阿部謹也著『刑吏の社会史ー中世ヨーロッパの庶民生活』(1978)

刑吏の社会史―中世ヨーロッパの庶民生活 (中公新書 (518))

刑吏の社会史―中世ヨーロッパの庶民生活 (中公新書 (518))

かつて神聖な儀式であった「処刑」は、十二、三世紀を境にして、“名誉をもたない”賤民の仕事に変っていく。職業としての刑吏が出現し、彼らは民衆から蔑視され、日常生活においても厳しい差別を受けることになる。その賤視・差別の根源はなにか。都市の成立とツンフトの結成、それにともなう新しい人間関係の展開の中で、刑罰の変化を追究し、もう一つの中世世界像構築を目指して、庶民生活と意識に肉迫する意欲的試みである。

第一章 中世社会の光と影
第二章 刑罰なき時代
第三章 都市の成立
第四章 中・近世都市の処刑と刑吏