読書

ダニエル・J・ケヴルズ著,西俣総平訳『優生学の名のもとに-「人類改良」の悪夢の百年』(1985=1993)

優生学の名のもとに―「人類改良」の悪夢の百年 作者:ダニエル・J. ケヴルズ 朝日新聞 Amazon IQテストや家系調査によって「劣等者」「欠陥者」を決め、隔離や強制断種まで行った英米の苦い歴史…。遺伝子操作の時代に蘇ろうとする暗い影に警鐘を鳴らす。 優…

中畑正志著『アリストテレスの哲学』(2023)

アリストテレスの哲学 (岩波新書 新赤版 1966) 作者:中畑 正志 岩波書店 Amazon 思想界では近年一段と脚光を浴びる一方で、一般には時代遅れのイメージが付きまとうアリストテレス。本書はこの懸隔に架橋すべく、彼が創出した<探究と知の方法>を示したうえで…

イェスパー・ユール著,松永伸司訳『ハーフリアル-虚実のあいだのビデオゲーム』(2005=2016)

ハーフリアル: 虚実のあいだのビデオゲーム 作者:Juul,Jesper ニューゲームズオーダー Amazon ゲームとは? ゲームの楽しさとは? 伝統的なゲームとビデオゲームはどうちがう? ビデオゲームのプレイは現実?それともフィクション? あるものがビデオゲームである…

ポール・ド・マン著,土田知則訳『読むことのアレゴリー』(1979=2012→2022)

読むことのアレゴリー (講談社学術文庫) 作者:ポール・ド・マン 講談社 Amazon 批評界に大きな衝撃を与えるとともに、文学批評はもちろん、哲学・思想の領域にも深い影響を与えた巨人ポール・ド・マン(1919-83年)。ド・マンを領袖とする「イェール学派」は、…

ハル・アベルソン,ケン・リーディン,ハリー・ルイス,ウェンディ・セルツァー著,尼丁千津子訳『教養としてのデジタル講義ー今こそ知っておくべき「デジタル社会」の基礎知識』(2020=2021)

教養としてのデジタル講義 今こそ知っておくべき「デジタル社会」の基礎知識 作者:ハル・アベルソン,ケン・リーディン,ハリー・ルイス,ウェンディ・セルツァー 日経BP Amazon 「デジタル社会」の弊害と危険を避けて、恩恵と可能性を見いだすための1冊です。 …

山口尚著『日本哲学の最前線』(2021)

日本哲学の最前線 (講談社現代新書) 作者:山口尚 講談社 Amazon 國分功一郎、青山拓央、千葉雅也、伊藤亜紗、古田徹也、苫野一徳……哲学の最前線の旗手たちが「いま考えていること」がこれ一冊でわかる! 私たちを縛りつける不自由と向き合う、本当の自由のた…

マット・フォートナウ,キューハリソン・テリー著,Pivot Tokyo(満木夏子)『NFTのすべて-歴史、仕組み、テクノロジーから発行・販売まで』(2022=2022)

NFTのすべて 歴史・仕組み・テクノロジーから発行・販売まで 作者:マット・フォートナウ,キューハリソン・テリー 翔泳社 Amazon NFTが世界中で注目されています。 国内でもNFTに関する議論が活発化して いますが、いまだに「投資としてのNFTアート」 といっ…

國分功一郎著『中動態の世界ー意志と責任の考古学』(2017)

中動態の世界 意志と責任の考古学 (シリーズ ケアをひらく) 作者:國分功一郎 医学書院 Amazon 自傷患者は言った。「切ったのか、切らされたのかわからない。気づいたら切れていた」依存症当事者はため息をついた。「世間の人とはしゃべっている言葉が違うの…

ブライアン・バターワース著,長澤あかね訳『魚は数をかぞえられるか?ー生きものたちが教えてくれる「数学脳」の仕組みと進化』(2022=2022)

魚は数をかぞえられるか? 生きものたちが教えてくれる「数学脳」の仕組みと進化 作者:ブライアン・バターワース 講談社 Amazon すべての生きものは数をかぞえている。チンパンジーや犬だけじゃない。鳥も魚もネズミもライオンもイルカも数をかぞえ、アリも…

青山太郎著『中動態の映像学 - 東日本大震災を記録する作家たちの生成変化』(2022)

