佐々木健一著『タイトルの魔力 -作品・人名・商品のなまえ学』(2001)

 

絵画や彫刻の展覧会で、作品の傍らには必ずネームプレートが寄り添っている。音楽、小説、詩、戯曲…。いずれにもなんらかのタイトルが付されている(なかには「無題」というタイトルもある)。では、このタイトル、いつごろからどのように、作品と不即不離の関係になったのだろう。人の名前、商品のネーミングも視野に入れながら、芸術作品におけるタイトルの役割と歴史を考える、刺激に満ちた美学の冒険。

タイトル、この気になるもの
なまえと名詞
なまえの魔力
名づけとネーミング
商品名とタイトルの場所
タイトルの空間
タイトルの歴史学(文学の場合;絵画の場合)
タイトルの言語学―「テネシー・ワルツ」を御存じですか
タイトルのレトリック
理論としてのタイトル
タイトルの脱芸術化

45 ソシュールフレーゲで名前と意味の解釈が異なるのでは。ソシュールではまさに固有名詞それ自体であり、意味する人物は対象としていない。それゆえ何も意味しない。フレーゲは名指される人物もまとめて意味と解している。