西原麻里「現代の男性アイドル像と〈恋愛〉/〈絆〉の様相―雑誌分析を通じて」日本マス・コミュニケーション学会, 2014年度春季研究発表会・研究発表論文

pdf

本発表では、雑誌『Myojo』の内容分析をもとに、男性アイドルと女性読者の異性愛関係 =〈恋愛〉と男性アイドル同士の関係=〈絆〉の言説について考察する。数量的分析の結果、異性愛に関する言説よりも男性同士の強い友情が頻出し、同性同士の“恋愛”とも読み取り可能な言説 も一定数以上あることを明らかにした。『Myojo』では、男性アイドルたちは理想的かつ完璧な “王子さま”ではなく、嫉妬や悩みも曝け出すような生々しさをともなった姿で構築される。そしてかならずしも従来の男性=主体/女性=客体の異性愛規範の図式に則るだけでなく、むしろ女性が主体的に男性同士のあり様をまなざす空間が構築されている。以上の考察から、女性向けポピュ ラーカルチャーにおける、異性愛規範やジェンダー規範を撹乱させる可能性を指摘する。