中動態の映像学 作者:青山 太郎 堀之内出版 Amazon 酒井耕・濱口竜介、鈴尾啓太、小森はるか――震災を記録してきた3組の作家たちの実践から、映像メディア理論の新境地を開く。 今日のメディア・テクノロジーは、世界のあれこれの出来事をほとんどリアルタイ…

蓮實重彦著『ゴダール革命〔増補決定版〕』(2005→2023)

ゴダール革命〔増補決定版〕 (ちくま学芸文庫 ハ-1-10) 作者:蓮實 重彦 筑摩書房 Amazon いつ炸裂するかわからない時限爆弾として映画があるとするならば、ジャン=リュック・ゴダールの作品はいかなる条件のもとにそうであるのか、あるいはそうでないのか。…

エリオット・ヒギンズ著,安原和見訳『べリングキャットーデジタルハンター、国家の嘘を暴く』(2021=2022)

ベリングキャット ――デジタルハンター、国家の嘘を暴く (単行本) 作者:エリオット・ヒギンズ 筑摩書房 Amazon 大手メディアも驚くほどの速さと正確さで次々にスクープを飛ばし、いまや世界中から注目される調査報道ユニット“ベリングキャット”。シリア政府の…

田中友子著『ビリービンとロシア絵本の黄金時代[改訂版]』(2014→2019)

ビリービンとロシア絵本の黄金時代 改訂版 (ToBi selection) 作者:田中友子 東京美術 Amazon 20世紀初頭、ロシアのおとぎ話を題材に美しい絵本を残したビリービン。宮崎駿氏ら多くのクリエイターを魅了した幻の絵本を撮りおろしの写真とともに紹介し好評を博…

福田敏博著『図解入門 よくわかる 最新サイバーセキュリティ対策の基本』(2023)

図解入門 よくわかる 最新 サイバーセキュリティ対策の基本 (How-nual Visual Guide Book) 作者:福田敏博 秀和システム Amazon 近年、サイバー攻撃の手口は、より高度に巧妙に変化しています。しかし、従来のセキュリティ対策は変化に対応できず、会社の資産…

佐藤直樹監修『ヴィルヘルム・ハマスホイ 沈黙の絵画』(2020)

ヴィルヘルム・ハマスホイ 沈黙の絵画 (コロナ・ブックス) 平凡社 Amazon 日本にハマスホイの世界を紹介した第一人者の監修による、本邦初の作品集! 「北欧のフェルメール」とも謳われる、デンマークが生んだ孤高の画家ハマスホイ。その静謐な画風になぜ人…

東浩紀著『新対話篇』(2020)

新対話篇 (ゲンロン叢書) 作者:東 浩紀 ゲンロン Amazon 東浩紀が2012年以降に行なった対談・鼎談から、哲学と芸術をテーマとするものを厳選し集成。文化が政治に従属し、人間がデータに還元される時代に、「対話」というもっとも古く原始的な方法で人文知の…

ジョゼフ・コンラッド著,柴田元幸訳『ロード・ジム』(1900=2011)

ロード・ジム (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集) 作者:ジョゼフ・コンラッド 河出書房新社 Amazon ジムは船長番として、誰からも厚い信頼を得て仕事に励んでいた。しかし彼には隠された恐ろしい過去があった──かつて老朽船パトナ号の一等航海士だった…

ユリア・エブナー著,西川美樹訳『ゴーイング・ダーク -12の過激主義組織潜入ルポ』(2019=2021)

ゴーイング・ダーク 作者:ユリア・エブナー,西川美樹,木澤佐登志 左右社* Amazon カリスマ白人至上主義インフルエンサー愛国主義者専用の出会い系アプリハマったら最後、Qアノンの陰謀論ISISのハッカー集団による初心者講座反フェミニスト女性のチャットルー…

ポーリン・ケイル著, 山田宏一, 柴田元幸他訳『明かりが消えて映画がはじまる - ポーリン・ケイル映画評論集』(2003)K

明かりが消えて映画がはじまる -ポーリン・ケイル映画評論集 作者:ポーリン ケイル 草思社 Amazon 辛辣な語り口で鳴らした米国の名物女流評論家による名画評論。アルトマン、デ・パルマなど有名監督の映画評に加え傑作エッセイ「ケーリー・グラント論」を収…

新藤真知著『もっと知りたいパウル・クレー』(2011)

