角田隆一「記憶メディアとしての写真 ―ロラン・バルトの「プンクトゥム」概念からの展開」『ソシオロゴス』2009年, 33号

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本稿は、写真を観るという経験と記憶の関係性について社会学的に考察することを目的としている。そ のために中心的に検討していくのは、ロラン・バルトによる最晩年の写真論『明るい部屋』である。本著作は独自の現象学的方法から写真の経験を取り扱い、その経験の時間性を深く追究した点で検討意義をもつ。特に注目したいのは、本書において示された「プンクトゥム」という独特な写真経験である。この写真経験を本稿の目的に照らして、記憶という観点から社会学的に捉え直していきたい。これによって、写 真を観るという経験に埋め込まれている記憶の位相、その記憶が放射状に社会性の水準へと拡大していく位相、そして写真を観るという経験に伴う時間性と記憶の関係についての位相を確認する。

クーン, Kuhn, Annette, 2002, Family Secrets: Acts of Memory and Imagination (New Edition) , New York: Verso.(= 2007,西山けい子訳『家庭の秘密――記憶と創造の行為』世界思想社.)