ネルソン・グッドマン著, 戸澤義夫, 松永伸司訳『芸術の言語』(1976=2017)

芸術の言語

芸術の言語

20世紀アメリカを代表する哲学者、ネルソン・グッドマンは、美学、論理学、認識論、科学哲学の分野において多大な影響を及ぼした。グッドマンの主著である本書は、1968年の刊行以来、現代美学の記念碑的著作として読みつがれている。ここでグッドマンは、芸術の基本的諸問題を考察することから出発し、芸術における記号の一般理論の構築へと向かう。芸術がある対象を「再現」するとはどういうことなのか。再現と表現はどうちがうのか。絵画における遠近法とは、写実性とは何か。ホンモノと完全な贋作を見ることにちがいはあるのか。楽譜とは何か。ダンスは記譜できるのか。芸術と科学の真理は異なるのか。本書は、芸術における記号と記号システムの研究であり、われわれの知覚と行動、さらにわれわれの世界創造とその理解において、それらがどのように機能しているかを明らかにしている。この考察は、心理学、言語学、認識論、科学哲学などの領域を横断しつつ、われわれを、絵画、音楽、ダンス、文学といったあらゆる芸術形式の深い理解へと導いてくれる。

序文
序論
第一章 現実の再制作
 1 指示
 2 模倣
 3 遠近法
 4 彫刻
 5 フィクション
 6 トシテ再現
 7 創意
 8 写実性
 9 記述と描写
第二章 絵の響き
 1 対象領域の違い
 2 方向のちがい
 3 例示
 4 サンプルとラベル
 5 事実と比喩
 6 図式
 7 転移
 8 隠喩の諸方式
 9 表現
第三章 芸術と真正性
 1 完璧な贋作
 2 答え
 3 贋作不可能なもの
 4 理由
 5 課題
第四章 記譜法の理論
 1 記譜法の主機能
 2 統語論的要件
 3 符号の合成
 4 準拠
 5 意味論的要件
 6 記譜法
 7 時計と計数器
 8 アナログとデジタル
 9 帰納的な翻訳
 10 図表、地図、モデル
第五章 譜、スケッチ、書
 1 譜
 2 音楽
 3 スケッチ
 4 絵画
 5 書
 6 投射可能性、同義性、分析性
 7 文字
 8 ダンス
 9 建築
第六章 芸術と理解
 1 絵と文
 2 調べることと見せること
 3 行為と態度
 4 感情の機能
 5 美的なものの徴候
 6 価値の問題
 7 芸術と理解
用語解説
概要
訳者あとがき
人名索引
事項索引