四方田犬彦著『テロルと映画』(2015)

2001年のアメリカ同時多発テロ事件後、ハリウッドをはじめ世界各国で、テロリスムを主題とする映画が数多く製作されている。現在にいたるまでの半世紀、映画は凄惨な暴力をいかに描いてきたのか? 本書は、テクノロジーの発展やテロリストの内面など、多様な観点からブニュエル若松孝二ファスビンダーらの作品を論じ、テロリスムと映画の関係性をとらえ直す。それは、芸術の社会的な意味を探る試みでもある。

第1章 暴力のスペクタクル―メディアのなかのテロル
第2章 他者の脅威―勧善懲悪を超えて
第3章 テロリストの内面―自己顕示欲と実存
第4章 ブニュエルの悲嘆―爆弾の遍在
第5章 若松孝二の怒り―少年の孤独
第6章 ファスビンダーの嘲笑―管理社会における不毛な演技
第7章 ベロッキオと夢の論理―歴史と想像的なるもの
終章 哀悼的想起としての映画―テロルの廃絶に向けて

14 中国女, ジャン=リュック・ゴダール
23 殺人というオマージュ, エリア・スレイマン
30 ジャッカルの日, フレッド・ジンネマン
30 ブラック・サンデー, ジョン・フランケンハイマー
31 コラテラル・ダメージ, アンドリュー・デイヴィス
39 天国への長い道,エニソン・シナーロ, インドネシア
52 カルロス,オリヴィエ・アサイヤス
52 パラダイス・ナウ, ハニ・アブ・アサド
76 黄金時代, 忘れられた人々, 皆殺しの天使, 自由の幻想, 欲望のあいまいな対象
99 性賊/セックスジャック, 若松孝二
99 天使の恍惚, 若松孝二
126 秋のドイツ, ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
133 マリア・ブラウンの結婚. ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
134 ベルリン・アレクサンダー広場, 第三世代, ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
150 輝ける青春, パゾリーニ
151 夜よ、こんにちは, マルコ・ベロッキオ
152 ポケットの中の握り拳, マルコ・ベロッキオ

回避と拘泥

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見ることの塩 パレスチナ・セルビア紀行

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パレスチナ・ナウ―戦争・映画・人間

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女神の移譲――書物漂流記

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驢馬とスープ―papers2005‐2007

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・暗殺,篠田正浩
・黒い雪, 武智鉄二
憂国, 三島由紀夫
・無理心中 日本の夏, 大島渚
戒厳令, 吉田喜重
竜馬暗殺, 黒木和雄
カタリーナ・ブルームの失われた名誉, フォルカー・シュレンドルフ
・愚か者の日, ヴェルナー・シュレーター
レスリー・チャン 嵐の青春, パトリック・タム
・悪霊, アンジェイ・ワイダ
・D.I.,エリア・スレイマン
・神々と男たち, グザヴィエ・ボーヴォワ
・最初の人間, ジャンニ・アメリオ