- 作者: 麻生博之,城戸淳
- 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
- 発売日: 2006/05
- メディア: 単行本
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生きることや幸福、心・自由、知識・真理、存在・時間、善悪、社会・歴史、愛・性、死などのテーマを読者の目線でやさしく語る。はじめての人でも自由自在に学べる初歩の“哲学”。「主な哲学者紹介」「読書案内」を併載。
はじめに――哲学的に考えるということ――
I 人間とその生
1 生きる―生きることの意味とはなにか―
なんのための生きるのか/アリストテレスの「最高善」/「活動」としての行為
/ ニーチェの永遠回帰の思想 / 宇宙論的な苦笑2 心 ―「心」とはいったいなんだろうか―
「心とは……である」と言い当てられるか/プラトンの霊魂説/
アリストテレスの『魂について』/デカルトの転換(魂から精神へ)/
カントによるデカルト批判3 心と身体―心身はどんな関係にあるのか―
心身問題/二元論(デカルトの相互作用説)/二元論の困難/二元論と一元論/
唯物論的な考え方(心脳同一説と機能主義)/心の主観性/関係としての心II 私と他者
4 私―自己意識という迷宮―
私をめぐるいくつかの問い/「考えるもの」としての私/私の捉えがたさ/
「意識そのもの」としての私/「他者の他者」としての私5 アイデンティティ―昨日の私は私なのか―
私の変化と同一性/同一性と記憶/忘却と循環/身体と他者/積み残されている問題6 他者の心―他人の気持ちや思いがわかるとはどのようなことか―
他我問題/類推説/感情移入説/心の私秘性という問題/行動主義/直接知覚説/
「他人の」心のありようが分かるということIII 自由と行為
7 自 由―決定論と自由は両立するのか―
全知全能の神とラプラスの魔/意志の最初の哲学者、アウグスティヌス/
若きカントの自発性の概念/ホッブズの意志実現説/ライプニッツの可能世界論/
カントの第3アンチノミー/経験的観点と叡智的観点の両立8 行 為―行為と出来事はどう違うのか―
「する」と「起きる」/プラトンの原因論/意志原因説の問題点/
アンスコムの「観察にもとづかない知識」/理由と原因/行為の絵と出来事の絵の違い9 責 任―行為の責任を問うということ―
他者の自由へ/アリストテレスの責任論/性格の形成過程/カントの「人格」の概念/
他なる人格と「理性の事実」/ストローソンの責任論/日常世界と哲学IV 知識と言語
10 知る―なにかを知るとはどういうことだろうか―
『マトリックス』仮説/いもづる式懐疑/伝統的知性観/理性と経験/観念論と実在論/
方法的懐疑/パトナムによる解決策11 真 理―なにかが真であるとはどういうことだろうか―
うそつきのパラドクス/伝統的真理概念/対応説から観念論へ/対応説から反実在論へ/
うそつきふたたび/クリプキによる解決策12 意 味―なにかを意味するとはどういうことだろうか―
「+」記号のパラドクス/意味は心のなかに/双子地球/意味を心の外に/
懐疑的結論と懐疑的解決/孤立した個人と共同体V 存在と世界
13 存在と無―「ある」とはどういうことか―
なぜなにかがあるのか/世界があるということ/存在論的差異/存在と無14 個と普遍―なにがあるのか―
なにがあるのか/プラトンのイデア/アリストテレスの実体/実在論と唯名論/
存在するとは変項の値になること15 世界の実在―身のまわりの世界は本当にあるのか―
意識のベール/観念とものそのもの/存在するとは知覚されること/疑いをまぬがれる世界16 時 間―時間はどこにあるのか―
時間はどこにあるのか/アウグスティヌスの三つの時間/フッサールの時間意識/
数えられる時間/時計の時間と絶対時間VI 善悪と価値
17 よ い―善/悪の根拠はなにか―
道徳という現象/道徳の指令性/道徳の客観性/道徳の本質的な特徴/
道徳的判断と真偽/道徳的性質はありうるか/ヒュームの懐疑(1)/
ヒュームの懐疑(2)/問いとしての道徳18 相対主義―価値のちがいは絶対的か―
素朴な道徳相対主義/相対主義批判/文化のちがいと道徳のちがい/
洗練された道徳相対主義/暗黙の合意/すべては本当に「相対的」なのか19 義務か快苦か―行為の動機と結果をめぐって―
義務論/カントの善い意思と義務/定言命法/義務論とわれわれの常識/
功利主義/功利主義とわれわれの常識VII 社会と人間
20 ともに生きる―社会はどのように成り立つのか―
どこに社会はあるのか/「個人が先か。社会が先か」/アリストテレスの社会観/
社会契約論/ふたたび「個人が先か。社会が先か」21 所 有―なにが私のものなのか―
所有による世界の色分け/所有の定義/ロックの労働所有論/労働の混入は目印になりうるか/
私の身体は私の所有物か/所有と他者22 性 ―性的差異は「自然」なものか―
男性も出産できたら/セックス/ジェンダー/セクシュアリティ/本質主義/
文化的差異としてのセックス/哲学の古典の沈黙23 歴 史―歴史があるとはどういうことか
歴史のイメージ/古典的歴史哲学と歴史の物語論/想起過去説/物語文/
歴史は改訂をまぬがれない/歴史の物語論と歴史修正主義VIII 苦悩と幸福
24 死 ―死というものをどのように考えるべきだろうか―
「死」は人間の敗北か/『ガリヴァー旅行記』の思考実験/人間の条件としての「死」/
生の「事実」/事実的な生における「死」の現在/「死」の意味25 愛 ―誰かを愛するとはどのようなことだろう―
愛することを学ぶ/一体化への渇望/一体化の挫折/欠如への欲求/愛の苦悩と情熱/
欠如の愛を超えて/現実の相手に対する悦び/ともによく生きるための愛/異質な他者への愛/
一生の課題としての愛26 幸 福―生の充足をめぐって―
すべての人は幸福を求める/幸福の不可能性/幸福の可能性を求めて/<よく生きること>と幸福/
自己実現としての幸福/現在の活動としての幸福