政治

松里公孝著『ポスト社会主義の政治 ─ポーランド、リトアニア、アルメニア、ウクライナ、モルドヴァの準大統領制』(2021)

ポスト社会主義の政治 ――ポーランド、リトアニア、アルメニア、ウクライナ、モルドヴァの準大統領制 (ちくま新書) 作者:松里 公孝 筑摩書房 Amazon 約三〇年前、ソ連・東欧の社会主義政治体制は崩壊した。議会制=ソヴェト制の外観の下、一党制または事実上…

梶谷懐,高口康太著『幸福な監視国家・中国 』(2019)

幸福な監視国家・中国 (NHK出版新書) 作者:梶谷 懐,高口 康太 NHK出版 Amazon 習近平体制下で、人々が政府・大企業へと個人情報・行動記録を自ら提供するなど、AI・アルゴリズムを用いた統治が進む「幸福な監視国家」への道をひた走っているかに見える中…

ニコラス・ローズ著, 檜垣立哉監訳, 小倉拓也, 佐古仁志, 山崎吾郎訳『生そのものの政治学―二十一世紀の生物医学, 権力, 主体性』(2007=2014)

生そのものの政治学〈新装版〉:二十一世紀の生物医学、権力、主体性(叢書・ウニベルシタス) 作者:ローズ,ニコラス 発売日: 2019/11/20 メディア: 単行本 19世紀以来、国家は健康と衛生の名のもとに、人々の生死を管理する権力を手にしてきた。批判的学問や…

古賀光生「西欧の右翼ポピュリスト政党の台頭は、「文化的な反動」 によるものであるのか? ―政策の比較分析から検討する」『年報政治学』2019年, 70巻, 2号, p. 2_84-2_108

【本文】 本稿は、西欧における右翼ポピュリスト政党の 「文化的な」 争点への態度を検討する。ノリスとイングルハートによる有力な先行研究 (Pippa Norris and Inglehart 2019) は、「権威主義的なポピュリスト」 の支持拡大は、脱物質主義的な価値観の主流…

今井貴子「成熟社会への掣肘 ―イギリスのEU離脱をめぐる政治社会」『年報政治学』2019年, 70巻, 2号, p. 2_58-2_83

【本文】 欧州連合 (EU) からの離脱を決した2016年国民投票後、イギリスは妥協を排除するような 「情動的分極化」 に陥っているといわれている。それは階級的亀裂や排外主義は後景に退くとさえ論じられた 「成熟社会」 への劇的な掣肘であったといえよう。本…

山崎望「「成熟社会論」 から 「ケアの倫理とラディカルデモクラシーの節合」 へ ―「新自由主義―権威主義」 への対抗政治構想」『年報政治学』2019年, 70巻, 2号, p. 2_13-2_35

【本文】 新自由主義と権威主義的ポピュリズムに対して、現在、自由民主主義は有効性と正統性の二つの側面で、危機に直面している。第1章で自由民主主義の危機について論じる。第2章では、成熟社会論を手掛かりに、自由民主主義の有効性と正統性が危機に陥っ…

網谷龍介「20世紀ヨーロッパにおける政党デモクラシーの現実モデル ―H. ケルゼンの民主政論を手がかりに―」『年報政治学』2016年, 67巻, 2号, p.78-98

【本文】 本論文は, 議会制デモクラシーをめぐるわれわれの理解について, 歴史的な視点から再検討を行うものである。現在, 民主政の経験的研究においては, 「競争」 を鍵となるメカニズムとするのが通例である。本論文はこのような想定を相対化し, 「競争」 …

粕谷祐子「「一票の格差」をめぐる規範理論と実証分析 ―日本での議論は何が問題なのか―」『年報政治学』2015年, 66巻, 1号, p.90-117

【本文】 In Japan, malapportionment—the high level of disparity in the size of the population, and thus the weight of votes, across electoral districts—has been a national concern for several decades. Through a review of both normative the…

田村哲樹「観察可能なものと観察不可能なもの ―規範・経験の区別の再検討―」『年報政治学』2015年, 66巻, 1号, p.37-60

【本文】 Scholars of politics have been familiar with normative-empirical distinction. Yet this article reconsiders this divide through exploring another classification in terms of the “observable” and the “unobservable”. According to this…

