論文

粕谷祐子「「一票の格差」をめぐる規範理論と実証分析 ―日本での議論は何が問題なのか―」『年報政治学』2015年, 66巻, 1号, p.90-117

【本文】 In Japan, malapportionment—the high level of disparity in the size of the population, and thus the weight of votes, across electoral districts—has been a national concern for several decades. Through a review of both normative the…

田村哲樹「観察可能なものと観察不可能なもの ―規範・経験の区別の再検討―」『年報政治学』2015年, 66巻, 1号, p.37-60

【本文】 Scholars of politics have been familiar with normative-empirical distinction. Yet this article reconsiders this divide through exploring another classification in terms of the “observable” and the “unobservable”. According to this…

坂井愛理「訪問マッサージにおけるままならなさの訴え ー患者によって自己開始される問題の訴えを例に」『現代社会学理論研究』2019年, 13巻, p.111-124

【本文】 ケアの目的が患者の生を支えることであるならば、老いや麻痺を抱える身体とともにある苦悩や嘆かわしさは、ケアがかかわる重要な領域の一つである。その一方で、こうした身体のままならなさは、専門家の提供する技術を通しては完全に取り除くことが…

吹上裕樹「生成する出来事としての音楽 ー愛着の経験からみる主体、対象、行為」『現代社会学理論研究』2015年, 9巻, p.81-93

【本文】 本稿は、音楽への愛着の経験について議論するものである。具体的には、人が音楽に対して愛着するとはどのような経験なのか、それはどのような条件において可能となり、どのように人間主体の行為や認識のあり方に影響するのかという問いを論じる。音…

Bong-Seok KIM, Dok-Lip OH「Individuals Still Need Society, and Society Must Respond to Individuals ー Exploration of the Case of Young People in Korea from the Perspective of Emile Durkheim’s Theory of Social Solidarity」『現代社会学理論研究』2018年, 12巻, p.45-59

【本文】 In the last several decades, the spread of ‘being alone’ has become a distinct trend among young people in Korea, especially among those aged in their 20s and 30s. Negative attitude to marriage and activities such as ‘honbap’ (‘di…

小田和正「K. マンハイムの関係主義理論における客観性とreflexivity」『現代社会学理論研究』2018年, 12巻, p.77-89

【本文】 本稿は、K. マンハイムが提示する客観性概念と関係主義(Relationismus)の理論を再検討し、それらの現代的意義を示そうと企図するものである。その方法として本稿は、M.ウェーバーの客観性概念とマンハイムの議論とを対比的に論じている。ウェーバ…

柳広司著『ジョーカー・ゲーム』(2008→2011)

ジョーカー・ゲーム (角川文庫) 作者:柳 広司 発売日: 2014/12/05 メディア: Kindle版 結城中佐の発案で陸軍内に極秘裏に設立されたスパイ養成学校“D機関”。「死ぬな、殺すな、とらわれるな」。この戒律を若き精鋭達に叩き込み、軍隊組織の信条を真っ向から…

大屋雄裕「自由と幸福の現在 ーナッジとその先にあるもの」『現代社会学理論研究』2018年, 12巻, p.4-13

【本文】 近代の法制度において前提されている自由と幸福の関係が現在さらされている緊張について、ローレンス・レッシグによるアーキテクチャの権力と、キャス・サンスティーンのリバタリアン・パターナリズムの差異を踏まえつつ検討し、特に後者が個人の自…

高岡文章「観光をめぐる自由と不自由 ―ルート観光論からのアプローチ―」『西日本社会学会年報』2019年, 17巻, p.7-19

【本文】 観光にはどのような可能性や広がりや自由があるのだろう。観光はどのような意味において狭く暗く不自由だろうか。そして、その自由と不自由はどのようにつながっているのだろう。本稿は観光社会学の視点から観光をめぐる自由と不自由について検討す…

小城英子「ファン心理の構造(3) ー性別によるファン心理・ファン行動の比較と、ファン層の分類」『関西大学大学院人間科学 : 社会学・心理学研究』2006年, 64巻, p.177-195

