佐藤岳詩著『メタ倫理学入門-道徳のそもそもを考える』(2017)

 

メタ倫理学入門: 道徳のそもそもを考える

メタ倫理学入門: 道徳のそもそもを考える

 

 「私たちは何をすべきか」を考える規範倫理学に対して、一歩後ろから「そもそも、なすべき正しいこととは何なのか」を考えるメタ倫理学。暗黙の前提をひっくり返し、議論の土台を新しく整備して、先入観や思い込みに気づかせてくれるのがメタ倫理学の役割だ。初学者向けに丁寧に論点を整理し、読者が自分の倫理を考える旅へといざなう。

はじめに

Ⅰ 道徳のそもそもをめぐって

第一章 メタ倫理学とは何か
 1 倫理学とは何か
 2 倫理学の分類
 3 メタ倫理学は何の役に立つのか
 4 メタ倫理学では何が問われるのか
 5 本書の構成

第二章 メタ倫理学にはどんな立場があるか
 1 客観主義と主観主義
 2 道徳的相対主義
 3 客観主義と主観主義のまとめ

Ⅱ 道徳の存在をめぐって

第三章 「正しいこと」なんて存在しない――道徳の非実在
 1 道徳の存在論
 2 錯誤理論――道徳の言説はすべて誤り
 3 道徳の存在しない世界で
 4 道徳非実在論のまとめ

第四章 「正しいこと」は自然に客観的に存在する―― 道徳実在論自然主義
 1 実在論の考え方と二つの方向性
 2 素朴な自然主義(意味論的自然主義)――もっともシンプルな自然主義
 3 還元主義的自然主義――道徳を他の自然的なものに置き換える
 4 非還元主義的自然主義――道徳は他と置き換えられない自然的なもの
 5 自然主義全般の問題点
 6 自然主義実在論のまとめ

第五章 「正しいこと」は不自然であろうと存在する――道徳実在論②非自然主義実在論
 1 神命説
 2 強固な実在論
 3 理由の実在論
 4 非自然主義実在論のまとめ

第六章 そもそも白黒つけようとしすぎじゃないのか――第三の立場と静寂主義
 1 準実在論――道徳は実在しないが、実在とみなして構わない
 2 感受性理論――道徳の実在は私たちの感受性を必要とする
 3 手続き的実在論――道徳は適切な手続きを通して実在する
 4 静寂主義――そもそも実在は問題じゃない
 5 第三の立場および第Ⅱ部のまとめ

Ⅲ 道徳の力をめぐって

第七章 道徳判断を下すとは自分の態度を表すことである――表出主義
 1 道徳的な問いに答えること
 2 表出主義
 3 表現型情緒主義――道徳判断とは私たちの情緒の表現である
 4 説得型情緒主義――道徳判断とは説得の道具である
 5 指令主義――道徳判断とは勧めであり指令である
 6 規範表出主義――道徳判断とは私たちが受け入れている規範の表出である
 7 表出主義のまとめ

第八章 道徳判断を下すとは事実を認知することである――認知主義
 1 認知主義
 2 内在主義と外在主義
 3 ヒューム主義――信念と欲求は分離されねばならないか
 4 認知は動機づけを与えうるか
 5 道徳判断の説明のまとめ

第九章 そもそも私たちは道徳的に善く振る舞わねばならないのか
 1 Why be Moral問題
 2 道徳的に善く振る舞うべき理由などない
 3 道徳的に善く振る舞うべき理由はある――プリチャードのジレンマ
 4 道具的価値に基づく理由
 5 最終的価値に基づく理由――理性主義
 6 そもそも理由なんていらなかった?――直観主義、再び
 7 Why be Moral問題および第Ⅲ部のまとめ

おわりに

 15 ヌスバウム『経済成長がすべてか?』

 35 ハーツ『あなたはなぜ「嫌悪感」をいだくのか』

あなたはなぜ「嫌悪感」をいだくのか

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71 戸田山『恐怖の哲学』

恐怖の哲学 ホラーで人間を読む (NHK出版新書)

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 185 テイラー『自我の源泉』

自我の源泉 ?近代的アイデンティティの形成?

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191 ローティ『プラグマティズムの帰結』 

プラグマティズムの帰結 (ちくま学芸文庫)

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