白取春彦著『独学術』(2012)

哲学・宗教に関する多くの啓蒙書で知られる著者は、自らの経験をもとに真の教養を身につけるには独学しかないと語る。「難しい本は読みきらなくていい」「解説書より原典のほうがわかりやすい」「速読より多読」「外国語学習は『読む』ことが基本」など、既成概念にとらわれない明快な指針が読者に意欲と勇気を与える。また惜しみなく伝授されるノートのとり方や傍線の引き方なども独創的かつ具体的。知識欲に富む読者から熱烈に支持されロングセラーとなった『勉学術』を改題、さらに読みやすい携書としてお届けする。

第1章 勉学は独学にかぎる
独学は学習ではない
「学習」は低レベルのもの
自分で勉強しなければ何も身につかない
大学でも独学が必要だ
独学には教科書も決まった答えもない
独自に新しく考えることが最終目的
「いつから」で始める
「いつから始まったのか」という疑問を持て
簿記の起源
ユダヤ人差別の始まり
シェイクスピアは本物のユダヤ人を見たことがなかった
疑問から知識が始まる
疑問がなければ知ることはできない
生きた知識は頭に残る
書物だけではなく日々の生活の中からも疑問は出てくる
情報と知識は違う
情報は刻々と変化する
知識は古くならない
独学はいつでもどこでもできる
技術より熱中
本を買う金を惜しむな
独学の障碍は感情の乱れや不健康
独学の人カント
カントは難解ではない
カントと一般人の違い
小さな疑問の追究が哲学になる

第2章 難解な本を読むコツ
ランダムに読む
難しい本にぶつかれ
中途半端な読み方でいい
立体的に理解する
読書とは、頭の中の映像を観ること
辞書、事典、地図を備える
「眺め読み」で書物に勝つ
難解な本はまず眺める
からかうように本を扱う
適当に読み始める
わかりにくい本は悪い本かもしれない
難しそうな本と遊ぶ
難しそうな本に臆病になるな
じつは解説書のほうが難しい
自分なりに考えてみる
古典は一冊全部読まなくていい
傍線を引きながら読む
傍線を引く意味と効用
傍線を引く技術
傍線最大のコツ
書き込みの方法
傍線によって記憶に残す
本を買えなければ勉強はできない
多くの本を読む
多く読めばわかってくる
速読法を習うのはお金と時間の無駄
多読の効果
読書で世界が変わる
フィクションを事実と思い込んでいる
十六世紀の日本人の実際の姿
世界観が変わるとき

第3章 教養を身につける
教養とは何か
知識=教養ではない
よりよく生きること
知識を道具化するな
『聖書』という教養
ある評論家の無知
あらゆる文化のベースに宗教がある
キリスト教がわかれば哲学もわかる
聖書を知らないと世界が理解できない