「われわれのチームは、何千何万というソーシャルメディア・ユーザーの複数年にわたる行動を記述した億単位のデータポイントを収集してきた。自動化されたアカウントを使って新実験を行ったり、外国による誤情報キャンペーンが与える影響について先駆けとなる調査を実施したりしてきた」「その真実とは、ソーシャルメディアにおける政治的部族主義の根本原因が私たち自身の心の奥底にあることだ。社会的孤立が進む時代において、ソーシャルメディアは私たちが自身を——そして互いを——理解するために使う最重要ツールのひとつになってきた。私たちがソーシャルメディアにやみつきなのは、人間に生得的な行動、すなわち、さまざまなバージョンの自己を呈示しては、他人がどう思うかをうかがい、それに応じてアイデンティティーを手直しするという行動を手助けしてくれるからである。ソーシャルメディアは、各自のアイデンティティーを屈折させるプリズムなのだ——それによって私たちは、互いについて、そして自分についての理解をゆがめられてしまう」(本文より)計算社会科学Computational Social Scienceの最先端を走る研究者が、政治的分極化への処方箋を提示する。
1 エコーチェンバーの伝説
エコーチェンバーについてのエコーチェンバー
分極化に向ける新たなレンズ2 エコーチェンバーを壊したらどうなのか?
エコーチェンバーを壊す
悪いボット、良いボット
謎の解明3 実際に壊すとどうなるか?
群れることを習うパティー
ジャネット
正しいことはいい気分
ハードリセット4 ソーシャルメディア・プリズム
大して合理的ではない大衆
ソーシャルメディアとステータス追求
プリズムの威力5 プリズムが過激主義をあおる仕組み
孤独な荒らしたち
あなたの知らない荒らし
過激主義というカルト
プリズムから映し出される過激主義6 プリズムは穏健派を“ミュート”する
穏健な大多数
過激主義者との遭遇
失うものが多すぎる穏健派
穏健派の抱く絶望感
穏健派の不在7 アカウントを削除すべきか?
離れられない理由
プラットフォームが独力では私たちを救えないわけ
私たち次第8 プリズムをハックする
認識のずれを狭める
プリズムを見て取る
プリズムを通して自分を見る
プリズムを壊す9 より良いソーシャルメディア
コロナ時代のソーシャルメディア
新手のプラットフォーム
目的を定めたプラットフォーム付録 調査手法
ボットを使った量的な実験
ボットを使った質的な実験
シミュレーションされたソーシャルメディア・プラットフォーム実験謝辞
索引/原注/参考文献