法、ジェンダー、思想、教育etcの観点から研究者、アーティスト、キュレーターが社会←→アートのバージョンアップを図る。表現の自由・不自由/多文化主義/包摂と排除/搾取/公共性、その言説と実践をめぐって繰り広げられる、人文学と社会科学の“異種格闘”。
まえがき………北田暁大
第一章 表現の自由・不自由
イントロダクション………北田暁大
芸術表現の自由と憲法上の「表現の自由」………志田陽子
制度としての美術館、あるいは表現の「場」と媒介者………成原慧
表現の自由と規制との間で考えるべきこと………神野真吾
第二章 多文化主義
イントロダクション………北田暁大
多文化主義なき多文化社会、日本………韓東賢
表現の自由/表現が侵害する自由―アートはヘイトスピーチとどう向き合うべきか………明 戸隆浩
多文化主義とアート―アイデンティティの表現をめぐって………神野真吾
第三章 包摂と排除
イントロダクション………神野真吾
欲望と正義―山の両側からトンネルを掘る………岸政彦
ポルノ表現について考えるときに覚えておくべきただ一つのシンプルなこと(あるいはいくつものそれほどシンプルではない議論)………清水晶子
誰が何から排除されているのか………神野真吾
対談1 現代美術の表現から考える―方法・技術・戦略………高嶺格×チェ・キョンファ
第四章 搾取
イントロダクション………北田暁大
遍在化/空洞化する「搾取」と労働としてのアート―やりがい搾取論を越えて………仁平典宏
アートにおいて交換される価値とは………神野真吾
対談2 芸術生産の現場から考える―労働・キャリア・マネジメント………藤井光×吉澤弥生
第五章 公共性
イントロダクション………北田暁大
ハーバーマスとアレントの理論から考える「公共性」………間庭大祐
公共(性)とアート―「社会の芸術」の実現にあたって………神野真吾
対談3 美術館の公共性から考える―コレクション・展示・教育………蔵屋美香×神野真吾
ソーシャリー・エンゲイジド・アートとしての九〇年代京都における社会/芸術運動と『S/N』………竹田恵子
アートの開かれた王室問題―あとがきにかえて………神野真吾