ジル・ドゥルーズ著『ニーチェ』(1965=1985,1998)メモ

ニーチェ (ちくま学芸文庫)

ニーチェ (ちくま学芸文庫)

力の本質とは、他の諸力との関係、差異である。つまり力は、つねに内的な差異化を含み、自己同一性をかわして生成している。ニーチェの語る「“力”への意志」は、主体が“力”を欲していることではない。ディオニュソス、シャラトゥストラの形象が示唆するとおり、“力”がより強くなるように、主体の定位が破れるまでに他との関係、差異化、多数化、純粋な生成を肯定することである。「永遠回帰」とは同一なものの再来ではない。純粋に生成するものはたえず自己同一性を欠くからこそ、多様に変容しつつ、回帰してやまない。ポスト構造主義の尖鋭なニーチェ像を提出した、画期的小論。

目次
 生涯
 哲学
 ニーチェ的世界の主要登場人物辞典
 ニーチェ選集