三隅一人「ネオ古典社会学の企て ―学説-数理-実証のはざまで―」『社会学年報』2009年, 38巻, p.5-16

本文

本稿では,古典学説に拠りつつ理論的一般化をはかるネオ古典社会学に,解釈支援型フォーマライゼーションという類型論に焦点をおく理論構築法を組み入れて,事例研究を媒介にして学説と数理の対話を促進する,その可能性と意義を論じる.第一に,役割の学説研究との往還の中から解釈支援型フォーマライゼーションならではの理論化を引き出す,その具体的な過程を例解する.ポイントは類型論の背後にあるプロセスの明示化である.第二に,そこで定式化されたプロセスのモデルを,秩序問題との接合および国際関係という異なる現象への応用を通して一般化し,理論的一般化のための含意を検討する.

 三隅一人(編著),2004 b,『社会学の古典理論―数理で蘇る巨匠たち』勁草書房.