田中明彦他編著『日本の国際政治学〈1〉学としての国際政治」(2009)

日本の国際政治学 1 学としての国際政治

日本の国際政治学 1 学としての国際政治

世界の学問的展開をどのように受け止め、いかに新たな貢献をなすか。日本の国際政治研究においては、(1)国際政治学理論と歴史研究とりわけ外交史研究との間で、(2)国際政治学と地域研究との間で、(3)国家を中心とする国際政治研究と国家を超える政治研究との間で、「理論」と「実証」の関係を中心として、潜在的に論争が行われてきた。この三つの対立軸をふまえつつ、理論的ないし方法論的思向の強い研究事例を提示する。

序 章 日本の国際政治学──「棲み分け」を超えて=田中明彦
第1章 国際政治理論──近代以後の歴史的展開=中西 寛
第2章 リアリズム──その日本的特徴=村田晃嗣
第3章 ネオ・リベラル制度論──国連安保理改革にみる可能性と限界=飯田敬輔
第4章 コンストラクティビズム──実証研究の方法論的課題=宮岡 勲
第5章 対外政策決定──「小泉外交」における政治過程=信田智人
第6章 ジェンダー──フェミニスト国際関係論の発展と課題=御巫由美子
第7章 安全保障──非対称型脅威の台頭=神保 謙
第8章 国際政治経済──戦後の展開と今後の課題=田所昌幸
第9章 国際関係における文化──系譜とさまざまな視点=川村陶子
第10章 戦略的思考法──北東アジアにおける日本の制度戦略=鈴木基史
第11章 シミュレーション──過激派ネットワークの形成=山本和也

●中西論文
32 5,7章「植民地主義は経済合理性をもたない」ホブソンの「帝国主義

危機の20年と思想家たち―戦間期理想主義の再評価 (MINERVA人文・社会科学叢書)

危機の20年と思想家たち―戦間期理想主義の再評価 (MINERVA人文・社会科学叢書)

34 理想主義批判、リアリズムの国際政治分析
危機の二十年――理想と現実 (岩波文庫)

危機の二十年――理想と現実 (岩波文庫)

36 70年代主流派はハーシュマン、オラン・ヤング、ナイ、コヘイン、クラズナーなどが手動した自由主義的系譜だった。レジーム論、覇権安定論。対してウォルツは国際システム論。80年代以降、ポストモダニズム構成主義の流行。
●村田論文
41
現実主義の国際政治思想―M.ウェーバーからH.キッシンジャーまで

現実主義の国際政治思想―M.ウェーバーからH.キッシンジャーまで

安保改定後, 高坂正堯、永井陽一郎、神谷不二、衞藤瀋吉、若泉敬
49
政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年

政治と秋刀魚 日本と暮らして四五年

●飯田論文
63「リアリストの言うように、筆者もネオリベラル制度論にはパワーの視覚が欠けていることが最大の弱点だと感じている」「制度論でも制度とパワーがどのように関係しているのが明らかにされなければならない」
●宮岡論文
80 コヘイン、合理主義と内省主義(内省や学習を通じてのアクターの選好の変化に注目)の対話。ウェント、穏健(モダン)な構築主義によるネオリアリズムとの対峙。
84 ウェント、実証主義構築主義
86 科学的実在論による論理実証主義(DNモデル)批判
91
国際関係理論史

国際関係理論史

●信田論文
94 グレアム・アリソン『決定の本質』、「合理的行為者モデル」から「組織モデル」「官僚政治モデル」へ。
119 『公共政策研究』
●川村論文
182 文化的視点に立脚した国際関係研究。1.国際社会学。馬場伸也、小倉充夫。社会学のアプローチに基づく。2.国際文化論。国際交流、杉山恭。3.国際文化論、平野健一郎、戦略分析的性格。