田島悠来編『アイドル・スタディーズ -研究のための視点、問い、方法』(2022)

 

これまでの研究動向を整理しつつ、最新の研究事例や実践を紹介することで、アカデミックな領域でアイドル研究を行うことの意義と可能性を示す。アイドル研究/ファン研究に関心をもつ人すべてに、文化現象から社会を問いなおすための視点と問いの立て方、方法を提供。

序章 アイドル・スタディーズへの招待[田島悠来]

第Ⅰ部 アイドル研究の展開

第1章 「アイドル」はどのように論じられてきたのか[田島悠来]
 コラム1 「アイドル」の見方とその研究方法[田島悠来]
第2章 アイドルは労働者なのか――「好きなこと」を「やらせてもらっている」という語りから問う[上岡磨奈]
第3章 アイドルが見せる「夢」――アイドルの感情労働[石井純哉]
 コラム2 自分の環境をもとに研究活動をデザインすること[石井純哉]

第Ⅱ部 アイドルのジェンダーセクシュアリティ

第4章 異性愛規範と「恋愛禁止」はいかに問い直されるか[香月孝史]
 コラム3 アイドルに投影されるもの[香月孝史]
第5章 性を装うアイドル――演じる/演じない手段として[上岡磨奈]
第6章 アイドル楽曲の鑑賞と日常美学――自己啓発という観点から[青田麻未]
 コラム4 芸術と日常のあいだで[青田麻未]

第Ⅲ部 ファン研究の射程

第7章 語る方法としてのアイドル関連同人誌[関根禎嘉]
第8章 アイドル文化におけるチェキ論――関係性を写し出すメディアとして[上岡磨奈]
 コラム5 新型コロナウイルスとアイドル産業[上岡磨奈]
第9章 ファンの「心の管理」――ジャニーズJr.ファンの実践にみるファンの「感情管理/感情労働」[大尾侑子]
第10章 台湾ジャニーズファンへのまなざし――「日本時間」の文化実践とファン・アイデンティティ[陳怡禎]

第Ⅳ部 アイドル研究領域の拡大

第11章 日本文化としてのアイドル――インドネシアの動向を事例に[上岡磨奈]
 コラム6 JKT48を好きになってみた[上岡磨奈]
第12章 「異なる文化圏のアイドル」はいかに評価されるか――日韓合同K-POPオーディション番組『PRODUCE 48』を事例として[松本友也]
 コラム7 声優とアイドル[中村香住]
第13章 台湾社会運動の場における「アイドル」文化現象[陳怡禎]
 コラム8 アイドル・アーカイブ試論――アイドル・オントロジー構築に向けて[関根禎嘉]

 あとがき[田島悠来]
 執筆者紹介

池田太臣「共同体、個人そしてプロデュセイジ : 英語圏におけるファン研究の動向について」『甲南女子大学研究紀要. 人間科学編』2013, 49号, p.107-119. 既読

池田『「女子」の時代!』既読

ジェンキンズ, ヘンリー『コンバージェンス・カルチャーーファンとメディアがつくる参加型文化』

カキン オクサナ「「未熟さ」を磨き、愛でる ―ファン行動に見るアイドル育成の文化的側面―」『人間文化創成科学論叢』人間文化創成科学論叢 21 223-230, 2019

南「〈サヴァイヴ系〉と〈空気系〉の狭間で : AKB48そして乃木坂46」國立臺中科技大學語文學院 編 5 25-42, 2017-06

難波「アイドルを声援することの系譜学」『応援の人類学』

大尾「ファンの愛情か、音楽チャートの撹乱か? ── K-POPアイドルファンの「スミン」行為にみる “越境する”協働」『アジア文化』39: 95-106【リンク

田中「ライブアイドル,共同体,ファン文化―アイドルの労働とファン・コミュニティ」田中編『出来事から学ぶカルチュラル・スタディーズ

上岡「アイドル文化における「チェキ」 : 撮影による関係性の強化と可視化」『哲學』 147 135-159, 2021-03【リンク

七瀬『<推し>が最高に尊くなる ツーショットチェキポーズ』