蘆田裕史,藤嶋陽子,宮脇千絵編著『クリティカル・ワード ファッションスタディーズ ー私と社会と衣服の関係』(2022)

 

ファッションを読み解く23のキーワードと、
さらに深く知るための11の分野のブックガイド。

現代文化を考えるうえで知っておきたい基本と、
多様な視点・アプローチを学ぶことができる、
新時代のファッションスタディーズの入門書が登場。

ファッションは「時代を映す鏡」だと言われています。社会状況や文化の変容にともない、ファッションを取り巻く状況も大きく変化しています。流行の変遷や資本主義グローバリズムの加速、その反省や批判的視点からもたらされたサステナビリティエコロジーへの意識、多様性/ジェンダー/マイノリティへの多角的な視座といった、現代社会において最重要である問題は、ファッションの分野から新たな事例や議論が生まれ続けていると言っても過言ではありません。さらに、3DプリンターやAR/VR等、テクノロジーの進化や成熟がもたらすファッションの新たな可能性と展開は常に注目を集めており、その一方で、人間の身体性の再考の重要性も議論されています。このように、ファッションについて考えることは、現代文化のあり方を多角的に考えることにもなると言えるでしょう。

本書は、「ファッションスタディーズ」という分野について、その歴史や文脈と紐付けながら、理論や事項をマッピング・整理し直すことで、ファッションスタディーズの新たな射程を見通すことを試みた、まったく新しい「ファッションスタディーズ入門」です。
現代ファッションをとりまくものの多様性・横断性に特に注目し、哲学、社会学文化人類学、メディア論、ジェンダー論、環境学、デザイン論といった、多様な分野とファッションの結びつきを照らし出します。

はじめに 蘆田裕史

第1部 理論編──過去から現在にわたるファッションのとらえ方
1 流行 香室結美
2 消費 藤嶋陽子
3 メディア 平芳裕子
4 コミュニケーション 高馬京子
5 アイデンティティ 宮脇千絵
6 ジェンダー 西條玲奈
7 身体 小澤京子
8 テクノロジー 水野大二郎

第2部 事例編──ファッションを理解するための重要トピック
個とグローバリゼーション
1 民族衣装 宮脇千絵
2 ストリートファッション 有國明弘
3 ルッキズム 蘆田裕史

自己の演出
4 映画と衣裳 北村匡平
5 宗教と衣服 野中葉
6 ヴァーチャルファッション 難波優輝

規範と作法
7 ドレスコード 赤阪辰太郎
8 コピー 朝倉三枝
9 子ども服 新實五穂

価値のシステム
10 セレブリティ/インフルエンサー 田中里尚
11 ブランド 菊田琢也
12 文化の消費 田本はる菜

サステナビリティ
13 グローバルマーケットと生産 南出和余
14 リサイクルとバイオファッション 川崎和也
15 天然繊維 落合雪野

第3部 文献で読みとくファッションスタディーズ(分野別ブックガイド)
1 哲学・美学 赤阪辰太郎
2 社会学 田中里尚
3 文化人類学 中谷文美
4 ファッション史・服飾史 鈴木彩
5 批評 五十棲亘
6 メディア論 五十棲亘
7 記号論 ⾼橋⾹苗・劉芳洲
8 ジェンダー論 関根麻里
9 環境学 平田英子
10 デザイン論 川崎和也
11 身体論 村上由鶴

人名索引
事項索引

253 批評

蘆田『言葉と衣服』

言葉と衣服

言葉と衣服

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リオネロ『美術批評史』

ノエル『批評についてー芸術批評の哲学』

西谷『ファッションは語りはじめたー現代日本のファッション批評』

257 メディア論

鹿島『デパートを発明した夫婦』

261 記号論

小野原『闘う衣服』80-90年代日本ファッション雑誌のことば

日本記号学会『着ること/脱ぐことの記号論

平芳裕子『まなざしの装置ーファッションと近代アメリカ』

273 デザイン論

パパネック『生きのびるためのデザイン』

水野・津田『サーキュラーデザイン』

エスコバル『多世界のためのデザイン Design fot the Pluriverse』