小泉義之著『哲学原理主義』(2022)

 

政治や歴史といった概念と、倫理や刑法といったルールと、生老病死や福祉といった現実と、言葉や文学といったイメージと、予断も間断もなく向き合いつづけてきた哲学者の集大成。「もっと高いもの」を求め、あらゆる根底を疑い、ときに覆そうとしてきたその徹底した思考の軌跡、その全貌がいまここに。

はじめに

第I部 倫理/善悪
第1章 言葉の停止の問題 – アウグスティヌス『告白』第10巻をめぐって
第2章 責任の有限性のために
第3章 善なる行為と善なる存在 – ヘーゲル精神現象学』「良心論」に即して
第4章 動くことと動かされること – アリストテレス「アクラシア」論について
第5章 生還者の自尊 – 善の希薄理論のために

第II部 政治/経済/歴史
第1章 われわれは大学がなにをなしうるか、ということさえわかっていない
第2章 脳の協働 – ガブリエル・タルド経済心理学』を導入する
第3章 中世身分制研究の批判的検討
第4章 『徒然草』の〈反〉障害学
第5章 田辺元コミュニズム
第6章 意味の地質学、人類の腫瘍学 – 『悲しき熱帯』を読む

第III部 実存/存在/世界
第1章 存在と実存 – 「私」と「現」における
第2章 直観空間と脳空間 – 戸坂潤とジル・ドゥルーズ
第3章 リアリズム論争のために – 分析哲学のドイツ的総合の惨めさについて

第IV部 生死/病気/狂気/生殖
第1章 デカルト省察』における狂気と病気
第2章 刑罰と責任
第3章 自由意志の罪と罰 – 精神の自由のために
第4章 保険セールスマンとしてのハイデガー
第5章 疫病下のフーコー – 死に照らされた深い革命
第6章 哲学と病院 – フーコードゥルーズにおける
第7章 制作と生殖 – 西田幾多郎の生命論によせて

第V部 文学/言語
第1章 文学の門前
第2章 1969年の大江健三郎 – 狂気の形象から障害の形象へ
第3章 言霊を吹き込む死と子ども

あとがき 哲学のファンダメンタル