小倉孝保著『ロレンスになれなかった男-空手でアラブを制した岡本秀樹の生涯』(2020)

 

映画「アラビアのロレンス」に憧れ1970年、シリアに向かった岡本秀樹。空手の稽古を通じて、アラブ民族に自立への誇りと現地の活気をもたらしていく。稽古を通じ築いた政官中枢との人脈を生かしエジプト、イラクでビジネスに挑むが、国際情勢に翻弄され計画は暗礁に乗り上げる。すべてを失った男が、たどり着いた場所とは―。日本の外務省に徹底的に嫌われながら、灼熱の地でアラブ民族に“自立の精神”を刻んだ男―構想18年、国際ジャーナリストが満を持して贈る!

序章 「オカモト」が生まれた日
第1章 取材ビザを求めて(イラク前編)
第2章 空手との出会い(日本編)
第3章 中東の空手家(シリア・レバノン編)
第4章 闇商売に堕ちる(エジプト編)
第5章 最後の賭け(イラク後編)
終章 岡本が遺したもの

 

ニコラ・ブリオー著,武田宙也訳『ラディカント-グローバリゼーションの美学に向けて』(2009=2022)

 

イメージやモノが氾濫し、群島化した世界にふさわしい「オルターモダニティ」とは?
翻訳の思考を通して現代の美術批評を素描する。

今日の旅する人(ホモ・ウィアートル)としてのアーティストたち──
時空間のなかを浮遊しながら根を伸ばし張りなおしていくような、その「ラディカント」的実践の分析から、文化や想像力の標準化に抗するしなやかな美学が浮かびあがる。

「関係性の美学」を提唱したキュレーター、ニコラ・ブリオーの著書、待望の初邦訳!

グローバル化され「大きな物語」「歴史」を失って久しい現代、さまざまな形態、イメージ、モノ、言説が氾濫し、差異が重要性をもつ世界を読み解くのにふさわしい美学とはどのようなものだろうか?
ブリオーは、起源としての唯一の「根」を讃えた「ラディカル」なモダニズムとも、多文化主義的なポストモダンや多様で同時的な組織網たるリゾーム(地下茎)とも異なる、前進するにつれて根を伸ばし張りなおしていく「ラディカント(radicant)」的あり方を備えたモダニティ=オルターモダンという視座を提示する。

そこで重要なのは、翻訳の身振りであり、イメージを他のコードに変換し、みずからの根を異質なフォーマットに移植することである。
アーティストたちは他の時代や場所の素材を使用・転用し、記号航海士として放浪しながら現代の文化的風景の中に道筋をつくりだしていく。

1998年、『関係性の美学(原題:Esthétique relationnelle)』で美術の新たなパラダイムを切り拓いたブリオーが、21世紀の今日的状況を考察するため、旅人としてのアーティストたちの実践を通して新しい時代のしなやかな美学を描き出した、文化や想像力の標準化に抗するための挑戦的一冊。

まえがき

序論

第一部 オルターモダニティ
1 根――ポストモダン理性批判
2 ラディカルとラディカント
3 ヴィクトル・セガレンと二一世紀のクレオール

第二部 ラディカントの美学
1 美学的不安定性と放浪する形態
2 形態=行程
3 移転

第三部 航海論
1 文化的な雨のなか(ルイ・アルチュセールマルセル・デュシャン、芸術的形態の使用)
2 芸術的集産主義(コレクティヴィズム)と道筋の生産

ポスト・ポスト、あるいはオルターモダンの時代

 

バイロン・シャープ著, 前原謙二訳『ブランディングの科学 -誰も知らないマーケティングの法則11』(2010=2018)

 

コトラー理論など従来のセオリーを覆す11のマーケティングの法則を紹介。消費者の客観的な購買記録データをエビデンスとし、マーケティングの「常識だった理論」と「現実」の乖離を解説する。

序章/エビデンスに基づいたマーケティング/ブランドはどのように成長するか/顧客基盤を拡大させる/ブランドにとって最も重要な顧客を探す/顧客のパーソナリティプロファイルを知る/真の競合ブランドを探す/消費者のコミットメントを知る/差別化か、それとも独自性か/広告の機能/価格販促の役割/ロイヤルティプログラムが失敗する理由/メンタル・アベイラビリティとフィジカル・アベイラビリティ/究極の世界

 

クリストファー・ケンワーシー著、吉田俊太郎訳『マスターショット100 -低予算映画を大作に変える撮影術』(2009=2011)

