島田雅彦著『小説作法XYZ -作家になるための秘伝』(2022)

 

《コトバを生業とする者たちが積み上げて来た文学的叡智がどれだけ人類に貢献して来たか》40年間の作家生活を経て、改めて「知性」の意味を捉え直した時、新たなる小説作法が誕生する。46箇条の「超絶技巧エチュード」は必見。当代を代表する書き手がプロフェッショナルになる道筋をすべて明かした文芸創作の『五輪書』!

《はじめに》空っぽな心を何で満たすか?
生き延びるための詩学
第一章 「私」の行方
夢と現の曖昧な境界/文学者の先祖としてのシャーマン、巫女/イエスもシャーマンだった?/「私」の可能性を広げる文学/止むに止まれぬ現実逃避/「記憶」を踏襲する営み/「私」の未来/誰もがすなる「私小説」/そのコトバは誰が発しているのか?/自分の顔を見ることの意味
超絶技巧エチュード1~11
第二章 物語と形式
「起承転結」の再定義/複合的起承転結/復讐劇の波瀾万丈/ポリフォニー、対位法、和声法/弁証法ソナタ形式/ヒーローとアンチヒーロー/「元型」について/神話のサンプリング/タンホイザーは浦島太郎である/国譲り神話/歌舞伎の型と映画編集
超絶技巧エチュード12~17
第三章 言語と無意識
誰の中にも/自然観察/レンマとロゴス/「自由な発想」はどのように立ち上がるか?/言語のロゴス的機能とレンマ的機能/自由連想/瞑想/死の自由連想 「歯車」を読む/0でもあり1でもある
超絶技巧エチュード18~23
第四章 様々な場所
歩け歩け歩け/山に登る心/都市のフィールドワーク/『彼岸過迄』を読む/『ぼく東綺譚』を読む/『雪国』を読む/『夕べの雲』を読む/余計者の系譜/我々は皆、「外套」から生まれた/制御不能な自己、とりとめのない随想/ニッチ論/都市における棲み分け/理想の死に場所 『ヴェニスに死す』を読む/死者のニッチ/パラレルワールド/暗い森と地獄
超絶技巧エチュード24~30
第五章 時間
巣籠もり/一日はいつから始まるか?/線的時間と循環的時間/タイムマシンとしての小説、映画/回想というタイムマシン/タイムトラベラーの遺言/古井由吉という仙人/次元について
超絶技巧エチュード31~34
第六章 死、交換、愛、宗教
序論

寿命/死者との付き合い方/病気と小説/自殺/死の欲動について/自殺志願者のロードノベル 『幻化』を読む/赦しのオーラ 瀬戸内寂聴を偲んで/不死
交換
労働/我らがアンチヒーロー/「数寄」と「世捨て」/貨幣の発明/経済という下世話 『道草』論

愛の諸相/『蒲団』を読む/永眠導入サービス/老いらくの恋/両性具有/悩める者が夢見るための機械
宗教
あらゆる宗教はフィクションである/ヒューマニズム反知性主義と民主主義/たおやかなテロリズム/個人の回復
超絶技巧エチュード35~46
参考文献