田畑真一「代表関係の複数性 ―代表論における構築主義的転回の意義―」『年報政治学』2017年, 68巻, 1号, p.181-202

【本文】 本稿の目的は, 「代表関係の複数性」 を強調する近年の代表論を 「構築主義的転回」 という観点から捉え, その理論的射程を検討することにある。まず, 従来の代表論の特徴をH・ピトキンの代表論に確認し, そこでの本人―代理人関係という構図を乗り…

善教将大, 秦正樹「なぜ「わからない」 が選択されるのか : ─サーベイ実験による情報提示がDKに与える影響の分析─」『年報政治学』2017年, 68巻, 1号, p.159-180

【本文】 本稿の目的は, 政治意識調査における 「わからない (「DK」)」 の発生メカニズムを, サーベイ実験により明らかにすることである。先行研究ではDKの規定要因として政治関心や政治知識の欠如が指摘されてきたが, 本稿は回答者に情報を与えることがか…

石川敬史「アメリカ革命期における主権の不可視性」『年報政治学』2019 年, 70巻, 1号, p.96-116

【本文】 一七七六年にイギリス領北アメリカ植民地がヨーロッパ諸国に公表した 「独立宣言」 は、イギリス本国において一六八八年の名誉革命を経て形成された議会主権が植民地にも及ぶという主張に対する異議申し立てであった。 一七八三年のパリ条約で独立…

森川友義「「進化政治学」とは何か?」『年報政治学』2008年, 59巻, 2号, p.2_217-2_236

【本文】 In recent years, so-called “Evolutionary Political Science” has drawn much attention from political scientists in the United States as well as in Europe. Little is known, however, about the overall framework of the approach, as it…

早川誠「非主権的政治体は可能か ―政治思想におけるcommunitas communitatumをめぐって」『年報政治学』2019年, 70巻, 1号, p. 1_36-1_55

【本文】 本論文の目的は、主権国家とは異なる非主権的政治体の可能性を、20世紀初頭のイギリス多元的国家論と現代イギリスの多文化主義論の比較を通じて、探ることにある。また非主権的政治体との対比によって、主権国家の一側面を明らかにすることも試みる…

ジョナサン・ハイト著, 高橋洋訳『社会はなぜ左と右にわかれるのか-対立を超えるための道徳心理学』(2012=2014)

社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学 作者:ジョナサン・ハイト 発売日: 2014/04/24 メディア: 単行本 リベラルはなぜ勝てないのか?政治は「理性」ではなく「感情」だ―気鋭の社会心理学者が、哲学、社会学、人類学、進化理論などの…

安高啓朗「ネオリベラリズムの生命力 ―世界金融危機後のアメリカにみるネオリベラリズムの行為遂行的効果」『年報政治学』2017年, 68巻, 1号, p.1_57-1_79

【本文】 世界金融危機後も依然として強い影響力を保ち続けているネオリベラリズム (新自由主義) の持続性は, 近年の研究における一つの焦点となっている。本稿は, ネオリベラリズムがどのように危機後も生き延びたか, またオルタナティヴな構想が真剣な議論…

鈴木一人「主権と資本 ―グローバル市場で国家はどこまで自律性を維持出来るのか」『年報政治学』2019年, 70巻, 1号, p.1_56-1_75

【本文】 主権国家システムと資本主義システムは近代のシステムの両輪として発達した。しかし、ニクソンショックによって変動相場制へと移行したことで自由な資本移動が可能となり、それが主権国家の自律的な経済財政政策を困難にさせるようになってきた。開…

ジョナサン・ウルフ著, 大澤津, 原田健二朗訳『「正しい政策」がないならどうすべきか-政策のための哲学』(2011=2016)

「正しい政策」がないならどうすべきか: 政策のための哲学 作者:ジョナサン ウルフ 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2016/10/28 メディア: 単行本 伝統的な哲学は、正義の理論や共通善の説明を作り上げ、それが多くの政策課題についてもつ含意を示すとい…

ウェンディ・ブラウン著, 中井亜佐子訳『いかにして民主主義は失われていくのか-新自由主義の見えざる攻撃』(2015=2017)

いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃 作者:ウェンディ・ブラウン 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2017/05/26 メディア: 単行本 いまや新自由主義は、民主主義を内側から破壊している。新自由主義は政治と市場の区別を取り…

