牧野智和著『日常に侵入する自己啓発-生き方・手帳術・片づけ』(2015)

 

日常に侵入する自己啓発: 生き方・手帳術・片づけ

日常に侵入する自己啓発: 生き方・手帳術・片づけ

 

自己啓発書はどのように生み出され、誰によってどのように読まれているのか。自己啓発書には結局のところ何が書かれてあるのか。各年代の生き方指南書、「手帳術」ガイド、掃除・片づけで人生が変わるとする書籍、さらには自己啓発書の作り手と読者へのインタビュー、質問紙調査の分析から「自己啓発の時代」を総合的に考究する。

はじめに

第一章 ハビトゥスとしての自己啓発
 1 日常を差異化する自己啓発
 2 ハビトゥスとしての自己啓発
 3 「自己啓発界」の構造
 4 自己啓発書の読者とは誰か
 5 「薄い文化」としての自己啓発書購読
 6 本書の目的と分析枠組

第二章 「ヘゲモニックな男性性」とそのハビトゥス――男性向け「年代本」の分析
 1 煽るメディアとしての男性向け「年代本」
 2 「群れ」からの脱出――二〇代論
 3 仕事・プライベートの一元的統御――三〇代論
 4 「自分らしさ」の再文脈化――四〇代論
 5 細分化される人生

第三章 「自分らしさ」という至上原理――女性向け「年代本」の分析
 1 迷い・悩みのメディアとしての女性向け「年代本」
 2 「自分らしさ」という賭金=争点
 3 自分らしさ志向の際限なき適用
 4 「女らしさ」からの離脱?
 5 自分らしさ志向の系譜

第四章 「今ここ」の節合可能性――手帳術本の三五年史
 1 「日常」に特化したジャンルとしての手帳術
 2 手帳語りの始まり――一九七九年
 3 手帳術の発見――一九八〇・九〇年代
 4 手帳術と「夢」の節合――二〇〇〇年代前半
 5 手帳術の細密化と飽和――二〇〇〇年代後半以降
 6 日常感覚を共有するコミュニティの形成

第五章 私的空間の節合可能性――家事の自己啓発的転回と私的空間の聖化
 1 「片づけ」で人生が変わる?
 2 掃除の「発見」
 3 整理・収納論における自己啓発的転回
 4 私的空間の節合可能性――「捨てる」・シンプルライフ・風水
 5 聖なる私的空間の消費

終章 自己啓発の時代のゆくえ
 1 「アイデンティティ・ゲーム化」というアイデンティティ・ゲーム
 2 「コントロール可能性への専心」というハビトゥス
 3 自己啓発の時代のゆくえ

あとがき
参考文献
索 引

 7 岡原『感情資本主義に生まれて―感情と身体の新たな地平を模索する』

 17 加島『文化人とは何か』 

文化人とは何か?

文化人とは何か?

 

 

高井尚之著『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(2016)

 

なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか? ―「お客が長居する」のに儲かるコメダのひみつ

なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか? ―「お客が長居する」のに儲かるコメダのひみつ

 

コメダ珈琲店」人気の秘密を大解剖!「昭和レトロなコーヒー」と「ボリュームたっぷりパンメニュー」、全世代の心をつかむ接客のアイデア、“アンチスタバ派”が好きな「昭和型喫茶店」の魅力―コメダの企業としての「強み」を大解明

 第1章 「コメダ珈琲店」人気の秘密を大解剖!

