サスキア・サッセン著, 伊豫谷登士翁他訳『グローバル・シティ-ニューヨーク・ロンドン・東京から世界を読む』(2001=2008→2018)

 

グローバル・シティ (ちくま学芸文庫)

グローバル・シティ (ちくま学芸文庫)

 

情報通信技術の発達が経済活動の劇的な変化を引き起こす一方で、世界経済を統治し文化をリードする機能は、グローバル・シティと呼ばれる「場」に集積した。そこには金融とともに高度な専門サービスを提供する企業が集中し、世界経済を支配・管理するだけでなく、高所得者層の新しいライフスタイルがグローバルな文化を生み出している。しかしその裏では、移民労働者を含む低賃金労働者が、産業を底辺で支えているのだ。国民国家の枠組を超えて発生する世界の新秩序と格差拡大を実証的に暴いた、都市論・移民研究・政治経済学の金寺塔。

第1部 グローバル化の地理学と構図を読み解く

 分散と新しい形の集中
 対外直接投資の新しいパターン
 金融業の国際化と拡大
第2部 グローバル・シティの経済秩序

 生産者サービス
 グローバル・シティ―脱工業化時代の生産の場
 グローバル都市システムをつくるもの―ネットワークと階層
第3部 グローバル・シティの社会秩序

 雇用と所得
 経済再編―階級と空間の二極化

 

 

リチャード・セイラー, キャス・サンスティーン著, 遠藤真美訳『実践行動経済学-健康、富、幸福への聡明な選択』(2008=2009)

 

実践 行動経済学

実践 行動経済学

 

市場には何が足りないのだろう?ごく凡庸な我々は、様々な人生の決断において自らの不合理性とひ弱さに振り回され続ける。制度に“ナッジ”を組み込めば、社会はもう少し暮らしやすくなる。“使える”行動経済学の全米ベストセラー。世界的な金融危機を読み解いた「国際版あとがき」も収録。

はじめにーー「自由放任」でも「押しつけ」でもなく

第1部 ヒューマンの世界とエコノの世界
第1章 バイアスと誤謬
第2章 誘惑の先回りをする
第3章 言動は群れに従う
第4章 ナッジはいつ必要なのか
第5章 選択アーキテクチャ

第2部 個人における貯蓄、投資、借金
第6章 意志力を問わない貯蓄戦略
第7章 オメデタ過ぎる投資法
第8章 “借金市場"に油断は禁物

第3部 社会における医療、環境、婚姻制度
第9章 社会保障制度の民営化――ビュッフェ方式
第10章 複雑きわまりない薬剤給付プログラム
第11章 臓器提供者を増やす方法
第12章 われわれの地球を救え
第13章 結婚を民営化する

第4部 ナッジの拡張と想定される異論
第14章 一二のミニナッジ

第15章 異論に答えよう
第16章 真の第三の道

あとがきーーヒューマン投資家と二〇〇八年金融危機

 

西村大志, 松浦雄介編著『映画は社会学する』(2016)

 

映画は社会学する

映画は社会学する

 

映画を用いて読者の想像力を刺激し、活性化するなかで、社会学における古典ともいうべき20の基礎理論を修得するための入門書。映画という想像力に富んだ思考実験から、人間や社会のリアルを社会学的につかみとる。

第1部 社会学的思考に慣れる

 動機の語彙(C.W.ミルズ)
 行為と演技(E.ゴフマン)
 ラベリング理論(H.ベッカー) ほか
第2部 社会学の視野を広げる

 社会関係資本(R.D.パットナム)
 感情労働(A.R.ホックシールド)
 親密性(A.ギデンズ) ほか
第3部 現代を読み解く社会学

 消費社会論(J.ボードリヤール)
 規律訓練と主体化(M.フーコー)
 監視社会(D.ライアン) ほか)

 伊奈『C. W. ミルズとアメリカ公共社会』

 間庭『現代若者犯罪史―バブル期後重要事件の歴史的解読』

現代若者犯罪史―バブル期後重要事件の歴史的解読

現代若者犯罪史―バブル期後重要事件の歴史的解読

 

ゴフマン『行為と演技』

行為と演技―日常生活における自己呈示 (ゴッフマンの社会学 1)

行為と演技―日常生活における自己呈示 (ゴッフマンの社会学 1)

 

コリンズ『脱常識の社会学』 

脱常識の社会学 第二版――社会の読み方入門 (岩波現代文庫)

脱常識の社会学 第二版――社会の読み方入門 (岩波現代文庫)

 

 中河『触発するゴフマン』

触発するゴフマン―やりとりの秩序の社会学

触発するゴフマン―やりとりの秩序の社会学

 

 西川「ゴフマンのドラマトゥルギー」中野『シカゴ学派社会学

シカゴ学派の社会学 (SEKAISHISO SEMINAR)

シカゴ学派の社会学 (SEKAISHISO SEMINAR)

 

  シュッツ『現象学的社会学

現象学的社会学 (文化人類学叢書)

現象学的社会学 (文化人類学叢書)

 

 野村『やさしいベイトソン

やさしいベイトソン―コミュニケーション理論を学ぼう!

