戸田山和久著『知識の哲学』(2002)

 

これまでの知識の哲学を解体し、自然現象としての知識を捉える新たな認識論のパラダイムを構築する、ユニークな教科書。

第1部 知識の哲学が生まれる現場1(なにが知識の哲学の課題だったのか;知識に基礎づけが必要だと思いたくなるわけ;基礎づけ主義から外在主義へ;知っているかどうかということは心の中だけで決まることなのだろうか)
第2部 知識の哲学が生まれる現場2(「疑い」の水増し装置としての哲学的懐疑論懐疑論への間違った対応;懐疑論をやっつける正しいやり方)
第3部 知識の哲学をつくり直す(認識論の自然化に至る道;認識論を自然化することの意義と問題点;認識論にさよなら?;知識はどこにあるのか?知識の社会性;認識論をつくり直す)

 

ジュディス・バトラー,エルネスト・ラクラウ,スラヴォイ・ジジェク著,竹村和子,村山敏勝訳『偶発性・ヘゲモニー・普遍性-新しい対抗政治への対話』(2000=2002→2019)

 

新しい民主主義のための政治理論をいかに創造するか。フェミニズムクィア理論のバトラー、ポスト・マルクス主義ラクラウ、ラカンマルクス主義の代表ジジェクが一堂に会し、グラムシの「ヘゲモニー」概念を軸に、ラカンヘーゲル、普遍主義と文化多元主義、代表/表象問題、経済のグローバル化など、現代まで通底する課題をめぐって激しく論争する。
解説=山本圭

序文
問題提起

普遍なるものの再演 形式主義の限界とヘゲモニー
ジュディス・バトラー
アイデンティティヘゲモニー
エルネスト・ラクラウ1
階級闘争か、ポストモダニズムか? ええ、いただきます!
スラヴォイ・ジジェク
 *
競合する複数の普遍
ジュディス・バトラー
構造、歴史、政治
エルネスト・ラクラウ2
以下くり返し(ダカーポ・センツェ・フィーネ)
スラヴォイ・ジジェク
 *
ダイナミックな複数の結論
ジュディス・バトラー
普遍性の構築
エルネスト・ラクラウ3
場を保つ
スラヴォイ・ジジェク

訳者あとがき
解説
邦訳文献

 

藤沢数希著『ぼくは愛を証明しようと思う。』(2015→2018)

 

「恋愛なんて、ただの確率のゲーム。正しい方法論があるんだ」。恋人に捨てられ、気になる女性には見向きもされない二十七歳の弁理士渡辺正樹は、クライアントの永沢にそう告げられる。出会いのトライアスロン、会話のルーティン、セックスへのACSモデル。テクニックを学び非モテから脱した渡辺だが――。恋に不器用な男女を救う戦略的恋愛小説。

 

甘利俊一著『脳・心・人工知能-数理で脳を解き明かす』(2016)

 

数理で「脳」と「心」がここまでわかった!囲碁や将棋で、AIが人間に勝利を遂げた。2045年人工知能が人間の能力を超える「シンギュラリティ」は、本当に訪れるのか?数学の理論で脳の仕組みを解き明かせれば、ロボットが心を持つことも可能になるのだろうか?AI研究の基礎となった「数理脳科学」の第一人者が語る、不思議で魅惑的な脳の世界。


数理で「脳」と「心」がここまでわかった!

囲碁や将棋で、AIが人間に勝利を遂げた。
2045年人工知能が人間の能力を超える「シンギュラリティ」は、本当に訪れるのか?
数学の理論で脳の仕組みを解き明かせれば、ロボットが心を持つことも可能になるのだろうか?
AI研究の基礎となった「数理脳科学」の第一人者が語る、不思議で魅惑的な脳の世界。

第1章 脳を宇宙誌からみよう
まずは脳がいつどのように誕生したかをみていこう。その起源をたどるには、宇宙のはじまりを知らなくてはならない。生命が脳を持ち、人に「心」が宿ったのはなぜなのだろう。

第2章 脳とはなんだろう
私たちの脳には1000 億もの神経細胞が詰まっていて、それが思考を担い、心を司っている。そもそも脳とは、どのような器官なのだろうか。最新研究で明らかになってきた脳のメカニズムを紹介しよう。

第3章 「理論」で脳はどう考えられてきたのか
現在ブームとなっている人工知能は、脳にヒントを得て1950 年代に提唱された理論モデルから誕生した。「理論」で脳の仕組みを考えるとは、どういうことなのか。その歴史をたどってみよう。

第4章 数理で脳を紐解く(1):神経興奮の力学と情報処理のしくみ
数学の理論を使って脳の仕組みを考えるのが「数理脳科学」である。本当にそんなことができるのか、数理の世界を披露したい。神経回路はどのように興奮し、記憶はどうやって蓄えられるのだろうか?