 なぜ、「コメダ珈琲店」は人気なのか?
 なぜ、コメダは「お客の滞在時間」が長くても儲かるのか? ほか
第2章 「昭和レトロなコーヒー」と「ボリュームたっぷりパンメニュー」

 なぜ、コメダは「喫茶店」でなく「珈琲店」なのか?
 なぜ、アイスコーヒーの基本はガムシロップ入りなのか? ほか
第3章 全世代の心をつかむ接客のアイデア

 なぜ、店舗では「マニュアル重視」の接客をしないのか?
 なぜ、店舗スタッフは朝礼で「顔の体操」をするのか? ほか
第4章 “アンチスタバ派”が好きな「昭和型喫茶店」の魅力

 なぜ、「スタバでは落ち着けない」人が一定層いるのか?
 なぜ、コメダには「舌をかみそうなメニューがない」のか? ほか
第5章 コメダの企業としての「強み」を大解明!

 なぜ、これだけ「東日本や西日本に出店」できるのか?
 全部で70日超!競合の3倍時間をかける「コメダの店舗研修」 ほか

 

クリストファー・ボグラー, デイビッド・マッケナ著, 府川由美恵訳『物語の法則-強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術』(2011→2013)

 

物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術

 

ディズニー「美女と野獣」「ライオン・キング」や「ベオウルフ」「レスラー」他多数の脚本開発に携わった一流クリエイターが伝授!ジョーゼフ・キャンベルの神話理論を応用した、物語創作者必読書。

本書への推薦コメント
はじめに
ツールキット
ストーリー部門での日々
あいつら何者だ?
1 テーマを持つ
2 “求めるもの"リスト
3 重要な取引は何か?
4 観客との契約
5 両極の対立
不可欠なツール
パルプ・フィクション』――二人のキャラクター、二つの極
マディソン郡の橋』――ひとりのキャラクター、二つの極
6 すべては“覚書"から始まった――『千の顔をもつ英雄』実践ガイド
ジョーゼフ・キャンベルの『千の顔をもつ英雄』実践ガイド
はじめに
〈英雄の旅路〉の概略
〈ヒーローズ・ジャーニー〉のステージ
7 英雄の内面的な旅路
プロット主導か、キャラクター主導か?
8 相互アクション
すべてはゲームである
9 キャラクターの機能――〈原型〉とそれ以外の類型
〈原型〉
プロップのキャラクター
10 キャラクターの代数方程式(及び不自然な仕事について)
(1)求めるもの
(2)動き
(3)障害
(4)選択
方程式と不自然な仕事
11 キャラクターとテオプラストス
そもそもテオプラストスとは何者か?
『キャラクターたち』の計画
テオプラストスのキャラクター類型
『キャラクターたち』の活用法
考えられるキャラクターのメニュー
混合と組み合わせ
二つならよし、三つならなおよし
もっと多ければもっとおもしろい
自分のリストを作ってみよう
キャラクター素描にトライしてみよう
さらに進んだ実験
脇役
『キャラクターたち』の肯定的な修正
ちょっと待った――これはステレオタイプとは違うのか?
シネコンで起った奇妙な出来事
奇跡的発見
ローマ人によるリメイク
12 シノプシスとログ・ライン
13 ウラジーミル・プロップのおとぎ話アプローチ
プロップの“機能"
プロップの“機能"、及び〈ヒーローズ・ジャーニー〉のステージとの比較
結論
14 プロップのキャラクター
15 環境的事実――概論
環境的事実
発見したこと
双方向の働き
新たな視点
次の挑戦者へ
16 環境的事実(1)――日付
17 環境的事実(2)――場所
18 環境的事実(3)――社会的環境
社会集団をひとつにまとめているものは何か?
それとなく示される社会的手がかり
事例
19 環境的事実(4)――宗教的環境
20 環境的事実(5)――政治的環境
21 環境的事実(6)――経済的環境
安易な解答に頼ってはならない
金に従え
別の道はつねにある
ほかの通貨形式
22 環境的事実――結論
陸にあがった魚
旅路の円弧
核心に近づくための推理
ターニングポイントはどこか?
23 ボードビルから学んだこと
支配人の役割
ショー・マスト・ゴー・オン
コントラストの原理
ディズニーとコントラスト
目玉商品の配置
プログラムの肉づけ
実践に移す
24 ショーマンシップ
A・R・K・O・F・Fの方程式
売りたいのはベーコンじゃない
25 プロの映画脚本家になりたい人のための五か年計画
26 映画会社は脚本に何を求めているか
キャラクター
構造
会話
コンセプト
予算
基本ライン
27 ではさらば――私の捨て台詞

