アーサー・C・ダント著『物語としての歴史』(1966=1989)

物語としての歴史―歴史の分析哲学

物語としての歴史―歴史の分析哲学

本書は歴史の物語的解釈を促した分析的歴史哲学の書であり、歴史の物語派と呼ぶべきものの出発点となった著作である。物語の概念を中心に歴史を解釈する探求の系列の中では、ヘイドン・ホワイトの『メタヒストリー』と並ぶ必須の典拠となっている。

序文
第一章 実在論的歴史哲学と分析的歴史哲学
第二章 歴史の最小特性
第三章 歴史的知識の可能性に対する三つの反論
第四章 検証と時制
第五章 時間的懐疑主義
第六章 歴史的相対主義
第七章 歴史と時代編年史
第八章 物語文
第九章 未来と過去
第十章 歴史的説明と一般法則
第十一章 物語の役割
第十二章 歴史的理解と他の時代
第十三章 方法論的個体主義
原注

383「一般的に言えば、物語文は時間的に隔てられ、はっきり区別される二つの出来事(この場合は開始と終り)を関係づけるが、そのうちの最初の出来事のみを記述するような文である。ここでは過去は遡及的に再編成されるのであり、半ば自明のことだが、歴史学が出来事を物語るのは、過去の再現としてではなく、むしろ過去を時間の構造において有機的に組織するのである。この組織化をさまざまな側面から解明してゆくことが本書のモチーフである」
第5章途中まで。