西村清和編・監訳『分析美学基本論文集』(2015)

 

アーサー・ダントー「アートワールド」、ジョージ・ディッキー「芸術とはなにか?」、フランク・シブリー「美的概念」など、いずれも現代の美学の論争の出発点となった代表的な論文を収録。分析美学でどのような議論が展開されているのか、その主要トピックを網羅し、コンパクトにつかむ基本論文集。入門者必携。

第1章 「芸術」の定義
 1 アートワールド アーサー・ダントー(西村清和 訳)
 2 芸術とはなにか――制度的分析―― ジョージ・ディッキー(今井 晋 訳)

第2章 美的価値
 3 芸術批評における理由 ポール・ジフ(櫻井一成 訳)
 4 美的概念 フランク・シブリー(吉成 優 訳)
 5 芸術作品の評価と鑑賞 ジョセフ・マゴーリス(橋爪恵子 訳)

第3章 作品の意味と解釈
 6 視覚芸術における再現 モンロー・ビアズリー(相澤照明 訳)
 7 文学における意図と解釈 ジェロルド・レヴィンソン(河合大介 訳)

第4章 フィクションの経験
 8 フィクションを怖がる ケンダル・ウォルトン(森 功次 訳)
 9 不道徳な芸術礼賛 ダニエル・ジェイコブソン(村上 龍 訳)

解説 西村清和

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414 第2論文について「だがこれに対しては、ダントー自身が1981年に出版された『ありふれた物の変容』で批判している。ここでダントーは、論文「アート・ワールド」を発表したとき、それはほとんど理解されず、もしもスクラファニやディッキーがこの論文を発見して、これをもとに芸術の制度論を構築してくれなかった、それはJounal of Philosophyのバックナンバーのなかに眠ったままだったろうといい、彼らに感謝している」

416 第3論文「それゆえジフは、特定の作品に応じた美的観照行為の「異なりを包括する一般的な用語」として、あらたに「アスペクト視」という用語を導入する。絵画を「アスペクト視する」とは、その絵画を、それに応じた特定のやり方で見ることである。絵画をざっと見渡すこと、あるいは絵画の細部を入念に見ることは、それぞれ異なったアスペクト視の行為を遂行することである。作品の異なりに応じて、どのようなアスペクト視がふさわしいかを規定する条件こそ、作品の理解や観照に関与的だが評価に直接関与するわけではない様々な知識や情報である」