 

松本卓也著『創造と狂気の歴史-プラトンからドゥルーズまで』(2019)

 

創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで (講談社選書メチエ)

創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで (講談社選書メチエ)

 

「創造」と「狂気」には切っても切れない深い結びつきがある──ビジネスの世界でも知られるこの問題は、実に2500年にも及ぶ壮大な歴史をもっている。プラトンアリストテレスに始まり、デカルト、カント、ヘーゲルを経て、ラカンデリダドゥルーズまで。未曾有の思想史を大胆に、そして明快に描いていく本書は、気鋭の著者がついに解き放つ「主著」の名にふさわしい1冊である。まさに待望の書がここに堂々完成!

 はじめに──創造と狂気は紙一重
第1章 「創造と狂気」の関係を問う
第2章 プラトン──神的狂気と創造
第3章 アリストテレス──メランコリーと創造
第4章 フィチーノデューラー──怠惰からメランコリーへ
第5章 デカルト──狂気に取り憑かれた哲学
第6章 カント──狂気を隔離する哲学
第7章 ヘーゲル──狂気を乗り越える哲学
第8章 ヘルダーリン──ついに統合失調症が現れる
第9章 ハイデガー──詩の否定神学
第10章 ラカン──「詩の否定神学」の構造論化
第11章 ラプランシュとフーコー──ヘルダーリンと父の問題
第12章 アルトーデリダ──病跡学の脱構築
第13章 ドゥルーズ──「詩の否定神学」からの逃走
おわりに──「創造と狂気」はどこへ向かうのか?

参考文献
初出一覧
あとがき

伊坂幸太郎著『魔王』(2005)

 

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)

 

会社員の安藤は弟の潤也と二人で暮らしていた。自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、一人の男に近づいていった。5年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともに綴られる、何気ない日常生活に流されることの危うさ。新たなる小説の可能性を追求した物語。

 

原武史著『平成の終焉-退位と天皇・皇后』(2019)

 

平成の終焉: 退位と天皇・皇后 (岩波新書)

平成の終焉: 退位と天皇・皇后 (岩波新書)

 

平成とは天皇制の新たなスタイルが確立された時代だった.日本中をくまなく訪ね歩き,自らの思いを国民に直接語りかけてきた天皇明仁と皇后美智子.二人が生み出した「平成流」は退位後も受け継がれていくのか.皇太子(妃)時代からの足跡を丹念にたどり,「象徴」と国民との奇妙な政治的関係性を問い直す.

序 論 天皇明仁の退位

第1章 「おことば」を読み解く――現在編
 1 「おことば」の背景
 2 「おことば」の分析
 3 「おことば」の問題点

第2章 「平成」の胚胎――過去編1
 1 行啓の概要
 2 人々から遠ざかる――行幸啓との共通点
 3 人々に近づく――行幸啓との相違点
 4 戦争に向き合う――広島・長崎・沖縄

第3章 「平成」の完成――過去編2
 1 昭和からの継続
 2 右派からの反撃
 3 行幸啓の実態
 4 退位表明と東日本大震災
 5 行幸啓の政治的意味

第4章 ポスト平成の行方――未来編

あとがき

 巻末表1 皇太子夫妻の主な国内行啓一覧
 巻末表2 皇太子夫妻の昭和期の行啓
 巻末表3 お立ち台一覧(一九六一 ― 七七年)
 巻末表4 主な懇談会一覧(一九六二 ― 七七年)
 巻末表5 天皇・皇后の平成期の行幸
 巻末地図 昭和期の行啓と平成期の行幸