小野紀明『政治理論の現在ー思想史と理論のあいだ』(2005)メモ

目次
序 章 政治思想史と政治的規範理論
第1章 今日の規範理論の隆盛 ― 脱行動論革命と実践哲学の復権
第2章 「政治」の誕生 ― 公共性概念の歴史
第3章 功利主義の誕生と変容 ― 人間学から公共哲学へ
第4章 市民的規範理論I ― 正義の現代的基礎付け
第5章 市民的規範理論II ― 市場社会の倫理性
第6章 共和主義的規範理論I ― シヴィックヒューマニズムの系譜
第7章 共和主義的規範理論II ― 「公的空間」の創出
第8章 コミュニタリアン的規範理論I ― 「生活世界」の政治学
第9章 コミュニタリアン的規範理論II ― 「言語論的転回」以降の政治学
第10章 ポストモダン的規範理論I ― 反基礎付け主義
第11章 ポストモダン的規範理論II ― 権力論の変容
第12章 ポストモダン的規範理論III ― フェミニズム
あとがき

p.4.「解釈学的展開」以降の多様な規範理論について。1992=2002

正義と解釈

正義と解釈

p.4.「異なる文脈から生み出されたフランスの政治的規範理論」p.5. 本書全体に関する参考文献
1983=1990
科学・解釈学・実践〈1〉客観主義と相対主義を超えて (SELECTION21)

科学・解釈学・実践〈1〉客観主義と相対主義を超えて (SELECTION21)

1991=1997
手すりなき思考―現代思想の倫理‐政治的地平

手すりなき思考―現代思想の倫理‐政治的地平

ポスト・リベラリズム―社会的規範理論への招待

ポスト・リベラリズム―社会的規範理論への招待

現代規範理論入門―ポスト・リベラリズムの新展開

現代規範理論入門―ポスト・リベラリズムの新展開

『思想ーリベラリズムの再定義』 2004年第9号 No.965 【リンク
p.7.1969年、D.イーストンのアメリ政治学会会長就任演説「政治学における新しい革命」以降の実証的政治科学。ダール『ポリアーキー』1971=81、ロウィ『自由主義の終焉』1969=81。p.9.実証性と規範性の幸福な結合。
p.14.ホッブズの契約論的構成をめぐるアポリア。「契約によってエゴイストたちの間に共同性を創出しようとしても、そもそも契約を締結するためには既に一定程度の共同性が存在していなければならず、こうして循環に陥ってしまうのである」
p.17.ハート、ドゥーキンの「法実証主義論争」からポストモダン法学に至るまでの法の普遍性・一般性・形式性について。
批判法学の構図: ダンカン・ケネディのアイロニカル・リベラル・リーガリズム

批判法学の構図: ダンカン・ケネディのアイロニカル・リベラル・リーガリズム

p.22. 1章全体
政治の隘路―多元主義の20世紀

政治の隘路―多元主義の20世紀

cf. 12章にも関係ありか。法的推論に関する新著2冊 【リンク
実践の中のジェンダー?法システムの社会学的記述

実践の中のジェンダー?法システムの社会学的記述

p.38.公的領域/私的領域、経済システムと政治システムの相互浸透、生活世界の植民地化
コミュニケイション的行為の理論 上

コミュニケイション的行為の理論 上

p.47.「一層の混乱、一層のナンセンス、そしていつも危険なナンセンス。…自然権などというものは存在しない。政府の設立に先行する権利などというものは存在しない。法的権利と対立し、それと矛盾する自然権などというものは存在しない」ベンサム『仏人権宣言の検討』※文献見当たらない。典拠書いてくれ。
p.50.シジウィックによる古典的功利主義の修正。『倫理学の諸方法』未邦訳
シジウィックと現代功利主義

シジウィックと現代功利主義

cf.
功利主義と経済学―シジウィックの実践哲学の射程

功利主義と経済学―シジウィックの実践哲学の射程

p.51. ヘアの普遍的指令主義。
道徳的に考えること―レベル・方法・要点

道徳的に考えること―レベル・方法・要点

p.108.ロック的リベラリズム(契約説)と共和主義の対立に関する論争。シヴィックヒューマニズム(市民的人文主義)を提出してパラダイム転換を引き起こした。1975=2008.
マキァヴェリアン・モーメント―フィレンツェの政治思想と大西洋圏の共和主義の伝統

マキァヴェリアン・モーメント―フィレンツェの政治思想と大西洋圏の共和主義の伝統

p.109.共和主義論争に参加した重要な著作のひとつ。1955=1994
アメリカ自由主義の伝統 (講談社学術文庫)

アメリカ自由主義の伝統 (講談社学術文庫)

1984=2009
ストロング・デモクラシー―新時代のための参加政治

ストロング・デモクラシー―新時代のための参加政治

  • 作者: ベンジャミン・R.バーバー,Benjamin R. Barber,竹井隆人
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7章. 1992=2004
アレント政治思想の再解釈

アレント政治思想の再解釈

生と思想の政治学―ハンナ・アレントの思想形成

生と思想の政治学―ハンナ・アレントの思想形成

現象学と政治―二十世紀ドイツ精神史研究

現象学と政治―二十世紀ドイツ精神史研究

アーレントと現代―自由の政治とその展望

アーレントと現代―自由の政治とその展望

ハンナ・アレントと国民国家の世紀

ハンナ・アレントと国民国家の世紀

cf.このあたりはやはりこれがよかった。既読。
政治と複数性―民主的な公共性にむけて

政治と複数性―民主的な公共性にむけて

8章. p.147.リベラリズムロマン主義(英雄的個人主義)を和解させた「もうひとつのリベラリズム」怪しい...
Another Liberalism: Romanticism and the Reconstruction of Liberal Thought

Another Liberalism: Romanticism and the Reconstruction of Liberal Thought

p.151.ダルマイヤーによる生活世界の弱い概念と強い概念の整理。
Life-World and Politics: Between Modernity and Postmodernity : Essays in Honor of Fred R. Dallmayr

Life-World and Politics: Between Modernity and Postmodernity : Essays in Honor of Fred R. Dallmayr

p.152.67年、71年、ハーバマスとガダマーの応酬。「1961年ドイツ社会学会の場でガーダマーの解釈学を援用しつつ、反証可能性を重視するポパーの社会科学理解を批判したハーバーマスは、返す刀で今度は、ガーダマーの伝統尊重が現状を追認するだけの保守主義的な含意をもっていることを批判したのである(「社会科学の論理によせて」1967年)これに対してガーダマーは、アルキメデスの点に立脚して普遍妥当性を要求する科学的合理性と、地平に拘束された実践知をもたらすだけの修辞学的合理性を区別した上で、普遍に対する閉鎖性と開放性を言語に同時に要求するハーバーマスの矛盾した態度は、結局のところ科学的合理性に依然として囚われていることを示していると喝破した(「修辞学・解釈学・イデオロギー批判」1967年)。以降、ハ「解釈学的な普遍性要求」このあたりはウォーンキー『ガダマーの世界』に詳しかったはず。既読。
ガダマーの世界―解釈学の射程

ガダマーの世界―解釈学の射程

p.161.再解釈の可能性や頻度、程度について、マッキンタイア=強いコミュニタリアン、ウォルツァー=弱いコミュニタリアン。ウォルツァーのほうがまともっぽい。
p.170. ウィトゲンシュタインの政治哲学。後期wiの影響を受けたJohn CaseyがRoger Scrutonといった英保守主義者の研究。
The Redefinition of Conservatism: Politics and Doctrine

The Redefinition of Conservatism: Politics and Doctrine