澁谷知美,清田隆之著『どうして男はそうなんだろうか会議-いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと』(2022)

 

・「非モテ」はなぜ苦しいのか?
・「リベラル男性」がジェンダー問題に鈍感なのは、なぜ?
・暴力被害を受けても、なかなか言葉にできないのは、なぜ?
・男どうしで支え合うことって、可能?
・「俺にはバックがついてるぜ」問題とは?

男性の「現在」をめぐって、澁谷知美さん(社会学者)と清田隆之さん(ライター、「桃山商事」代表)が聞き手となり、ゲストたちとあれこれ語り合う。
そこから見えてきた、「これからの男」とは?

《これは、あなたのための本です。「さいきん、「男であること」が問われている気がする」「ジェンダーという言葉が気になる」「自分も男だが、「どうして男はこうなんだろうか」と思うことがある」そんな男性に読んでほしくて、作りました。同様の思いを持つ女性、そして男性でも女性でもない人も、ウェルカムです。ぜひ、私たちの「会議」に参加してください。
――「はじめに」より》

ゲスト:
西井開さん(臨床心理士、「ぼくらの非モテ研究会」発起人)
中村正さん(臨床社会学者)
平山亮さん(社会学者)
前川直哉さん(社会学者)
武田砂鉄さん(ライター)
*清田さんは第一章ではゲストとして登場。

はじめに 澁谷知美

第1章 「男子バキバキ脳」からの脱却――「自分の身体はこういうものを喜ぶ」を知ろう
(ゲスト:清田隆之さん)
「おにぎり事件」/ハゲの悩み、おちんちんの悩み/「土着の恥ずかしさ」と「作られた恥ずかしさ」/男が自分の体に敏感になるには?/「俺は強いアピール」競争から降りる etc.

第2章 「非モテ」の諸相と、「これから」のこと――自己否定でも開き直りでもなく自分を「開く」語りの可能性
(ゲスト:西井開さん)
恋愛にかかわるマジョリティ男性の痛みを言語化/「いじり」「からかい」をどう考える?/「男らしさ」を用いた巧妙なからかい/男同士のエロ話、どう考える?/うねうねと自らの気持ちや経験を男同士で語り合う etc.

第3章 男性性と暴力――コミュニケーションに潜む加害と被害の両面から考える
(ゲスト:中村正さん)
「男同士の付き合いって難しい」/被害体験を被害として語れない男たち/「勝ち」にこだわる意識をずらしていく/「こんなオレでごめん」という暴力/マウントされたら、どうするか? etc.

第4章 男性が乱用しがちな「構造的な優位」とは?――その「優位」を利用しない手立てを考えよう
 (ゲスト:平山亮さん)
「しっかり働かないと女性に嫌われる」という強迫観念/男同士の抑圧をどう考える?/「傷つき体験」の語りにくさ/「ハイブリッドな男性性」にご用心/男が、男として生きていない者とともに生きる道 etc.

第5章 「誰でも差別し得る」という出発点――「男性中心社会」日本と性的マイノリティ
(ゲスト:前川直哉さん)
ホモソーシャル」と「ホモセクシュアル」/ミソジニー男の暴走はなぜ起こる?/「日本は同性愛に寛容な社会」説はほんとう?/性的に客体化されるのを恐れるヘテロ男性/「電車の中で足を踏むことと……」 etc.

第6章 すぐそこにあるマチズモ――あの手この手で「マッチョ連合」を突き崩せ!
(ゲスト:武田砂鉄さん)
「俺=公共」なおじさんたち/「俺にはバックがついてるぜ」問題/女性客にはタメ口、なぜ?/セクハラ限界値を探るおじさんたち/「男のくせに~」と揶揄されたなら?  etc.

「これからの男」をもっと考えたい人のための読書案内

あとがき 清田隆之

23 綾屋『ソーシャル・マジョリティ研究』

27 須永『ハゲを生きる』