ジェームズ・C・スコット著, 清水展, 日下渉, 中溝和弥訳『実践 日々のアナキズム-世界に抗う土着の秩序の作り方』(2012=2017)

実践 日々のアナキズム――世界に抗う土着の秩序の作り方 作者: ジェームズ・C.スコット,清水展,日下渉,中溝和弥 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2017/09/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る アナキズムとは特別な政治運動でも革命で…

マイケル・L・ロス著, 松尾昌樹, 浜中新吾訳『石油の呪い-国家の発展経路はいかに決定されるのか』(2012=2017)

石油の呪い――国家の発展経路はいかに決定されるか 作者: マイケル・L ロス,松尾昌樹,浜中新吾 出版社/メーカー: 吉田書店 発売日: 2017/02/03 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (2件) を見る 中東地域ではなぜ民主化が進展しないのか―…

ロバート・ノジック著, 嶋津格訳『アナーキー・国家・ユートピア-国家の正当性とその限界』(1974=1998)

アナーキー・国家・ユートピア―国家の正当性とその限界 作者: ロバート・ノージック,嶋津格 出版社/メーカー: 木鐸社 発売日: 1995/01/01 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 65回 この商品を含むブログ (46件) を見る 序…(i) 謝辞…(x) 第一部 自然状態の…

大屋雄裕著『自由か、さもなくば幸福か?ー21世紀の〈あり得べき社会〉を問う』(2014)

自由か、さもなくば幸福か?: 二一世紀の〈あり得べき社会〉を問う (筑摩選書) 作者: 大屋雄裕 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2014/03/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (47件) を見る 20世紀の苦闘と幻滅を経て、私たちの社会は、どこへ向かお…

ポール・コリアー著, 甘糟智子訳『民主主義がアフリカ経済を殺す-最底辺の10億人の国で起きている真実』(2009=2010)

民主主義がアフリカ経済を殺す 作者: ポール・コリアー,甘糟智子 出版社/メーカー: 日経BP社 発売日: 2010/01/14 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 92回 この商品を含むブログ (33件) を見る 最貧のアフリカ諸国では深刻な危機がなんと民主主義によって…

安藤馨, 大屋雄裕著『法哲学と法哲学の対話』(2017)

法哲学と法哲学の対話 作者: 安藤馨,大屋雄裕 出版社/メーカー: 有斐閣 発売日: 2017/04/21 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (4件) を見る 「法学」において法哲学の占めるべき位置はあるか,どこに。その内部での議論は実定法学に何…

井上達夫著『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください-井上達夫の法哲学入門』(2015)

リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください--井上達夫の法哲学入門 作者: 井上達夫 出版社/メーカー: 毎日新聞出版 発売日: 2015/06/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (21件) を見る 偽善と欺瞞とエリート主義の「リベラル…

M・I・フィンリー著, 柴田平三郎著『民主主義−古代と現代』(1985=1991→2007)

民主主義―古代と現代 (講談社学術文庫)作者: M.フィンリー,柴田平三郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/03/09メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (15件) を見る ギリシアのアテナイ民主制の実態を分析する理想の政治形態とはど…

庄司克宏著『欧州ポピュリズム−EU分断は避けられるか』(2018)

欧州ポピュリズム (ちくま新書)作者: 庄司克宏出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2018/05/09メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る 欧州連合(EU)が、ポピュリズム危機に揺れている。反移民の声は衰えず、ポピュリズム政党への支持は増え続け…

國分功一郎著『近代政治哲学ー自然・主権・行政』(2015)

近代政治哲学:自然・主権・行政 (ちくま新書)作者: 國分功一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2015/04/08メディア: 新書この商品を含むブログ (13件) を見る 我々がいま生きているこの政治体制は、近代の政治哲学が構想したものだ。ならば、政治哲学やそ…

エルンスト・カッシーラー著, 宮田光雄訳『国家の神話』(1946=1960→2018)

国家の神話 (講談社学術文庫)作者: エルンスト・カッシーラー,宮田光雄出版社/メーカー: 講談社発売日: 2018/02/11メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る 「シンボル(象徴)」を軸にして科学、哲学、文化論を横断する数々の大著をものした、比類な…