北田暁大著『社会制作の方法』(2018)

 

社会学の重要課題であった「社会秩序はいかにして可能か」という問いは二つの方向に分かれていった。秩序の成り立ちをめぐる精緻な分析はhowの問いに還元され、秩序のwhatを問う分析は他分野に委ねられた。しかし、本来はwhatとhowの切り分け難さこそが社会学の根底にある。本書は理論的な構想力からたどり着きうる秩序の条件を描き出す。

序 「社会学の根本問題」と社会問題の社会学─whatとhowのあいだ
第Ⅰ部 過去制作の方法──出来事の構築
第1章 存在忘却?──二つの構築主義をめぐって
補論 ジェンダー構築主義
第2章 「構築されざるもの」の権利?──歴史的構築主義実在論
第3章 構築主義実在論の奇妙な結婚──ジョン・サール『社会的現実の構成』を読む
第4章 歴史的因果の構築──ウェーバーポパーの歴史方法論を中心に
第Ⅱ部 倫理制作の方法──責任と自由の構築
第5章 行為の責任を創り上げる──シュッツ動機論からルーマンの道徳理論への展開
第6章 「自由な人格」の制作方法──ウェーバーによる定言命法仮言命法
第7章 人間本性の構築主義文化左翼のプロジェクト──ローティとともにローティに抗う
第Ⅲ部 社会制作の方法──ルーマンをめぐって
第8章 他者論のルーマン
第9章 社会の討議──社会的装置としての熟議
第10章 社会の人権──基本的人権とは社会システムにとってなにか