 

映像制作における様々なプロセスのうち、最も現場での「即断力」が求められるのがカメラワーク。本書では、実際の映画シーンをサンプルとしながら、100通りものショットの方法や効果を伝授します。
掲載された魅力的なショットを会得することで、どんなに切迫した現場でも創造性のある撮影展開が可能です。低予算映画の監督からプロのカメラマンまで、映像で物語表現を生み出す全ての人への戦力となるでしょう。

Chapter1 FIGHT SCENES 格闘する
アクションを望遠レンズでとらえる/ロングレンズ・スタント
決定的なパンチ/スピード・パンチ
モーションを合わせる/マッチング・モーション
殴り倒す/ノックダウン
当たる瞬間に切り替える/カッティング・フォー・インパク
地を這う格闘/ダウン・オン・ザ・フロア
暴力的行為を画面には映さない/オフスクリーン・バイオレンス
敗北の瞬間/モーメント・オブ・ディフィート

 

Chapter2 CHASE SCENES 追跡する/逃走する
カメラが伴走して被写体を追う/トラベル・ウィズ・サブジェクト
望遠レンズでパンする/ロングレンズ・パン
狭い空間を通過する/パッシング・スルー・タイト・スペース
広い空間での逃走/スルー・オープンスペース
逃走中のサプライズ/サプライズ・アロング・ザ・ウェイ
見えざる追撃者/アンシーン・アタッカー
迫りくる追撃者/クロージング・アタッカー
ありえないようなスピード・アップ/アンフェア・スピード・ゲイン
もう少しで逃げおおせそうな場面/オルモースト・ゼア
足元で躍動感を出す/フットワーク

Chapter3 ENTRANCES & EXITS 登場する/退場する
登場人物のすり替わり/キャラクター・スイッチ
バックグラウンドがベールを脱ぐ/バックグラウンド・リビール
振り向く/ターン・イン
障壁の背後から登場する/オブジェクト・リヴェレーション
窓への「寄り」/ウィンドウ・プッシュ
同ショットで2シーンをつなげる/シーン・スワップ
パンをしながら移動して見送る/ペンドラム・パン
方向転換/ダイレクション・シフト

Chapter4 SUSPENSE, SEARCHING & CREEPING スリル/潜入/探査
ドリーでかすかなカメラ移動/サトル・ドリー
目に見えないもの/アンシーン
不安を隠さない動き/アンティシペイティング・モーション
なにもない空間への「寄り」/プッシュ・オン・ナッシング
空間を広げる/ワイドニング・スペース
2つのショットが一気に交錯する/トゥー・シングス・アット・ワンス
主人公とともに手がかりを探す/トレース・アンド・クルー
緊迫感を生む歩み/ステップ・トゥ・サスペンス
視覚的な危機/ビジュアル・デンジャー

Chapter5 DRAMATIC SHIFT ドラマティックな変化
急な「寄り」/フォーカス・イン
劇的瞬間/モーメント・オブ・ドラマ
パンをしながらのスライド移動/パン・アンド・スライド
背景を操作する/ワーキング・バックグラウンド
人物とすれ違う瞬間の反転/ピボット・オン・キャラクター
あらゆる方向へのリバース・ショット/リバース・オール・ダイレクション
ドリーで後退する/バックワーズ・ドリー
静止を強調する/アンダーライニング・スティルネス
同時モーション/シミュルテニアス・モーション

Chapter6 REVELATIONS & DISCOVERIES 新事実/新発見
鏡のドア/ミラー・ドア
カーテンが両側に開かれるように/セパレーティング
群衆の中のディテール/ディテール・イン・ザ・クラウド
影から現れる/アウト・オブ・シャドウ
カメラを引いて新事実を開示/プルアウト・リビール
平行での軌跡/パラレル・トラック
動き続ける/ムービング・オン
目線の変化/アイライン・チェインジ
視点をスライドさせる/アイ・スライド

Chapter7 SHOCK HORROR ショック/ホラー
テンションを高める/ビルディング・テンション
別方向に注目させてからのショック/ミスダイレクション・フォー・ショック
登場人物を恐くみせる/フィアリング・キャラクター
場所を恐ろしくみせる/フィアリング・プレイス
広い空間/ワイド・スペース
ビジュアルによる衝撃/ビジュアル・ショック
心変わり/チェインジ・オブ・マインド
隠れている攻撃者/シールディング・アタッカー
恐怖の窓/ウィンドウ・オブ・フィア