やさしいベイトソン―コミュニケーション理論を学ぼう!

 

 アパデュライ『さまよえる近代』 

さまよえる近代―グローバル化の文化研究

さまよえる近代―グローバル化の文化研究

 

 片桐『過去と記憶の社会学

過去と記憶の社会学―自己論からの展開

過去と記憶の社会学―自己論からの展開

 

 日高『昭和ノスタルジアとは何か:記憶とラディカル・デモクラシーのメディア学』

昭和ノスタルジアとは何か

昭和ノスタルジアとは何か

 

 松浦『記憶の不確定性:社会学的探求』

記憶の不確定性―社会学的探究

記憶の不確定性―社会学的探究

 

ダン・スペルベル著, 菅野盾樹訳『表象は感染する-文化への自然主義的アプローチ』(1996=2001)

 

表象は感染する―文化への自然主義的アプローチ

表象は感染する―文化への自然主義的アプローチ

 

たとえば『赤頭巾ちゃん』の物語を楽しむとき、あるいはレシピに従って料理をつくるとき、コミュニケーションの観点から見ると何が起こっているのか?なぜある言明を、十分に理解していない、あるいは経験に裏付けられていないのに信じることができるのか?「表象の感染と変形」という疫学モデルによってこれらの問題を考察し、文化の成り立ちと伝播に関わる謎に迫る。

第1章 人類学者として真の唯物論者になる方法

第2章 文化的表象を解釈することと説明すること
第3章 人類学と心理学―表象の疫学のために
第4章 信念の疫学
第5章 文化の進化における淘汰と誘引
第6章 心のモジュール性と文化的多様性
結論―リスクと賭け

 

ドン・デリーロ著, 森川展男訳『ホワイト・ノイズ』(1985=1993)

 

ホワイト・ノイズ

ホワイト・ノイズ

 

アメリカの大学町で、ヒトラー学科を教える大学教授は、なぜピストルを手に殺人に向かったのか。ミステリーは深まる…。日常生活の不安を描いて、崇高な芸術作品に結晶させた全米図書常受賞作。

 

大屋雄裕著『自由とは何か-監視社会と「個人」の消滅』(2007)

 

自由とは何か (講談社現代新書)

自由とは何か (講談社現代新書)

 

かつてより快適な暮らしが実現した現代社会。各人の振る舞いは膨大なデータとして蓄積され、“好み”の商品情報が自動的に示される。さらにはさまざまな危険を防ぐため、あらかじめ安全に配慮した設計がなされる。こうして快適で安全な監視社会化が進む。これは私たち自身が望んだことでもある。しかし、ある枠内でしか“自由”に振る舞えず、しかも、そのように制約されていることを知らずにいて、本当に「自由」と言えるのか。「自由」という、古典的かつ重要な思想的問題に新たな視角から鋭く切り込む。

第1章 規則と自由

 「個人」の自己決定と法・政治
 自由への障害
 二つの自由―バーリンの自由論
 交錯する自由
第2章 監視と自由

 見ることの権力
 強化される監視
 ヨハネスブルク・自衛・監視
 監視と統計と先取り
 監視・配慮・権力
 「配慮」の意味
 衝突する人権?
 事前の規制・事後の規制
 規制手段とその特質
第3章 責任と自由

 刑法における責任と自由
 自己決定のメカニズム
 責任のための闘争―刑法四〇条削除問題
 主体と責任

 

ポール・コリアー著, 甘糟智子訳『民主主義がアフリカ経済を殺す-最底辺の10億人の国で起きている真実』(2009=2010)

 

民主主義がアフリカ経済を殺す

民主主義がアフリカ経済を殺す

 

最貧のアフリカ諸国では深刻な危機がなんと民主主義によって増幅されている。『最底辺の10億人』の著者がアフリカ大陸における驚くべき逆説を剔抉する。 

序章 最底辺の国々の恐るべき逆説

第一部 現実の否定としてのデモクレイジー
第一章 選挙と暴力
第二章 民族間の権力闘争
第三章 煮えたぎる釜のなかでーー紛争後調停

第ニ部 現前する暴力と対峙せよ
第四章 銃ーー火に油を注ぐ武装
第五章 戦争ーー破壊の政治経済学
第六章 クーデターーー誘導装置のないミサイル
第七章 破綻国家コートジボワール
第八章 国づくりの過程と条件
第九章 餌をもらうくらいなら死ぬほうがましか?
第十章 現実の変革のさなかで