長谷正人・太田省一編『テレビだョ!全員集合―自作自演の1970年代』(2007)メモ

テレビだョ!全員集合―自作自演の1970年代

テレビだョ!全員集合―自作自演の1970年代

序章 七〇年代テレビと自作自演 長谷正人
 1 テレビの面白さ
 2 自作自演としての七〇年代テレビ
 3 本書の構成
第1部 七〇年代テレビをジャンル別に見る
第1章 開拓者の時代──七〇年代バラエティというフロンティア 太田省一
 1 テレビに移住する──「ゲバゲバ」から「土曜8時」へ
 2 「低俗」であるということ──『全員集合』と通過儀礼
 3 「欽ちゃん」というバーチャルリアリティ──「お茶の間」を見るテレビ
 4 視聴者参加の七〇年代──真剣とゲームの間で
 5 タレントとは何か──マチャアキからタモリ
 6 バラエティの秘かな冒険──ポストテレビへの助走
第2章 視るものとしての歌謡曲──七〇年代歌番組という空間 太田省一
 1 全盛期としての七〇年代
 2 六〇年代後半に起こったこと
 3 「アイドル」という現象
 4 変容する「歌謡界」
 5 『ザ・ベストテン』が意味するもの
 6 八〇年代へ
第3章 ドキュメンタリー青春時代の終焉──七〇年代テレビ論 丹羽美之
 1 転回点としての一九七〇年代
 2 『ドキュメンタリー青春』と田原総一朗
 3 青春、ジャズ、テレビ
 4 テレビの自己解体
第4章 日常性と非日常性の相克──七〇年代テレビドラマ論 長谷正人
 1 視聴者における日常性と非日常性の相克
 2 制作現場における中継性と作品性の相克
 3 山田太一、非日常性を日常性に折り畳むこと
 4 「住まうこと」の中継としてのドラマ
第5章 コマーシャルの転回点としての七〇年代 難波功士
 1 コマーシャルから解放されたCM音楽
 2 伝説のCM作家という伝説
 3 マルチな才能という商法
第2部 七〇年代テレビと社会を読む
第6章 テレビと大晦日 高野光平
 1 メディア・イベントとしての十二月三十一日
 2 年越しテレビの古層(─一九五二年)
 3 『紅白』圧勝──秩序が生む想像的非日常(一九五三─七四年)
 4 覚醒から混沌へ──内輪空間が生む増幅的非日常(一九七五年─)
 5 大晦日からテレビが見える
第7章 「女子アナ」以前 あるいは“一九八〇年代/フジテレビ的なるもの”の下部構造──露木茂氏インタビューから 瓜生吉則
 1 彼女たちが「女子アナ」になったころ
 2 「テレビ・アナウンサー」露木茂
 3 「女子アナ」神話の下部構造
 4 「革命」の後で
第8章 テレビにとって“やらせバッシング”とは何か──「やらせ問題」のテレビ史的意義 田所承己
 1 ムスタン事件
 2 やらせ概念の出現
 3 やらせリンチ事件
 4 テレビバッシングの特性
 5 “やらせバッシング”とは何か
資料 七〇年代を代表するテレビ番組の基礎知識
資料 七〇年代テレビ史年表
資料 テレビ論のためのブックガイド 長谷正人
あとがき 太田省一

序章
p.16.「しかしこのような80年代的な「自作自演」の遊戯空間は、ある意味では現在の視聴者にとってはあまりにも見慣れた光景といえるだろう。
p.17. 「誰かの意図や戦略には回収されない、不透明な出来事としての「自作自演」性が、70年代テレビにはあってのではないか。

第1章. 太田省一「開拓者の時代ー70年代バラエティというフロンティア」
p.31.「むしろ70年代のバラエティで重要なのは、演出かアドリブかという対立ではなく、60年代までにいったんジャンル分けをはじめとする布置が定まったかのようにみえたテレビという空間のなかに再度さまざまなフロンティアを見出し、実際その開拓にかなりの部分、成功したということにある」「60年代のバラエティが、テレビとは別個に営まれる日常生活にとっての良質な娯楽を目指したとすれば、70年代のバラエティは、テレビと日常生活の関係をテレビの内部へ移植し、そこに生じる未知とも既知とも言いがたいコミュニケーションの形を娯楽化しようとする」

第4章. 長谷正人「日常性と非日常性の相克ー70年代テレビドラマ論」
p.108.「つまり70年代後半の作家たち(山田太一倉本聰向田邦子)は、人々の日常生活から離脱したいという夢に共鳴しながらも、それが非日常的な消費生活に収まらない形を探求しようとしていたと思うのだ」括弧内は引用者付記。

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