【本文】

片桐諒子「ファン感情とブランド・ロイヤリティの関連性についての検討: 文献レビューを通して」『東洋大学大学院紀要』2020年, 56巻, p.27-35

【本文】 小城英子・薊理律子・小野茜(2010)スキャンダルとファン心理,聖心女子大学論叢 114,200-166, 小城英子(2005)ファン心理の構造(2)ファン対象職業によるファン心理・ファン行動の比較 関西 大学大学院人間科学 62,139-151.【本文】 小城英子(2006…

市村美帆, 新井洋輔「双子コーデに関する社会心理学的検討- 双子コーデをする理由の構造と経験有無による違い-」『和洋女子大学紀要』2020年, 61巻, p.165-174

【本文】 本研究の目的は、大学生が双子コーデ現象をどのように捉えているのか、双子コーデの経験有無による違いについて検討することである。大学生161名を対象に質問紙調査を行った。その結果、大学生は、テレビやSNSおよびインターネットで双子コーデの情…

登坂学「日本型アイドル養成団体の受容・現地化とファンコミュニティのインフォーマル学習的意義について : 上海における参与観察を中心に」『九州保健福祉大学研究紀要』2019年, 20巻, p.45-56

【本文】

梶丸岳「掛け合い歌が駆動するソサイエティ 秋田県の掛け合い歌「掛唄」の場をめぐって」『文化人類学』2018年, 82巻, 4号, p.464-481

【本文】 societyにはあるまとまりを持った人々の統合体という意味と、人々の相互行為を指す意味があ り、日本語では前者を狭義の「社会」、後者を「社交」と呼び分けることができる。社交は社会を 考えるうえで本質的な重要性を持っている。本稿は会話分析…

田中雅一「<格子>と<波>とナショナリズム ー巨大な遺体安置所でLove Tripを聴きながら考えたこと」『文化人類学』2018年, 82巻, 4号, p.425-445

【本文】 本講演の目的は、ここで<格子>と<波>と名付ける二つの社会関係のモードを論じ、それら がどのような形で国家による統治やナショナリズムに関わるのかを考察することである。一方に、 <格子>モードとして、生者を「生ける屍」に変貌させるアー…

佐藤俊樹「データを計量する社会を推論する 「新たな」手法が見せる社会科学と社会」『社会学評論』2017年, 68巻, 3号, p.404-423

【本文】 最近注目されている統計的因果推論やベイズ統計学は, 効果量 (効果サイズ) の分析などとともに, 社会学にも大きな影響をあたえうる. これらは基本的な考え方ではウェーバーの適合的因果や理解社会学と共通しており, 量的データにもテキスト型データ…

森口岳「女たちは踊ることができるか? ーカンパラのバーガールのシティズンシップとその「主体性」への再考」『文化人類学』2018年, 83巻, 2号, p.213-232

【本文】 本稿で取り扱うのはアフリカの貧困女性たちのウガンダ、カンパラの都市社会において、家族的なものと性的なものの二つのシティズンシップと、その二つの領域を行き来するバーガールたちの「主体性」をめぐる諸実践についてである。 カンパラの郊外…

齋藤圭介「質的比較分析 (QCA) と社会科学の方法論争」『社会学評論』2017年, 68巻, 3号, p.386-403

【本文】 社会科学の分野において, 政治学者を中心に1990年代後半から定量的研究と定性的研究のあいだで方法論についての論争が生じた. 定量的な方法論が定性的なものよりも科学的であるという主張にたいし, 定性的研究者は反論する過程で方法論・手法を洗練…

木原圭翔「『サイコ』における予期せぬ秘密『ヒッチコック劇場』と映画観客」『映像学』2017年, 97巻, p.24-43

【本文】 リンダ・ウィリアムズが2000年に発表した「規律訓練と楽しみ――『サイコ』とポストモダン映画(“Discipline and Fun: Psycho and Postmodern Cinema”)」は、ミシェル・フーコーによる「規律訓練(discipline)」の概念を援用しながら『サイコ』(Ps…

北田暁大「分野別研究動向(理論) 領域の媒介」『社会学評論』2007 ,年58, 巻 1号, p.78-93

【本文】 富永健一編,2006,『理論社会学の可能性』新曜社. 理論社会学の可能性―客観主義から主観主義まで 発売日: 2006/01/30 メディア: 単行本 数土直紀,2006,「分野別研究動向(数理)」『社会学評論』57(2):436-53.【本文】 吉田民人,2004,「新…

