2章 文化資本の調査に向けて――理論と方法に関するいくつかの問い
1 序
2 ハビトゥスと実践の分散
3 文化資本の分解
4 界の理論と社会的なものの関係論的組織化
5 方法論序説
6 結論第2部 嗜好・実践・個人のマッピング
第3章 イギリスの文化的趣味と関与のマッピング
1 序
2 多重対応分析の使用
3 ライフスタイル空間――二〇〇三年イギリスの文化マップ
4 社会集団とライフスタイル空間
5 イギリスの階級構造
6 結論第4章 文化マップのなかの諸個人
1 序
2 ライフスタイルの空間での諸個人
3 嗜好についての発言における俗物性と多様性
4 結論第3部 文化界と文化資本の構成
第5章 音楽界の緊張関係
1 序
2 競争的な文化の界としての音楽
3 音楽の嗜好の輪郭
4 音楽の嗜好の強さ
5 音楽と行動
6 結論第6章 人気と稀有と――読むことの界に関する探究
1 序
2 読むことの機能
3 本の文化
4 新聞と雑誌――日常的に読むことの利用
5 結論第7章 視覚芸術の社会学的カンバス
1 序
2 絵画を対照化すること
3 視覚芸術を消費すること
4 視覚芸術を鑑賞すること
5 結論第8章 卓越化の対照的なダイナミクス――メディア領域
1 序
2 テレビと映画での階級間の相違
3 テレビと卓越化の新しい実践
4 映画と「美学」と「リアルなもの」という差異化の力
5 結論第9章 文化資本と身体
1 序
2 身体化された文化資本という概念
3 スポーツと身体的運動
4 身体の装飾とケア
5 食事と料理
6 結論第3部の要約
第4部 卓越化の社会的次元
第10章 中産階級の文化形成
1 序
2 中産階級をめぐる議論
3 イギリスの中産階級
4 オムニボア性の解明
5 中産階級のアイデンティティ形成
6 結論第11章 文化と労働者階級
1 序
2 文化の考慮
3 イギリスの労働者階級の現在
4 距離化
5 卓越化のローカルなゲーム――労働者階級内の分断
6 階級の敵意?
7 結論第12章 ジェンダーと文化資本
1 序
2 ジェンダーと世帯関係
3 諸文化界と諸個人のジェンダー化
4 せめぎ合うジェンダー・アイデンティティ
5 結論第13章 ネイション、エスニシティ、グローバル化
1 序
2 ホームとアウェー
3 イギリス・アメリカ・ヨーロッパの文化スケープ
4 結論結論
方法論補遺
補遺1:フォーカスグループ
補遺2:質問紙調査とその分析
補遺3:世帯インタビュー
補遺4:エリートインタビュー登場人物
参考文献
訳者解説 磯 直樹/相澤真一
人名索引
事項索引