もっと知りたいパウル・クレー 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) 作者:新藤 真知 東京美術 Amazon クレーの絵は、ときに難解でときに分かりやすい。その感覚はいったいどこからくるのでしょうか。ヨーロッパの芸術運動、クレー絵画と音楽との…

島田雅彦著『小説作法XYZ -作家になるための秘伝』(2022)

小説作法XYZ (新潮選書) 作者:島田 雅彦 新潮社 Amazon 《コトバを生業とする者たちが積み上げて来た文学的叡智がどれだけ人類に貢献して来たか》40年間の作家生活を経て、改めて「知性」の意味を捉え直した時、新たなる小説作法が誕生する。46箇条の「超絶…

外山美樹著『勉強する気はなぜ起こらないのか』(2021)

勉強する気はなぜ起こらないのか (ちくまプリマー新書) 作者:外山美樹 筑摩書房 Amazon 怠けたい、相手と比べてしまう、無気力だ…。そうした気持ちを少し変えるためには、心理学の考え方が役に立つ。「やる気」のメカニズムから自分をみつめなおそう。 第1…

蓮實重彥著『言葉はどこからやってくるのか』(2020)

言葉はどこからやってくるのか: 小説・随想・論文 作者:重彦, 蓮實 青土社 Amazon 「バルトのように、記号としての言語を呼吸しながら、それを括弧に括ったりせず、それをいたわりつつ酷使せずに書くことができたら……」書くことに向かうすべての人へ。 Ⅰ1 三…

山内志朗著『「誤読」の哲学-ドゥルーズ、フーコーから中世哲学へ』(2013)

「誤読」の哲学 ドゥルーズ、フーコーから中世哲学へ 作者:山内 志朗 青土社 Amazon ドゥルーズやフーコーによる中世・近世の大胆な「誤読」。そこから浮かび上がる“オブジェクト”の謎とその「誤読」の歴史。現代から、デカルトやライプニッツ、スコラ哲学へ…

河合香織著『帰りたくない-少女沖縄連れ去り事件』(2007→2010)

帰りたくない―少女沖縄連れ去り事件―(新潮文庫) 作者:河合香織 新潮社 Amazon 家には帰りたくない──47歳の男に連れ回され、沖縄で保護された10歳の少女はそう言った。親子のように振る舞い、時に少女が主導権を握っているかのように見えた二人の間に、一体…

多和田葉子著,関口裕昭訳『パウル・ツェランと中国の天使』(2023)

パウル・ツェランと中国の天使 作者:多和田 葉子 文藝春秋 Amazon コロナ禍のベルリン。若き研究者のパトリックはカフェで、ツェランを愛読する謎めいた中国系の男性に出会う。“死のフーガ”“糸の太陽たち”“子午線”……2人は想像力を駆使しながらツェランの詩…

西内啓著『統計学が最強の学問である[実践編]』(2014)

統計学が最強の学問である[実践編]――データ分析のための思想と方法 作者:西内 啓 ダイヤモンド社 Amazon 異例のベストセラーの著者が贈る最良の実践入門。『統計学が最強の学問である』では概略の紹介に留めた統計手法の「使い方」を解説する。統計学や数学…

白井智之著『そして誰も死ななかった』(2019→2022)

そして誰も死ななかった (角川文庫) 作者:白井 智之 KADOKAWA Amazon 覆面作家・天城菖蒲から、絶海の孤島に建つ天城館に招待された五人の推理作家。やがて作家たちは次々と奇怪を死を遂げ、そして誰もいなくなったとき、本当の「事件」の幕が開く。特殊設定…

ロイ・リチャード・グリンカー著,高橋洋訳『誰も正常ではない-スティグマは作られ、作り変えられる』(2021=2022)

誰も正常ではない――スティグマは作られ、作り変えられる 作者:ロイ・リチャード・グリンカー みすず書房 Amazon 正常・異常をめぐるスティグマは、ただ漫然と生じたものではない。科学や医学はつねに権威をもって「異常」とすべきもののカテゴリーを作りだし…

ドン・ウィンズロウ著,田口俊樹訳『業火の市』(2021=2022)

業火の市 (ハーパーBOOKS) 作者:ドン ウィンズロウ ハーパーコリンズ・ジャパン Amazon 1986年アメリカ東海岸。ダニーは通称ドッグタウンを仕切るアイルランド系マフィア・ファミリーの片隅に身を置いているが、昔からの仲間と平穏に暮らしている。とこ…