長澤唯史著『70年代ロックとアメリカの風景ー音楽で闘うということ』(2021)

 

反抗や闘いの矛先を見失った70年代、
ロック・アーティストは自己や世界や表現手段、
メディアなどを積極的に「構築」して時代や政治や権力と闘った!
アメリカの黒人音楽とその歴史の強い影響を受けた
「ブリティッシュ・ロック」の闘い、
大西洋を挟んだアメリカで人種民族問題などを問い直した
アーティストたちの闘いの風景をアメリカ文学者が活写する。
【本書で分析するアーティスト】
キング・クリムゾン/イエス/ジェネシス/エマーソン・レイク&パーマー/ジェフ・ベック/マーク・ボラン(T・レックス)/ザ・フー/ボブ・ディラン/イーグルス/カルロス・サンタナ/ジミ・ヘンドリックス/マーヴィン・ゲイ/ケンドリック・ラマー/ウッドストック・フェスティバル

序 音楽で闘うということ
第I部 70年代ロックの闘い――思想・文化・政治
第1章 ポストモダン・クリムゾン
――アイデンティティ構築とロック/SF
第2章 ハイパーリアル・イエス――起源なき反復の体現者
第3章 荒地に響くマザー・グースの歌
――英文学的ジェネシス
第4章 「新たなエルサレム」を求めて
――EL&Pポストモダン的崇高
第5章 ジェフ・ベックギターヒーローの文化史、
あるいはギターというメディア
第6章 ロックスターでありつづける困難と覚悟
――マーク・ボランと70年代ロック
第7章 ピート・タウンゼンドの〈ユメ〉と〈ウソ〉
――メタフィクションとしての『四重人格
【コラム】 倒錯という戦略
――ブラック・サバスとH・P・ラヴクラフト
第II部 アメリカの政治と音楽の闘い――人種・歴史・空間
第8章 不幸な変り者の系譜
――ボブ・ディランアメリカ詩の伝統
第9章 LA/アメリカを演じつづけること
――イーグルスアメリカン・アイデンティティ
第10章 「普遍の調べ」を追いつづけて
――カルロス・サンタナアイデンティティと音楽
第11章 クロスタウン・トラフィックの結節点
ーージミ・ヘンドリックスを生んだ時間と空間
第12章 女々しくて辛い場所に辿り着いたアイドル
――マーヴィン・ゲイと60年代の感情革命
第13章 ケンドリック・ラマーと内省のアメリカ文学
第14章 ウッドストック、ロックとカウンターカルチャー
――再考と再評価の試み
あとがき
参考文献
索引