大屋雄裕著『自由とは何か-監視社会と「個人」の消滅』(2007)

 

自由とは何か (講談社現代新書)

自由とは何か (講談社現代新書)

 

かつてより快適な暮らしが実現した現代社会。各人の振る舞いは膨大なデータとして蓄積され、“好み”の商品情報が自動的に示される。さらにはさまざまな危険を防ぐため、あらかじめ安全に配慮した設計がなされる。こうして快適で安全な監視社会化が進む。これは私たち自身が望んだことでもある。しかし、ある枠内でしか“自由”に振る舞えず、しかも、そのように制約されていることを知らずにいて、本当に「自由」と言えるのか。「自由」という、古典的かつ重要な思想的問題に新たな視角から鋭く切り込む。

第1章 規則と自由

 「個人」の自己決定と法・政治
 自由への障害
 二つの自由―バーリンの自由論
 交錯する自由
第2章 監視と自由

 見ることの権力
 強化される監視
 ヨハネスブルク・自衛・監視
 監視と統計と先取り
 監視・配慮・権力
 「配慮」の意味
 衝突する人権?
 事前の規制・事後の規制
 規制手段とその特質
第3章 責任と自由

 刑法における責任と自由
 自己決定のメカニズム
 責任のための闘争―刑法四〇条削除問題
 主体と責任