第5章 数理で脳を紐解く(2):「神経学習」の理論とは
数理の視点から、脳がどのように学習するのかを考えてみよう。これは、最近注目を集めている人工知能の「ディープラーニング」の基礎になっている理論である。

第6章 人工知能の歴史とこれから
技術がさらに発展すれば、人工知能が人間を超える「シンギュラリティ」が本当にやってくるのではと騒がれている。その歴史を振り返り、未来を考えてみたい。

第7章 心に迫ろう
これまでみてきたように、脳の仕組みが次第に明らかになってきている。だが、脳科学の最終的な目標は「心」を知ることである。それが叶えば、心を持つ人工知能が誕生する日も訪れるのだろうか?

 

瀬尾まいこ著『そして、バトンは渡された』(2018→2020)

 

森宮優子、十七歳。継父継母が変われば名字も変わる。だけどいつでも両親を愛し、愛されていた。この著者にしか描けない優しい物語。 「私には父親が三人、母親が二人いる。 家族の形態は、十七年間で七回も変わった。 でも、全然不幸ではないのだ。」 身近な人が愛おしくなる、著者会心の感動作

 

ガイ・ドイッチャー著,椋田直子訳『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』(2010=2012→2022)

 

<言語が変われば、見る空の色も変わる>
古代ギリシャの色彩から、未開社会のひとびとの空間感覚、
母語が知覚に影響する脳の仕組みまでーー
言語が世界観を変える、鮮やかな実証。

年間ベストブック、多数受賞!

プロローグ 言語と文化、思考

●Part(1)言語は鏡
◎第1章 虹の名前
 >>ホメロスの描く空が青くないわけ
・「葡萄酒色の海」のミステリー
古代ギリシャ人は色弱だったのか

◎第2章 真っ赤なニシンを追いかけて
  >>自然と文化の戦い
・色感は進化する?
・キリンの首
・心の目

◎第3章 異境に住む未開の人々
  >>未開社会の色の認知からわかること
・色の違いと色の名前
・人類学のガリレオ
・三つの思考実験

◎第4章 われらの事どもをわれらよりまえに語った者
 >>なぜ「黒・白、赤…」の順に色名が生まれるのか
・驚くべき発見
・制約のなかでの自由
・色彩を超えて

◎第5章 プラトンマケドニアの豚飼い
 >>単純な社会ほど複雑な語構造を持つ
・文明の進んだ言語のほうが複雑か
・小さな社会のほうが複雑な語構造を持つ
・大きな社会ほど新しい音素が出現しやすい

●Part(2)言語はレンズ
◎第6章 ウォーフからヤーコブソン
 >>言語の限界は世界の限界か
・言語相対論
フンボルト、登場
・「落ちる」という動詞のない世界
・ホピ族の時間感覚

◎第7章 日が東から昇らないところ
 >>前後左右ではなく東西南北で伝えるひとびとの心
・カンガルーとグーグ・イミディル語
・鼻を南に向けて泣く
・海側の頬にパン屑
・絶対方位感覚

◎第8章 女性名詞の「スプーン」は女らしい?
 >>言語の性別は思考にどう影響するか
・「ウーマン」は男性? 「飛行機」は植物?
・男性名詞・女性名詞の影響を確かめる実験
・言語の性別、その豊穣な世界

◎第9章 ロシア語の青
 >>言語が変われば、見る空の色も変わるわけ
・日本のアオ信号
・脳を覗いてみる

エピローグ われらが無知を許したまえ

 

筒井淳也著『社会を知るためには』(2020)

 

「社会」という言葉は、様々な形で使われていて、普段は存在を意識しないが、その実態はとてもあいまいだ。では、どのようにすれば「社会」を理解できるのか?複雑化、副作用、絡み合う因果関係など、その特徴をつかむ。

第1章 「わからない世界」にどう向き合うか
第2章 専門知はこうしてつくられる
第3章 変化する社会をどう理解するか
第4章 なぜ社会は複雑になったのか
第5章 変化のつかまえ方
第6章 不安定な世界との付き合い方

59 筒井, 前田『社会学入門』

72 戸田山『知識の哲学』

133 飯田『ゼロから学ぶ経済政策』

174 浜田『その問題、数理モデルが解決します』

204 ロドリック『グローバリゼーション・パラドクス』読了