小泉義之著『あたかも壊れた世界ー批評的、リアリズム的』(2019)

 

生や狂気の問題を真正面から見据え、既存の価値観にしばられない思想を展開している著者が、その態度で「作品」と向き合うとき、いったい何が見えるのか。現代を代表する哲学者による初の批評集。

はじめに

第Ⅰ部 身体的
第1章 不安のビオス、恐怖のゾーエー(楳図かずお
第2章 デッドエンド、デッドタイム――一九七八年以来の現代思想(ゾンビ)
第3章 人形使いに対する態度――公安九課バトーと中山正巡査(押井守イノセンス』)
第4章 サイボーグ時代の終焉――錬成陣の構築式を血肉化する生体(荒川弘鋼の錬金術師』)
第5章 No Sex, No Future――異性愛のバイオ化・クィア化を夢見ることについて(岩明均寄生獣』)

第Ⅱ部 精神的
第1章 奇妙な愛が、われわれを見放すときは決して来ないからには(王兵『収容病棟』)
第2章 夢でもし逢えたら、素敵なことね(古屋兎丸
第3章 心理の主体、皮膚の主体(クリストファー・ノーランメメント』)
第4章 ロバの鳴き声――デカルト的白痴からドストエフスキー的白痴へ(ドストエフスキー『白痴』)

第Ⅲ部 社会的
第1章 あたかも壊れた世界――犯人の逮捕と事件の逮捕(西尾維新きみとぼくの壊れた世界』)
第2章 おフランス現代思想ざんす――「真理の殉教者」としてのイヤミ(赤塚不二夫『おそ松くん』)
第3章 不幸を追求する権利(古谷実『ヒメアノ~ル』)
第4章 モグラとサルの闘争――古谷実の反ブルジョア精神(古谷実
第5章 ゲーム仕掛けの神――山本直樹『ビリーバーズ』を読む(山本直樹『ビリーバーズ』)

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