松本健太郎,塙幸枝著『コンテンツのメディア論-コンテンツの循環とそこから派生するコミュニケーション』(2022)

バルトは「作品からテクストへ」といったが、今や「テクストからコンテンツへ」といえよう。コンテナ(容れ物)と対で考えられてきたコンテンツは、デジタル革命によりコンテナから離れて情報空間に浮遊する。その実態をメディア論的に解明する。

* コンテンツと呼び変えることで何がどう変わるのかを、スマホ、SNS、ゲームなどとの関わりで具体的に説く。
サブスクリプション・サービスにより、モノを持つという所有権でなく、データにアクセスする権利が重要になったことなどを取り上げる。

序章 コンテンツとメディアの現代的な関係性を理解するために

  第Ⅰ部 テクノロジーが導くコンテンツの循環

第1章 デジタルメディアが運ぶものとは何か
 ――シミュレートされる「メディウム」と「コンテンツ」の輪郭
第2章 リモート・コミュニケーションにおける顔と対面性
 ――ビデオ会議システムを介した「見ること/見られること」の変容
第3章 アイドルコンテンツ視聴をめぐるスコピック・レジー
 ――マルチアングル機能とVR機能が見せるもの
第4章 メディアと化す旅/コンテンツと化す観光
 ――COVID-19がもたらした「バーチャル観光」の諸相
第5章 ゲームのなかで、人はいかにして「曹操」になるのか
 ――「体験の創出装置」としてのコンピュータゲーム
第6章 デジタル時代の幽霊表象
 ――監視カメラが自動的/機械的に捕捉した幽霊動画を題材に

  第Ⅱ部 コンテンツが生成するコミュニケーションのネットワーク

第7章 アクセシビリティと意味解釈
 ――お笑いコンテンツにおける字幕付与
第8章 いかにして子供たちはコンテンツ文化に入っていくのか
 ―― YouTube 上の幼児向け動画を題材として
第9章 アイドル文化をめぐるコンテンツの多層性
 ――「〈推し〉/私/私たち」の「関係性」がコンテンツ化されるとき
第10章 メディアミックス的なネットワークに組み込まれる人びとの身体
 ――サンリオピューロランドにおけるテーマ性/テーマパーク性の流動化
第11章 YouTube 動画による「旅の体験」の共有
 ――コンテンツ/プラットフォームとしてのその役割
第12章 個人的空間のテーマパーク化
 ――位置情報ゲーム「ドラクエウォーク」を題材に

初出一覧 / 事項索引 / 人名索引 

石田『大人のためのメディア論講義』

スタインバーグ『なぜ日本は〈メディアミックスする国〉なのか』

加藤「スターという映像文化」長谷『映像文化の社会学

辻「「同担拒否」再考 : アイドルとファンの関係、ファン・コミュニティ」

社会学研究 : Japan sociologist (3), 34-49, 2018 新曜社

ルイス『映画技法のリテラシーⅠ映像の法則』

ハーヴェイ『心霊写真ーメディアとスピリチュアル』

一柳『心霊写真は語る』

小山「マンガ表現論の「歴史」とその展望」『マンガ研究13講』