- 作者: 吉見俊哉
- 出版社/メーカー: せりか書房
- 発売日: 2000/04
- メディア: 単行本
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既存のマス・コミュニケーション研究やメディア論のパラダイムを内側から喰い破っていく試みとして、ここにメディア・スタディーズを構想。文学的なメディアや映画、ポピュラー音楽などがこの構想の射程に含まれるのはいうまでもないが、同時にテレビや新聞、雑誌、広告、マンガなどがメディア・スタディーズにとって中核的な探究のフィールドとして焦点化されなければならない。マクルーハン風にいうならば、概して「冷たい」メディアに属するこれらは日常生活と切れ目なくつながっており、テクスト論的なアプローチには限界がある。メディアを作者の意図や意味が結晶化されている媒体としてではなく、その前にたむろし、往来する散漫なまなざしが作用していく集合的な身体力学の場として捉え直していかなければならないのである。
序章 メディア・スタディーズのために 吉見 俊哉
メディアの氾濫、メディア研究の貧困
メディアの存在する地平
メディアを語る言説
オーディエンスのいる場所
メディア空間の史層
カルチュラル・スタディーズとメディアへの問いⅠ メディアの存在する地平
経験としての文化 言語としての文化‐初期カルチュラル・スタディーズにおける「メディア」の位相 吉見 俊哉
一 「問題」としての文化
ニ 『コミュニケーションズ』から『テレビジョン』へ
三 文化唯物論とヘゲモニーの実践
四 テクスト消費と文化の多声性
五 経験としての文化 言語としての文化
引用・参考文献生産手段としてのコミュニケーション手段 レイモンド・ウィリアムズ/小野 俊彦訳
三つのイデオロギー的障害
「コミュニケーション的生産」の歴史に向けて
「直接的」コミュニケーション・「非直接的」コミュニケーション
解題
カルチュラル・スタディーズのメディア論
ウィリアムズの唯物論的メディア論
参考文献テレビジョン、存在論、移行対象 ロジャー・シルバーバストーン/土橋 臣吾・伊藤 守訳
テレビジョンと存在論的安全
テレビジョン、潜在空間、そして移行対象
文化的空間一般、そして特にテレビジョン
ルーチーン、儀礼、伝統、神話
参考文献
解題(伊藤 守)ヴァルター・ベンヤミン――反メディア論的省察‐「メディア」論の文体をめぐって 北田 暁大
課題=使命/メディア論者(?)ベンヤミン
1 媒体とは何か、何を媒介するのか/媒介としての言語
2 <メディア論>と解釈学/近代の欲望
3 捩れた<メディア論>/人間学的唯物論
4 跳躍/社会学的想像力
注
参考文献Ⅱ メディアを語る言説
メディア・スタディーズにおける「階級」概念の再構築 伊藤 守
なぜ、「階級」なのか
1 階級、人種、スタイルの政治学
2 言説権力による主体の審問
3 言説の接合理論
4 「労働」から「消費」へ、「階級」から「民間」へ
5 内部分化した階級の言説編制と「保証なき主体」の政治学
引用・参考文献メディア文化研究におけるジェンダー‐あるいはジャンル研究の含意 石田 佐恵子
1 メディアとジェンダーをめぐる研究の焦点
2 メディアとジェンダーをめぐる研究の困難
3 メディアとジェンダーを社会的脈絡に位置づける
4 ジャンル研究の含意
5 知識の生産と流通――ジェンダー研究とメディア研究
注
参考文献マンガを語ることの「現在」 瓜生 吉則
1 はじめに――<マンガ表現論>の「失敗」をめぐって
2 「マンガ表現」の位相差――石子順造と<表現論>のあいだ
3 マンガをマンガたらしめる<わたし>――「マンガ読者」の繰り込み
4 最後に――マンガの「メディア体験」へ あるいは、マンガを<語る>とは何事か
注
参考文献フィルム・ノワール/ディスクール・ノワール‐国民映画と芸術性 一九三八〜一九四九年 中村 秀之
「フィルム・ノワール」とその不満
パリの暗い夏――一九四六年
純粋にして暗黒の――一九三八〜一九三九年
ある言説の誕生――一九四八〜一九四九年
注
参考文献Ⅲ オーディエンスのいる場所
テレビジョン、オーディエンス、カルチュラル・スタディーズ デビッド・モーレー/成実 弘至訳
1 書名の意味するところ
2 いくつかの出発点
「大衆〔ポピュラー〕」の意味 3 回顧――「『ネーションワイド』・オーディエンス」再考
方法論についての論争
戦略的本質主義と方法論的個人主義
4 オーディエンス研究、その現在と未来
「新しいオーディエンス研究」
「新修正主義」とその批判
「記号論的民主主義」にむかって?
肯定的あるいは「贖罪的」読解
同一化、差異、分析者の位置
一般のオーディエンスと分化批判
多意味性とその読解
エスノグラフィー研究の政治学
引用・参考文献
解題
デビッド・モーレーの仕事について
ふたつの批判経験的オーディエンス研究の政治性について イエン・アング/山口 誠訳
オーディエンス不在のメディア研究
学問的収斂?
方法論を超えて注
解題広告を文化研究するということ 難波 功士
はじめに
1 広告への構築主義的アプローチ
2 受け手へのエスノグラフィック・アプローチ
①娯楽・鑑賞・批評としての広告
②広告のインターテクスチュアリティとそれへのリテラシィ
③受け手による広告の補完・再構成
④共用の話題としての広告
3 「広告」を問い返すこと
おわりに
注
引用・参考文献反転する抵抗‐メディア・スタディーズがなぜ必要か 毛利 嘉孝
1
2
3
注
参考文献Ⅳ メディア=空間の史層
家庭の理想型と家族の娯楽‐ヴィクトリア朝時代から放送の時代まで リン・スピーゲル/山口 誠訳
家庭的なるものへの熱狂と、幾つかの家庭娯楽の理想たち
近代性、テクノロジー、そして快適な生活
家庭に放送がやってきた
テレビの「ビジョン」
注
解題初期映画/後期映画‐公共圏のトランスフォーメーション ミリアム・ハンセン/瓜生 吉則・北田 暁大訳
七〇年代的観客理論からの脱却
プレ古典映画とポスト古典映画の共鳴(?)
せめぎあう公共圏 ネクトとクルーゲ
公共圏としての映画
初期映画・後期映画――古典映画を超えて
注
解題(北田暁大)
1 映画史の相対化
2 複製技術時代の公共圏都市とメディアの交わる場所‐都市論のトポス、メディア論のトポス 若林 幹夫
1 都市はどのようなメディアなのか
2 トラジェクティヴ/テレオブジェクティヴ
3 都市とメディアの交わる場所
注
吉見論文
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ハンセン論文
トム・ガニング「驚きの美学ー初期映画と軽々しく信じ込む(ことのない)観客」
ノエル・バーチ「ポーター、あるいは両義性」
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アレクサンダー・クルーゲ