宮川雅充, 井勝久喜, 諸岡浩子, 廣田陽子, 土生真弘 , 青山勳「環境配慮行動および社会活動の実践と生き方志向との関係 -岡山県の大学生を対象とした質問紙調査-」『吉備国際大学研究紀要』2010年, 20号, p.47-55

【本文】

長谷正人「分野別研究動向 (文化) ー「ポストモダンの社会学」から「責任と正義の社会学」へ」『社会学評論』2006年, 57巻, 3号, p.615-633

【本文】 成実弘至 『問いかけるファッション』 問いかけるファッション―身体・イメージ・日本 メディア: 単行本 竹内洋『大学という病―東大紛擾と教授群像』 「戦前の東大経済学部の紛擾を,大森義太郎という(蓮實重彦的な意味で)「凡庸」な学者を狂言回し…

田畑真一「代表関係の複数性 ―代表論における構築主義的転回の意義―」『年報政治学』2017年, 68巻, 1号, p.181-202

【本文】 本稿の目的は, 「代表関係の複数性」 を強調する近年の代表論を 「構築主義的転回」 という観点から捉え, その理論的射程を検討することにある。まず, 従来の代表論の特徴をH・ピトキンの代表論に確認し, そこでの本人―代理人関係という構図を乗り…

善教将大, 秦正樹「なぜ「わからない」 が選択されるのか : ─サーベイ実験による情報提示がDKに与える影響の分析─」『年報政治学』2017年, 68巻, 1号, p.159-180

【本文】 本稿の目的は, 政治意識調査における 「わからない (「DK」)」 の発生メカニズムを, サーベイ実験により明らかにすることである。先行研究ではDKの規定要因として政治関心や政治知識の欠如が指摘されてきたが, 本稿は回答者に情報を与えることがか…

石川敬史「アメリカ革命期における主権の不可視性」『年報政治学』2019 年, 70巻, 1号, p.96-116

【本文】 一七七六年にイギリス領北アメリカ植民地がヨーロッパ諸国に公表した 「独立宣言」 は、イギリス本国において一六八八年の名誉革命を経て形成された議会主権が植民地にも及ぶという主張に対する異議申し立てであった。 一七八三年のパリ条約で独立…

林凌「消費空間としての郊外を作り上げる―日本の小売店舗郊外化における知識ネットワークの役割―」『年報社会学論集』2017年, 2017巻, 30号, p.110-121

【本文】 This paper explains the role of knowledge networks in the suburbanization of chain stores by focusing on the discourse in retail consultants' contributions to trade magazines in the early 1960s. Previous studies had been unable to…

川山竜二「反省理論と科学システムの衝突―機能システムの内部構造論に向けて―」『年報社会学論集』2018年, 2018巻, 31号, p.36-47

【本文】 This study examines the relationship between reflexivity in functional systems and science as a functional system from the viewpoint of functional differentiation. We discuss the internal structure of functional systems and the co…

Jeconiah Louis Dreisbach「MNL48 and the Idol Culture Phenomenon: An Emerging Manifestation of Japanese Soft Power in the Philippines」『Educatum Journal of Social Sciences』 4(1), p.60-66.

【本文】 AKS, the talent agency that manages idol groups in Japan, announced in 2016 that they will be establishing AKB48 sister groups in Thailand (BNK48), the Philippines (MNL48), and Taiwan (TPE48). The Groups of 48, commonly referred t…

北田暁大「「ポスト構築主義」としての「プレ構築主義」ーWeberとPopperの歴史方法論を中心に」『社会学評論』2004年, 55巻, 3号, p.281-297

【本文】 「過去 (歴史) は記述者が内在する〈現在〉の観点から構築されている」という歴史的構築主義のテーゼは, 公文書の検討を通じて歴史命題の真偽を探究し続けてきた実証史学に, 少なからぬインパクトを与えた.「オーラル・ヒストリーをどう位置づける…

中河伸俊「構築主義とエンピリカル・リサーチャビリティ」『社会学評論』2004年, 55巻, 3号, p.244-259

【本文】 社会的構築のメタファーが流布するとともに, その意味するところは多義化し, 探究の方法上の指針としてだけでなく, 批判のための一種の「イズム」として使われるようにもなっている.そうした「構築」系の “バベルの塔” 状況を整理するために, 本稿…