Chapter8 DIRECTING ATTENTION 注目を集める
物体を使って導く/オブジェクト・ガイド
交錯するモーション/ハンディング・オフ・モーション
カメラの方向転換/チェインジ・オブ・ダイレクション
反射/リフレクション
カメラが動きを止める地点/レスト・ポイント
色彩の効果/カラー・ガイド
反対方向からのアングル/リバース・アングル

Chapter9 CAR SCENES カーチェイス
フロントシートから撮る/フロントシート・シューティング
後部座席から撮る/バックシート・シューティング
車内での会話/カー・ダイアログ
駐車された車/パーキング・カー
車から出る/リービング・ザ・カー
車と並行して歩く人物/カー・ウォーク
窓越しの撮影/シューティング・スルー・ウィンドウ

Chapter10 DIALOGUE SCENES 会話する
会話シーンをドリーで寄りながら撮る/カンバセーション・ドリー
背景をずらす/オフセット・バックグラウンド
2人の人物を同一画面に収める/シェア・スクリーン
隣り合って並ぶ/サイド・バイ・サイド
それぞれの違う高さから人物をとらえる/ハイト・チェインジ
計算された視線/ステージド・グランス
鏡を通して見つめ合う/ミラー・トーク
感情の起伏に合わせたカメラ移動/ムーブ・ウィズ・ザ・ビート

Chapter11 ARGUMENTS & CONFLICT 口論する/対峙する
円を描くように回る/サークリング
カメラが演者に詰め寄る/アタッキング・カメラ
守勢にまわったカメラ/ディフェンシブ・カメラ
カメラに詰め寄る/ランジング・アット・カメラ
怒りの動作/モーション・イン・アンガー
身体で反発心を表す/ボディ・コンフリクト
肩越しに振り返る/バック・オーバー・ショルダー
演者が交差する動き/クリスクロッシング

Chapter12 LOVE & SEX SCENES キスシーン/ベッドシーン
視線を交わす/アイ・コンタクト
初キスの場面/ファースト・コンタクト
キスのアングル/キス・アングル
2人が倒れ込む/ゲッティング・ダウン
顔だけでセックスシーンを表現する/アウト・オブ・ボディ
計算された顔の角度で撮影する/フェイシング・アップ
肌が触れ合った瞬間/モーメント・オブ・コネクション
ディテールの世界を見せる/ワールド・オブ・ディテール

※各テクニックの実例として使われた映画作品
ファイト・クラブパンチドランク・ラブ13日の金曜日 PART2/マイノリティ・リポート完全犯罪クラブアメリグリーン・デスティニー/橋の上の娘/ブレードランナー/シャイニング/狼の時刻/ロスト・イン・トランスレーションふたりのベロニカスターリングラードエターナル・サンシャイン/ロマンスX/愛を弾く女/など…

 

小泉義之著『あたかも壊れた世界ー批評的、リアリズム的』(2019)

 

生や狂気の問題を真正面から見据え、既存の価値観にしばられない思想を展開している著者が、その態度で「作品」と向き合うとき、いったい何が見えるのか。現代を代表する哲学者による初の批評集。

はじめに

第Ⅰ部 身体的
第1章 不安のビオス、恐怖のゾーエー(楳図かずお
第2章 デッドエンド、デッドタイム――一九七八年以来の現代思想(ゾンビ)
第3章 人形使いに対する態度――公安九課バトーと中山正巡査(押井守イノセンス』)
第4章 サイボーグ時代の終焉――錬成陣の構築式を血肉化する生体(荒川弘鋼の錬金術師』)
第5章 No Sex, No Future――異性愛のバイオ化・クィア化を夢見ることについて(岩明均寄生獣』)

第Ⅱ部 精神的
第1章 奇妙な愛が、われわれを見放すときは決して来ないからには(王兵『収容病棟』)
第2章 夢でもし逢えたら、素敵なことね(古屋兎丸
第3章 心理の主体、皮膚の主体(クリストファー・ノーランメメント』)
第4章 ロバの鳴き声――デカルト的白痴からドストエフスキー的白痴へ(ドストエフスキー『白痴』)

第Ⅲ部 社会的
第1章 あたかも壊れた世界――犯人の逮捕と事件の逮捕(西尾維新きみとぼくの壊れた世界』)
第2章 おフランス現代思想ざんす――「真理の殉教者」としてのイヤミ(赤塚不二夫『おそ松くん』)
第3章 不幸を追求する権利(古谷実『ヒメアノ~ル』)
第4章 モグラとサルの闘争――古谷実の反ブルジョア精神(古谷実
第5章 ゲーム仕掛けの神――山本直樹『ビリーバーズ』を読む(山本直樹『ビリーバーズ』)

