人文主義の根幹にある近代・西洋・白人・男性的な人間像に異議を突きつけ、新しい人文学(ヒューマニティーズ)のかたちを描き出す。自己・種・死・理論の先にある新たな生のための、ポストヒューマン理論入門の決定版、新時代の人間論。
序
第一章 ポスト人文主義──自己を越える生
反ヒューマニズム
人間の死、女性の脱構築
ポスト世俗的転回
ポストヒューマンの課題
批判的ポストヒューマニズム第二章 ポスト人間中心主義──種を越える生
地球警報
動物への生成変化としてのポストヒューマン
代償的ヒューマニズム
地球への生成変化としてのポストヒューマン
機械への生成変化としてのポストヒューマン
非〈一〉の原理としての差異
結論第三章 非人間的なもの──死を越える生
いくつかの死にかた
生政治を超えて
法医学的社会理論
現代の死‐政治について
死をめぐるポストヒューマン理論
ある主体の死
知覚不可能なものへの生成変化
結論──ポストヒューマンの倫理について第四章 ポストヒューマン人文学───理論を越える生
不調和の制度的パターン
二一世紀の人文学
ポストヒューマン的批判理論
人文学の「適切」な主題は「人間」ではない
グローバルな「マルチ」ヴァーシティ結論
ポストヒューマンな主体性
ポストヒューマンの倫理
アファーマティヴな政治
ポストヒューマン的な、あまりにも人間的な
287「ポストヒューマンなノマド的主体は唯物論的かつ生気論的であり、身体をもち状況に埋め込まれている。それは、本書を通じて強調してきた「場所[=位置]の政治学」がもつ徹底した内在性にしたがって、どこかに確固として場所をもっているのである。そのような主体は多面的で関係を織りなす主体であり、スピノザ、ドゥルーズとガタリ、それに加えてフェミニズム理論とポスト植民地主義理論というレンズを通した一元論的存在論の内部において概念化されている。この主体は関係を織りなす生気性と単一要素に内在する複雑性によって現勢化されており、そうしたものがポストヒューマン的思考そのものを標づけているのである」