青山拓央著『時間と自由意志-自由は存在するか』(2016)

 

これまで自由意志/決定論の対立として論じられてきた難問を、自由とは何かという議論からいったん離れ、「分岐問題」の枠組みのもとで考察しなおす。従来の哲学が依拠してきた対立図式を根底から揺さぶり、自由をめぐる議論に新たな境地をひらく圧倒的論考。

第一章 分岐問題
1 導入
2 問題の構造
3 準備的応答
4 作用と決定
5 多世界説
6 単線的決定論
7 現実主義と可能主義
8 解決
第二章 自由意志
1 概観
2 意志と主体
3 何かからの自由
4 分岐図の外へ
5 両立的自由
6 両立的責任
7 偶然の自由
8 それぞれの値段
第三章 実現可能性
1 時間と様相
スコトゥスアリストテレス
3 論理的可能性
4 タイプからトークンへ
5 現実と可能性の紐帯
6 言語的弁別
7 過去可能性
8 補遺
第四章 無自由世界
他我問題の反転
2 ストローソンとデネット
3 二人称の自由
4 なぜ道徳的であるべきか
5 擬人化される脳
6 フランクファート・ケース再考
7 自由とは何だったか
8 悟りと欺き
補論
1 時制的変化は定義可能か
2 無知の発見
3 叱責における様相と時間
4 指示の因果説と起源の本質説