初出一覧

 

立山秀利著『入門者のPythonープログラムを作りながら基本を学ぶ』(2018)

 

Pythonは、AIの開発やデータ分析、統計など何かと話題の分野で必須のプログラミング言語です。本書では、3つのプログラムを作り、動かしながらPythonの基本からちょっとした応用を学びます。1つ1つの手順を丁寧に解説するので、書いてあるとおりにプログラムを作っていくだけで自然とPythonの使い方や特長をマスターできます。

1章 Pythonとは
2章 Pythonを学ぶ前の準備
3章 Pythonプログラミングはじめの一歩
4章 Pythonでファイルやフォルダーを操作する
5章 ファイルの更新日が名前のフォルダーを作成しよう
6章 条件によって実行する処理を使い分けよう
7章 「繰り返し」で複数のファイルに同じ処理を実行しよう
8章 変数を利用して、作成したフォルダー数を取得する
9章 ファイル名やファイル数に関係なく処理できるようにしよう
10章 機能は変えずにプログラムの完成度を高めよう
11章 PythonでWebページ上のデータをスクレイピングしてみよう
12章 CSVファイルのデータを分析してみよう

 

高橋麻奈著『やさしいPython』(2018)

 

Pythonの基礎から機械学習の基本まで、スラスラ読める解説でとことん丁寧に。経験がなくてもしっかり理解できます。

Lesson1 はじめの一歩
1.1 Pythonのプログラム
1.2 コードの入力と実行
1.3 レッスンのまとめ

Lesson2 Pythonの基本
2.1 コードの内容
2.2 文字列と数値
2.3 レッスンのまとめ

Lesson3 変数と式
3.1 変数
3.2 演算子の基本
3.3 演算子の種類
3.4 演算子の優先順位
3.5 キーボードからの入力
3.6 レッスンのまとめ

Lesson4 さまざまな処理
4.1 if文
4.2 if?elif?else
4.3 論理演算子
4.4 for文
4.5 while文
4.6 文のネスト
4.7 処理の流れの変更
4.8 レッスンのまとめ

Lesson5 リスト
5.1 コレクション
5.2 リストの基本
5.3 リストの操作
5.4 リストの注意
5.5 リストの連結とスライス
5.6 リスト要素の組み合わせと分解
5.7 リストの集計と並べ替え
5.8 多次元のリスト
5.9 レッスンのまとめ

Lesson6 コレクション
6.1 タプル
6.2 ディクショナリの基本
6.3 ディクショナリの操作
6.4 ディクショナリの高度な操作
6.5 セット
6.6 レッスンのまとめ

Lesson7 関数
7.1 関数
7.2 関数の定義と呼び出し
7.3 引数
7.4 戻り値
7.5 関数に関する高度なトピック
7.6 変数とスコープ
7.7 記憶寿命
7.8 レッスンのまとめ

Lesson8 クラス
8.1 クラスの基本
8.2 コンストラク
8.3 クラス変数・クラスメソッド
8.4 カプセル化
8.5 新しいクラス
8.6 クラスに関する高度なトピック
8.7 モジュール
8.8 モジュールの応用
8.9 標準ライブラリ
8.10 レッスンのまとめ

Lesson9 文字列と正規表現
9.1 文字列のチェックと操作
9.2 正規表現
9.3 レッスンのまとめ

Lesson10 ファイルと例外処理
10.1 テキストファイル
10.2 CSVファイル
10.3 JSONファイル
10.4 例外処理
10.5 システム処理
10.6 日付と時刻
10.7 レッスンのまとめ

Lesson11 データベースとネットワーク
11.1 データベース
11.2 データベースの利用
11.3 条件による検索
11.4 ネットワークの利用
11.5 レッスンのまとめ

Lesson12 機械学習の基礎
12.1 機械学習とは
12.2 統計指標
12.3 ヒストグラム
12.4 散布図
12.5 そのほかのグラフ
12.6 データの高度な取り扱い
12.7 レッスンのまとめ

Lesson13 機械学習の応用
13.1 機械学習の種類
13.2 線形回帰
13.3 クラスタリング
13.4 レッスンのまとめ

AppendixA 練習の解答
AppendixB Quick Reference