市田良彦著『フーコーの〈哲学〉-真理の政治史へ』(2023)

 

ミシェル・フーコーとは何者なのか。常に変化した思想家の変わらぬ核心には、真理をめぐる〈哲学〉が存在した。「私は哲学者ではない」と語ったフーコー自身の言葉に抗いながら「言語」「存在(論)」「歴史」というフーコーの重要概念を読み解いていく本書は、異色のフーコー論にして、現代思想の到達点である。

 はじめに

第1部 言 語

 第1章 〈知の考古学〉
  1 考古学という方法
  2 言説の理論あるいは「社会形成体」と「言説形成体」
  3 言表なるもの
  4 〈知の考古学〉における「真理」
 第2章 ソフィストとパレーシアスト──古代の真理ゲーム
  1 「真のなかにいる」と「真理のなかにいる」──アリストテレスを読むフーコー
  2 ソフィストと最初の「ソフィスト
  3 オイディプスの「半分ゲーム」
  4 イオンの「半分ゲーム」

第2部 存 在

 第3章 フィクション、真理、主体
  1 パレーシアから〈奇怪な存在論〉としての文学へ──「ニーチェ講義」を経由して
  2 フィクションである言語、非存在である存在──「距たり・アスペクト・起源」
  3 フィクション、寓話、経験、真理──「寓話の背後」
  4 主体とその真理──「外の思考」(1)
  5 バンヴェニストの影──「外の思考」(2)
  6 一九六七年の合流
 第4章 歴史の分割と「存在関数」
  1 哲学のはじまり──イポリットの影
  2 ニーチェと系譜学の概念
  3 言表と言説、再び

第3部 真理─政治─歴史

 第5章 一九七〇年代の「転換」
  1 真理と誤謬と規範──カンギレムの影
  2 「真理の政治学」──デュメジルの影
  3 人間学から「生物」学へ、あるいは白痴の「放下」
  4 〈性の歴史〉と〈統治性の歴史〉
  5 中間地帯〈かつet〉で起きること
  6 真理ゲーム──デュメジルとともに

 注
 あとがき
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